【プロフィール】
関 遼(せき りょう)さん:魚沼市出身。実家は米作りをする兼業農家。新潟大学農学部に進学し、農業に関する幅広い分野を学んでいくうちに新規就農を志す。農業のノウハウを学んだ後、2020年に「Maries Farm」を立ち上げる。2022年からは観光農園としてブルーベリー狩り体験をスタート。
『新潟人260人目は、「Maries Farm (マリーズファーム)」の関遼さんです。ブルーベリーの鉢植え栽培を始めたきっかけのほか、観光農園の楽しみ方など、様々なお話を伺いました!笑顔でご対応いただき、ありがとうございました♪』
農業を始めるまで
——農業に興味をもったきっかけは何ですか?
関さん:実家が兼業農家で、小さい頃から手伝う機会がありました。周辺には田園が広がっていたり、農家の友達もたくさんいたり、農業は身近な存在でしたね。
でも、昔から「農家になりたい」と思っていたわけではなかったです。
——農業を学ぶために大学進学されたのですか?
関さん:農業というよりは、自然環境に関することを学ぶためですね。しかし、大学で農業を広く学んでいくなかで、「農業をやってみたい」と思うようになりましたね。
——そこから「マリーズファーム」を立ち上げたのですね!
関さん:「マリーズファーム」の立ち上げ前に、知り合いのユリ農家で手伝いをしていたんです。
品目は違いますが、農業のノウハウを勉強するために2年ほどお世話になっていました。「何を作るか」を考えながら作業していましたね。
——思いついたのが「ブルーベリー」ですか?
関さん:ユリ農家を手伝いながら、家庭菜園で野菜や米、果樹などの生産を試していました。ブルーベリーもその一つで、庭に5本くらい植えてみましたが、全部失敗して…(笑)。
その時に、農業の雑誌で「鉢植えのブルーベリー」の記事を読み、挑戦してみようと思いました。
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感動した“初めてのひと粒”
——ブルーベリーの栽培を地植えで行うのは難しいのですか?
関さん:ブルーベリーは土との相性があり、酸性の強い土が向いています。そもそも日本の土はあまり適しておらず、私も土を改良しながら試しましたが上手くできませんでした。
鉢植えをやってみると、元気に育ってくれて「これならブルーベリーを生産できる」と思い、決心しました。
——てっきりブルーベリーがお好きだったのかと思いました(笑)
関さん:それまではブルーベリーを食べるといっても、ケーキに乗っているトッピングくらいでした。初めてできた実を食べた時に、その甘さに感動したんです。
ブルーベリーのおいしさに惹かれて、「多くの人に食べて欲しい」という思いが強くなりました。
——新潟では“栽培が珍しい”という点も選んだ理由ですか?
関さん:それも理由のひとつですね。「やるなら人と被らない品目がいいな」と考えていました。
また、実家の田んぼの一角を活用する上で、小さな面積かつ機械などをあまり必要としない品目を考えた時に、ブルーベリーが適していましたね。
ブルーベリーへの情熱
——ブルーベリー栽培を始めて、苦労したことは何ですか?
関さん:身近に同じ栽培をしている先輩がいなかったので、人に聞けないのが大変でしたね。本格始動する前には県外のブルーベリー農家を訪ねて、栽培の様子を見学させてもらったりしました。
——県外だと気候や土壌なども違いますよね?
関さん:魚沼でやる上では、雪に苦労します。今年は5年目ですが、今まで一番大変な年でした。枝が折れたり、被害も多かったですね。
——枝が折れたり、鉢が壊れている様子が窺えました…。
関さん:雪国だからこそ、剪定の仕方は工夫しています。雪が降らない地域は、枝を横に這わせる形が多いですが、雪が降ると折れてしまうので、なるべく縦になるように意識しています。
——1年目は特に苦労が多かったと思います。
関さん:「とりあえずやってみよう」という気持ちでした。農園が田んぼの真ん中にあるので、ミツバチが全く来なかったのは大誤算でしたね…(笑)。その失敗から、今は受粉用のミツバチを入れています。
——失敗などで心が折れることはありましたか?
関さん:今年の冬は、枝と一緒に私の心も折れかけました(笑)。でも、ブルーベリーを栽培してみて、「自分は果樹栽培が好きだ」と感じましたね。元気に育っているのが目に見えて分かるので、モチベーションになっています。
あと、負けず嫌いな性格もあります。もっと簡単に栽培もしようと思えばできますが、“より良いものを作る”ことを考えると妥協はできません。
マリーズファームのブルーベリー
——収穫はどれくらいの年月がかかるのですか?
関さん:実が取れるまで、約2年かかります。品種にもよりますが、大体3年目から収穫できるようになりますね。
今は約30種類の品種を栽培していて、木は全体で1,000本くらいです。
——ブルーベリーはそんなに種類があるのですか!?
関さん:当園で言うと、ラビットアイ系とハイブッシュ系の2つの系統に分かれています。
ハイブッシュ系は大粒で、少し酸味のある爽やかな味わいです。ラビットアイ系はやや小粒ですが、強い甘さが特徴ですね。ハイブッシュの方が、成長が遅かったりするので、一本一本見ながら剪定の形や肥料の量なども調整しています。

