【プロフィール】
金田 篤幸(かねだ あつゆき):新潟市東区出身。富山大学理学部を卒業後に新潟へ戻り、父が経営する画像処理会社へ入社。27歳の時に父が他界し、経営の厳しさに直面する。2017年1月に「株式会社ガゾウ」を設立し、代表取締役に就任。独自の画像処理アルゴリズムとアイトラッキング(視線解析)技術を軸に、技能伝承やDX支援で世界展開を目指す。
独立への道
——新潟で起業された経緯を教えてください。
金田さん:私は新潟市東区出身で、大学卒業後に父が経営していた画像処理の会社に入りました。
当時は「エスカレーター式で社長になれるかな」なんて甘い考えもありましたね(笑)
——大きな転機があったそうですね。
金田さん:27歳の時、父が末期がんで余命宣告をされました。
「会社をどう維持するか」など、経営の厳しさをその時に知りました。

——独立した経緯は?
金田さん:他の役員との価値観や方向性の違いを感じ、「自分がやっている事業を持って独立する」と会社に伝えました。
最終的には、ほぼ全ての事業を「事業譲渡」という形で引き継ぎ、現在の会社「株式会社ガゾウ」を2017年に立ち上げました。
——「ゼロからの再出発」を経験されたのですね。
金田さん:ベンチャーのような勢いもありましたが、実際は二代目としての要素も持ったスタートでした。
最初からお客様との基盤があったことは、大きな強みだったと感じています。

「視線解析」で職人の“勘”をデータ化
——「株式会社ガゾウ」の主力技術について教えてください。
金田さん:「アイトラッキング(視線解析)」です。
カメラやウェアラブルデバイスを使って、「人がどこを見ているか」を計測する技術ですね。
——どのようなきっかけでこの分野に?
金田さん:もともとは工場の「自動検査(カメラでの良品判定)」が専門でした。
しかし、現場に行くと「最後は人の目で確認している」という実態があったんです。
「ベテランの目は何を見ているのか?」を可視化できれば、もっと人を助けられると考えました。
——具体的な実績を教えてください。
金田さん:トヨタ自動車やデンソー、アイシンなど、日本を代表する製造業の現場で、私たちの技術が活用されています。
熟練者の視線を可視化することで、教育時間の短縮や安全性の向上に貢献しています。

——職人の「勘」をデータ化することに抵抗はありませんでしたか?
金田さん:最初は半信半疑の方も多かったですが、データを見せると反応が変わります。
「自分はこんなところを見て判断していたのか!」と、ご本人さえ気づかないクセが浮き彫りになるんです。
——それが技能伝承に役立つのですね!
金田さん:ベテランの視線を若手に見せることで、習得に数年かかる“「勘」を数ヵ月で学べる”ようになります。
——どのように改善するのですか?
金田さん:誰でも見られる「動画マニュアル」として提供することにこだわっています。
単に分析レポートを渡して終わりではなく、“現場の人が実際にどう動けばいいか”まで落とし込むことが役割だと思っています。

幅広い分野への挑戦
——製造業以外でも活用されているのですか?
金田さん:「建設現場の安全確認」のほか、「大手飲料・食品メーカーのパッケージ評価」といったマーケティングにも使われています。
農業では、ベテランが“トマトのどこを見て収穫時期を判断しているか”をAIに学習させる試みも行いました。
——医療や福祉の分野でも注目されていますね。
金田さん:ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんが視線だけで文字入力やロボット操作を行えるように、“意思疎通を図る支援”もしています。
——“感覚の拡張”という点でも研究が進んでいるそうですね。
金田さん:視覚障碍者の方が距離を認識できるデバイスなど、“感覚を拡張する挑戦”も続けています。
私たちの技術で様々な「できない」を「できる」に変え、社会に驚きを提供していきたいですね。



世界と戦う「特許戦略」と「組織づくり」

——独自の技術を守るための戦略について教えてください。
金田さん:私たちの競合は、スウェーデンの世界的企業です。
新潟の小さな会社が世界で戦うには、「知財(特許)」という武器が欠かせません。
国内だけでなく、アメリカや欧州でも特許を取得し、「新潟発の技術で世界の価値観を覆す」ことを本気で狙っています。
——新潟での採用や組織づくりで工夫されていることは?
金田さん:現在のメンバーは12名です。新潟にいながら世界水準の仕事ができる魅力を伝えています。
技術者だけでなく、多様なバックグラウンドを持つ人を採用していますよ。
——例えばどんな方がいらっしゃいますか?
金田さん:営業担当には「元ライザップのトレーナー」もいるんですよ(笑)
結果にコミットする力や相手に寄り添う力が素晴らしく、エンジニア集団の中で良い刺激になっています。

本質を見抜く国語力
——講演なども積極的に行っているそうですね。
金田さん:「長岡技術科学大学」などで、学生向けに講演をさせていただく機会があります。
そこでよくテーマになるのが「企業が求める人材」についてです。
——どのようなアドバイスを?
金田さん:一番伝えたいのは「国語力(コミュニケーション能力)の大切さ」です。ここで言う国語力とは、友達が多いといった意味ではありません。
“物事の本質を捉えて、相手に的確に伝える力”こそが仕事の基本になります。

——具体的にはどういうことでしょうか?
金田さん:エンジニアでも仕様書が正しく読めなければ物は作れませんし、起業家なら投資家や銀行に自分の想いを正確に伝える必要があります。
会社員なら日々の報告もそうですね。
——学生へメッセージをお願いします
金田さん:自分の考えや経験を「言語化」し、さらには「定量化」して伝える訓練を欠かさないでください。
意識的に日々実践している方は、成長も圧倒的に早いです。
——最後に、今後の夢を教えてください
金田さん:画像処理という「人を助ける道具」を使って、世の中を面白くしたいです。
「新潟だからこそ挑戦できること」を大切にしながら、想像を超える驚きと感動を届けるクリエイティブな集団であり続けたいですね!

インフォメーション
| 会社名 | 株式会社ガゾウ |
|---|---|
| 住所 | 新潟市中央区網川原2-44-13 3F |
| 事業内容 | 画像処理アルゴリズムの開発、アイトラッキングシステムの販売・導入支援 など |