【プロフィール】
五月女 奈緒美(そおとめ なおみ):1966年、新発田市生まれ。東京の短期大学を卒業後、1987年に「全日本空輸(ANA)」に入社。客室乗務員などを務めた後、2013年に統括部長として「三福運輸」にUターンする。2015年からは代表取締役に就任し、2022年からは「道の駅加治川」の駅長も務めている。
『新潟人211人目は、「道の駅加治川」の駅長・五月女奈緒美さんです。全日本空輸(ANA)で接客サービスのイロハを叩き込まれた五月女さんは、家業の運送会社を継ぐためにUターン。“なぜ道の駅加治川の駅長になったのか?”などたくさんの話をお聞きしました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
CAから運送会社の代表に。
——2022年にリニューアルした「道の駅加治川」について教えてください!
五月女さん:「道の駅加治川」には、レストランや野菜の直売所、物産販売、観光案内所、パン工房があります。コンセプトは、「加治川ピクニック」です。
——「加治川ピクニック」をコンセプトにしたのはなぜですか?
五月女さん:加治川地区は“東洋一”とも言われたほど、昔から桜が有名です。100年ほど前の文献にも「多くの人が桜の下でお弁当を食べて踊っていた」という記述があるほどで、桜をメインに据えたプロジェクトはリニューアルする前からありました。“加治川らしさ”を私なりに継承し、言語化したのがこのコンセプトです。
——「三福運輸」の代表取締役でもあるのですね!
五月女さん:元々はANAで客室乗務員などを20年以上にわたり、従事してきました。そんな折に父の体調が芳しくなくなり、2013年に実家である「三福運輸の統括部長」という形で戻ってきました。
——全く畑違いの仕事で、苦労はありませんでしたか?
五月女さん:180度違う環境でしたので、苦労ばかりでした。CAは女性社会で、教育をしっかりと受けたプロ集団。一方で、当時の三福運輸は男性社会で、一匹オオカミタイプの人たちばかりでした。
「笑顔が大事」「挨拶をしましょう」「制服を着てください」と言っても聞く耳を持ってもらえず、罵倒されることも少なくありませんでしたね。そんな毎日が続くうちに心が折れてしまい、「CAの経験は封印しよう」と考えるようになりました。
自分の武器に気が付き、スタートした意識改革
——「CAの経験を生かそう」と再び思うきっかけがあったのですか?
五月女さん:「プロドラ育成サポート」という組織を作った、愛知県の運送会社の社長・酒井さんからの電話がきっかけでした。「物流ニッポン」という業界誌に載った私の記事を見て、「トラック業界でプロのドライバーを育成したい。航空会社で厳しい教育を受けてきた五月女さんの力をお借りしたい」と電話をしてくれたんです。
それを聞いて、「私のやるべきことは、CAの経験を生かすことだ」とハッとしましたね。トラック業界での経験がない私には、それしかできないと思いました。
——どのように会社を変革したのですか?
五月女さん:飛行機もトラックも安全が大事です。そして、運転に関しても人と接するという点においても、“マナーが大事だ”ということを徹底的に教育しました。浸透したと感じるようになったのは、ここ2〜3年ですね。時間はかかりましたが、ようやく当たり前になったように思います。
「道の駅の駅長」への挑戦
——「道の駅加治川」の駅長を務めることになった経緯を教えてください!
五月女さん:「新発田市が道の駅加治川の運営委託をする」という話を耳にして、周囲の後押しもあり、プロポーザルに参加したんです。実はずっと前から、道の駅には興味・関心がありました。
——興味を持ったきっかけは何だったのですか?
五月女さん:会社の目の前にあるので、昼食や買い物などに利用していたのですが、当時は少し寂しい印象を持っていて……。「私だったらこうするのに」と考えることも多々ありました。プロポーザルの話を聞いたときは、「これはご縁だ」と率直に思いましたね。
——駅長への挑戦に不安はありませんでしたか?
五月女さん:不安よりもワクワクのほうが強かったですね。道の駅はトラックのドライバーもよく利用します。施設の近くにある運送会社の代表だからこそ、彼らの気持ちやさまざまな利用者の傾向も分かると思いました。
さらに、道の駅であれば地元の女性を雇用しやすく、華やかな雰囲気が作れると考えたんです。接客面であれば、なによりも“私の経験”を生かせます。そんなことを考えたら、ワクワクしかありませんでしたね。
飲食ジャンルで日々トライ・アンド・エラー
——2023年12月からは、レストランとベーカリーも直営にされたのですよね!
五月女さん:テナントの撤退に伴い、当社で運営することにしました。“直売所で販売している野菜をレストランやベーカリーで使用して、お客さまにおいしく食べていただく。そこで、地場野菜の魅力に気づき、直売所で購入していただく”という流れを作ろうと、スタッフみんなで日々奮闘しています。仕事と一生懸命に向き合ってくれるスタッフには、感謝しかありませんね。
——レストランの「加治川ラーメン」はどんなメニューですか?
五月女さん:リニューアル前の“旧・道の駅加治川で人気だった一杯”を復活させたメニューです。以前から、「あのラーメンはないの?」とよく聞かれていたので、ずっとメニュー化したいと考えていました。
——人気メニューを復活させたわけですね!
五月女さん:レストランの目玉メニューを考えたときに、最初に頭に浮かんだのが「加治川ラーメン」でした。誰もレシピを知りませんでしたが、当時の調理をしていた方とつながることができたんです。本当に“人のご縁”は大事ですね。
——「道の駅加治川」をどのような場所にしていきたいですか?
五月女さん:国交省が定める「休憩機能」「情報発信機能」「地域連携機能」という道の駅の役割の中で、「地域連携機能」により重点を置きたいと考えています。
そして、地元の小・中学生が「私の町にはこんなに良い施設がある」と誇りに思ってくれるような存在に、さらには「地域活性化の一端を担えるような場所」にしていきたいです。
【道の駅加治川】
住所:新潟県新発田市横岡1147
電話:0254-20-7393
営業時間:[物産販売所&農産物直売]9:00〜18:00、[カフェレストラ]9:00〜17:00、[サクラベーカリー]9:00〜15:00
公式Instagram:@michinoeki.kajikawa
公式ホームページ:https://www.m-kajikawa.com/
素敵な道の駅ね♪わたしも早速行ってみるわ!