【プロフィール】
椎谷 和男(しいや かずお):新発田市出身。椎谷板金を立ち上げた父から会社を引き継ぎ、板金施工会社として多角的に仕事を受けるスタイルへ発展させる。2023年5月に3代目となる息子の亮さんに会社を引き継ぎ、社名も「㈱シイヤライズ」に変更。現在は会長職に就く。
池田 かおり(いけだ かおり):スカイライトチューブを扱うS.L.T事業部で、プランナー兼広報を担当。板金折り紙を発案し、デザイン制作を担う。小中学校でのマイスター教室では、主講師である和男さんのサポートを行う。
暮らしを支える“板金”という仕事
——「シイヤライズ」はどのような会社ですか?
椎谷さん:1951年に創業した建築板金業を営む会社です。2023年に椎谷板金工業からシイヤライズへ社名を変更しました。
——板金とはどのような事業内容ですか?
椎谷さん:一般的に知られている「自動車の板金」のほか、厚い板を機械加工して出荷する「工場板金」、薄い板に加工を施して屋根や雨どいなどを作り、取り付けまで行う「建築板金」があります。
当社は、その「建築板金」を行う会社ですね。

建築板金から生まれた“もうひとつのものづくり”
——板金折り紙を始めたきっかけは?
椎谷さん:社員が新潟県板金工業組合の講習会に参加し、銅板でバッタや蝶などを作る技術を学んできたのですが、それがとても面白くてね。
池田さん:私が入社して間もない頃で、今から10年ほど前のことです。その作品写真を社の年賀状にも使用しました。
——社内や周囲の反応はいかがでしたか?
池田さん:バッタと蝶を2年続けて制作し、「次の年はバラにしよう」と相談して決まったのですが、「年賀状にバラ一輪はどうだろう」となって…。
考えた結果、「年賀状にはやはり干支がいいだろう」となり、イノシシを作りました。
——当初は職人さんが作っていたのですか?
椎谷さん:そうですね。最初は習ってきたものをそのまま再現していたので、職人でないと難しい部分もありました。

——池田さんがデザインに携わるようになったきっかけは?
池田さん:本業が忙しく、職人に依頼できない年があったんです。私自身もものづくりが好きだったので、「自分で挑戦してみよう」と考えました。
その年の干支である「ネズミ」の折り紙を調べ、板金でも再現できそうなデザインをベースに設計し直しました。手前味噌ですが、かわいく仕上がりまして(笑)。
椎谷さん:そのタイミングから、「板金折り紙の教室」を開催するようになりました。動物や兜などを作ってもらいながら、板金という仕事を知ってもらう広報の意味もあります。

地域に広がった板金折り紙
——参加者はどんな方が多いですか?
椎谷さん:年配の方が多い印象です。もちろん、小中学生や若い方も参加されていますが、時間に余裕のある方が中心ですね。
池田さん:回数を重ねるごとに周知されるようになり、現在では毎月2回開催しています。
最初に奥様が参加し、作品を見たご主人が興味を持って夫婦で参加されるようになった方のほか、30回以上通われているリピーターもいますね。

“ひと目で伝わる形”を追求するデザイン
——板金折り紙のバリエーションは?
池田さん:干支を中心に15種類ほどですね。
——デザインを起こすうえで大切にしていることは?
池田さん:初めての方でも2時間の教室で必ず完成し、持ち帰っていただけるものにすることが一番です。
それに加えて、“完成品を見た時に何を表しているか”をひと目で分かることも大切にしています。
——具体的には、どのような点にこだわっていますか?
池田さん:サンプルの折り紙では、タイトルと完成品に違和感を覚えるものも多く見てきたので、その点には特にこだわっていますね。
干支の作品は毎年6月頃から準備を始め、展開図の制作や銅板での試作を重ねています。
——板金折り紙教室を小中学校で始めたきっかけは?
椎谷さん:当社にはベトナムからの実習生が在籍しています。彼らの試験官である職業能力開発協会の方が、「小中学校でのマイスター教室の一環として、教えてもらえませんか」と声を掛けてくださったんです。
当時は私だけがものづくりマイスターの条件に適合していたため、主講師として学校で教えるようになりました。コロナ禍の影響で校外学習が制限されていたこともあり、新潟市内からの依頼もありましたね。

子供たちに届いた板金の魅力とものづくりの手応え
——子供たちの反応で印象に残っていることは?
椎谷さん:初めて小学校を訪れた時のことです。2年生から6年生まで幅広い学年の子供たちがいて、幼い子供たちに折れるのか不安でした。
道具は重く、力も必要ですが、サポートしながら何とか完成させることができました。作業中の楽しそうな表情や、完成した時の満足そうな様子がとても印象に残っています。
池田さん:板金の仕事は、お客様の反応を直接見る機会が少ない仕事です。だからこそ、「子供たちが目を輝かせて喜ぶ姿」や「板金という仕事を理解してくれる姿」を目の当たりにできるのは、私たちにとっても貴重な機会ですね。
——最後に今後の目標を教えてください!
椎谷さん:将来的には商品化も検討しています。道の駅などで、“新発田を象徴する作品”を展開できればと考えています。
制作を重ねるごとに、探究心が湧いてきています。今後も様々な可能性を探求していきたいです。