(パトリオット)
——「マリーズファーム」ならではの特徴はどんな点ですか?
関さん:「鉢植えの栽培」ですね。全国的にもまだ地植えが多いと思います。“土質が重要”なブルーベリー栽培ですが、鉢植えにすることで適した土を使えるのが大きなメリットですね。
鉢植えでも発泡ウレタンなどの建材を使用するケースが多いですが、当園では土を使用し、肥料も有機質肥料にこだわっています。
——おすすめの品種を教えてください!
関さん:「チャンドラー」という大きな品種ですね。500円玉くらいの大きさで、初めて見る方は必ず驚きます。ひと粒でもかなり食べ応えがありますし、観光農園ならではの品種だと思います。

(チャンドラー)
観光農園で特別な体験を
——珍しい品種を楽しめるのは、観光農園ならではですね!
関さん:観光農園の魅力ですね。実は、最初から観光農園にしようとは考えていなかったんです。
栽培を始めてみて、食べ頃のブルーベリーを味わってもらうためにも「実際にお客様に来てもらった方が良い」と思ったんです。2022年から観光農園をスタートしました。
——お客様との印象的なエピソードはありますか?
関さん:お客様のほとんどが「ブルーベリーってこんなに甘いんだ!」と喜んでくれます。ブルーベリー狩りを楽しむお客様を見ると、「もっとおいしいブルーベリーを作ろう」と思いますね。
子供達も宝探しのように楽しんでいて、その姿を見ると嬉しくなります。

(デューク)
——観光農園のおすすめの楽しみ方を教えてください!
関さん:まずは、熟したブルーベリーを味わっていただきたいです。品種も多いので、食べ比べをするのもおすすめですよ!
甘みが強い品種や酸味が強い品種があったりするので、お気に入りの品種を見つけてみてください。
——熟したブルーベリーを見極めるポイントは?
関さん:品種ごとに大きさは大体決まっていますが、その中でも“ひと回り大きいもの”を探すイメージですね。パンパンになって、実が割れる寸前くらいが1番熟していておいしいですよ!
——おすすめの食べ方はありますか?
関さん:まずは、生で食べてみてください。夏場の暑い時には、冷凍がおすすめですね。完全に凍らないので、シャーベット感覚で楽しめますよ!
また、小さい粒のブルーベリーは、ソースやジャムに加工するのもおすすめです。

(ヌイ)
「魚沼=ブルーベリー」に!
——新規就農に挑戦する方に伝えたいことはありますか?
関さん:農業は楽しいことばかりではないので、自分の好きな品目に挑戦するのが良いと思います。「これが好き」と言えるものを見つけてみてください。
——ブルーベリー農家は増えて欲しいですか?
関さん:増えて欲しいです!県内でブルーベリーの生産が増えないと、認知も広がらないと思うんです。ブルーベリーの生産を増やして、全体の需要も増やせて行けたらいいですね。
ブルーベリーはどこの地域のイメージもないので、「魚沼市=ブルーベリー」を目指したいと思います。ブルーベリー栽培をやってみたい方は、相談や見学も大歓迎です!
——最後に、今後の目標を教えてください!
関さん:ブルーベリーの生産量をもっと増やしたいです。栽培のレベルを上げて、良いものをたくさん作っていきたいと思います。
7月12日からはブルーベリー狩りもスタートするので、ぜひ完熟のブルーベリーを堪能してみてください!
●入園料
無料
●ブルーベリー狩り(食べ放題&時間無制限)
大人(中学生以上)…2,500円
小学…1,500円
未就学児…500円
3歳未満…無料
●お持ち帰りカップ&果実販売
お持ち帰りカップ(約400g)…1,000円
ブルーベリー果実販売…100g 400円~
▼「マリーズファーム」のブルーベリーは通販サイト「ガタ市」からも購入できます
【Maries Farmブルーベリー観光農園】
住所:魚沼市大浦字八色原931
電話:090-6941-8304
公式ホームページ
公式Instagram
熟した極上のブルーベリーを食べに行きましょう♪