1. HOME
  2. おすすめ
  3. 【燕市】燕の技術を全国へつなぐ 『(株)アルチザン・代表の長澤政幸さん』にインタビュー!“職人の想い”を届ける商品づくりとは?

【燕市】燕の技術を全国へつなぐ 『(株)アルチザン・代表の長澤政幸さん』にインタビュー!“職人の想い”を届ける商品づくりとは?

配信日:2026年05月30日 更新日:2026年05月27日

アイキャッチ

【プロフィール】

長澤 政幸(ながさわ まさゆき):燕市出身。「日本金属洋食器工業組合」に約10年間勤務。(株)アサヒへ転職し、営業部長としてステンレス製品の営業・製造に携わる。その後、2017年に(株)アルチザンを設立。燕の金属加工技術と全国各地の伝統技術を掛け合わせた商品づくりを展開している。 

燕で育ち、ものづくりの現場へ

長澤さん:(株)アサヒは、主に“金属製品”や“洋食器・カトラリー”を製造・販売している企業です。そこで営業部長として、商品の企画や営業の統括をしていました。

ものづくりを理解していないと営業もできませんから、現場のことも含めて多くを学ばせてもらいましたね。

長澤さん:そうですね。振り返ると、積み重ねてきた経験が今につながっていると思います。

当時関わった工場や職人さんとのつながりが、現在のアルチザンの土台になっています。

長澤さん:「自分には何ができるんだろう」と考えた時に、やっぱり燕で培ってきた経験しかなかったんですよね。

コンピューターが得意なわけでも、デザインができるわけでもない。でも、ものづくりの現場や職人さんとの関わりはずっと続けてきたので、それをより活かしたいと思いました。

ものづくりの現場

55歳で起業を決断

長澤さん:55歳の時に『株式会社アルチザン(当初は合同会社アルチザン)』を立ち上げました。

会社員として働く中で、「もっと自分の想いを反映した商品づくりがしたい」という気持ちが強くなっていったんです。

長澤さん:急に思いついたわけではなく、何年も前から考えていましたね。

「独立するなら今しかない」と思ったタイミングが、その年齢だったんです。体力的・気力的にも、“最後の挑戦”かなと思いました。

長澤さん:応援してくれましたね。きっと以前から、私が独立したい気持ちを感じていたんじゃないでしょうか(笑)。

折燕 ORI-ENのタンブラー

“燕×高岡”から生まれた『折燕 ORI-EN』

長澤さん:代表的なのは『折燕 ORI-EN』というブランドですね。

燕のステンレス製品に、富山県高岡市の着色技術を掛け合わせた商品です。

長澤さん:高岡市にある「モメンタムファクトリー・Orii」の折井さんの着色技術と、“燕(エン)”の技術を掛け合わせて、『折燕 ORI-EN』という名前にしました。

ステンレスは丈夫で錆びにくいですが、どうしても見た目が無機質になりやすいんです。そこに高岡の着色技術を組み合わせることで、新しい価値を生み出せないかなと考えました。

長澤さん:最初は「ステンレスに色をつけられない」って言われたんですよ。高岡の技術は、もともとは銅器や仏具に使われていたものだったので。

でも、「何か方法があるはずだ」と思って、折井さんと一緒に試作を重ねました。完成までには2年くらいかかりましたね。

職人の作業風景

長澤さん:そうですね。ようやく商品化できて、これから展示会で広げていこうというタイミングで、2020年にコロナ禍になったんです。それが一番大変でした…。

長澤さん:ご自身への“ちょっといいご褒美”として選ばれる方のほか、父の日や結婚祝い、記念日のギフトとして購入されるケースも増えています。

名前入れなどのオーダーも受けているので、「贈り先様にすごく喜んでもらえた」という声をいただくこともありますね。

長澤さん:お客様が当社の商品を選んでくださる瞬間を見ると、本当に嬉しいです。最近は台湾や香港など、海外のお客様にも商品を届けられるようになってきました。

折燕 ORI-ENの徳利

ものづくりを支える“分業”の力

長澤さん:燕は、一つの会社だけで全部を作る産地ではないんですよ。「この加工はこの会社」、「この技術はあそこの工場」みたいに、それぞれ得意分野を持った職人さんたちがいて、みんなで一つの商品を作り上げていきます。

「こんなものを作りたい」と相談すると、「それならあの会社に聞いてみよう」、「この加工ならあそこが得意だよ」と自然と繋がっていくんですよね。

長澤さん:実際、「技術的に無理でできなかった」という商品はほとんどないです。

誰かが知恵を貸してくれて、協力してくれる。そういう産地だからこそ、新しい挑戦もしやすいと思います。

折燕 ORI-ENの商品

「人とのつながり」が今を支えている

長澤さん:やっぱり“人とのつながり”ですね。

私は工場を持っていないので、職人さんや協力会社さんがいなければ、何も作れません。だからこそ、人との関係を大切にしています。

長澤さん:「起業するなら協力するよ」と商品を分けてくれたり、力を貸してくれたり。

周りの支えがあったからこそ、今があると思っています。

長澤さん:“アルチザン”は、フランス語で「職人」という意味です。当社は工場を持っていませんが、届ける商品には職人さんたちの技術や想いが詰まっています。

だからこそ、“職人の魂が宿る商品”を届けたいという気持ちがありますね。

漆磨 SHI-MOA

世界へ届けたい、“燕の技術”

長澤さん:現在は二つ目のブランド「漆磨 SHI-MOA(シーマ)」を展開中です。これは石川県加賀市の「山中漆」とのコラボです。

今後も色々な産地ともっとコラボしたいですね。燕のステンレスと日本各地の技術を組み合わせながら、さらに新しいブランドを作っていきたいです。最終的には、ヨーロッパやアメリカにも広げていきたいですね。

長澤さん:やりたいことだらけですよ(笑)。将来的には、ショールームとカフェを併設したような場所もやってみたいです。

アルチザンの商品を実際に使ってもらいながら、「これいいね」と感じてもらえる空間が作れたら面白いなと思っています。

長澤さん:燕には、本当に素晴らしい技術があります。

その技術や職人さんたちの想いを、商品を通してもっと多くの人に知ってもらえたら嬉しいですね。

アルチザンのショップ

SNSで記事を共有する