プロフィール
日高嘉信(ヒダカカシン):熊本県出身。5歳の時に親の転勤でタイへ移住。タイにある日本学校を卒業後、高校進学を機に埼玉県へ。その後、早稲田大学、早稲田大学院に進学し、ボランティア活動を積極的に行うなかで“ソーシャルビジネス”という言葉に出会う。卒業後は、東京で全国に福祉事業所を持つ会社へ就職し、新潟県へ転勤。そこで出会った仲間と起業し、本格的に新潟へ移住。農福連携に特化した事業所IWORKSの運営、また農業と働き手のマッチングサービス「農How」を展開している。
『ご縁が重なり、三条市でビジネスを開始』
──日高さんの生い立ちや経歴を教えてください。
日高さん:出身は熊本県です。大学院を卒業後、全国展開している福祉事業所へ就職し、転勤を機に新潟県へやってきました。新潟市と三条市の事業所での勤務を経て、障がい者の就労支援や生活困窮者の就労支援、障がい者の工賃を上げるためのアドバイザー業務などを経験しました。
──前職での転勤が新潟へ来られたきっかけだったのですね。
日高さん:そうなんです。その後、三条市の事業所が撤退することになり、他県への転勤を命じられました。しかし、新潟の土地も人も大好きだったので「このまま新潟県で暮らしたい」と思い、前職の仕事を退職した後、三条市で「一般社団法人禄陽(ろくよう)」を立ち上げました。
── 「一般社団法人禄陽」を立ち上げたきっかけを教えてください。
日高さん:きっかけは前職からお世話になっている岩福農園の岩本さんから「繁忙期は人手が足りないから毎日来てもらえないか」と相談を受けたことでした。しかし、当時勤務していた事業所では週に2回、2時間程度の作業が限界だったんです。そこで「福祉事業に関わってきた自分なら、農家と福祉をより効率良く連携させることができるかもしれない」と考え、仲間たちと「禄陽」を立ち上げました。現在は三条市の他に加茂市にも事業所を展開しています。
『スポット就労を可能にした「農How」で農業をもっと身近に!』
──マッチングサービス「農How(ノウハウ)」をリリースされた経緯を教えてください。
日高さん:農福連携をしてみて、素晴らしい取り組みであると感じた反面、人手が欲しい農家さんのニーズの全てに応えられていないとも思いました。前職よりは農家さんとの連携を強められたのですが、福祉事業所では対応しきれない作業もありました。農家さんと福祉事業所をつなげていくように、農家さんと働き手をつなげることが出来ないかと考えている中で、このマッチングサービスに出会いました。このサービスを使えば農家さんの人手不足を解消しつつ、農福連携も拡げていけると思っています。
──人手不足の農家さんと自分のできる範囲で働きたいという方にぴったりのサービスですね!
日高さん:そうなんです。新潟では後継者のいない農家さんがリタイヤすることで、農地が耕作放棄地となり産地が廃れてしまう事が問題視されています。農家を継ぐ人がいなくなった畑は放っておくと木々が病気にかかり、その病原菌が周辺の畑に舞い、手間暇かけて育てた野菜や果物に危害を及ぼす恐れがあります。また、農家さんが次々と辞めていくことで産地の特産品が無くなるということも危惧されています。その問題を解決するためにも「農業に興味がある」、「農家さんと知り合いになりたい」という人たちを増やしていく必要があると考えています。そこで、農業へ参入するハードルを下げるために「農How」では、農業に特化した求人とスポットでの就労を可能にしたことで、誰でも気軽に応募ができて農業に関われる仕組みを用意しました!
──スポットでの就労ができると気軽に活用できそうですね!
日高さん:「農How」を始めて、農業の仕事に興味がある方が想像以上にいるということに驚きました。今までは農家さんと接点を持つ機会がないし、手軽に応募できる仕組みなかったため、「興味があってもできない」という方が多かったんだと思います。「農How」では、作業マニュアルを事前に見ることができるので、実際の仕事内容を確認しながら応募が出来ます。ですので、初めての方でも安心して応募できると思います。興味がある方はぜひ利用してみて欲しいです。
『福祉充実と農業王国の復活(!?)を目指して』
──これから挑戦したいことを教えてください!
日高さん:今後は「農How」をもっと多くの人に利用してもらいたいと思っています。マッチングサービスは新潟ではまだ浸透していないので、丁寧な対応が必要だと考えています。農家さんが簡単に募集をかけられるようなテンプレートを用意したり、仕事内容や手順を動画で見れるようにしたりと工夫を重ねています。さらに、より多くの農家さんに「農How」を利用してもらうために登録手順が誰にでも分かるようなマニュアル作りも進めています。農業に障がいを持った方や地域に住んでいる主婦の方等、様々な人が入りやすい環境ができればと思っています。
──マッチングサービスに馴染みのない農家さんにもぜひ活用してもらいたいですね!
日高さん:そうですね。農業とのマッチングサービスという言葉を聞いたことがない方にも一歩踏み出してもらえるように私たちが丁寧に寄り添っていけたらと思います。また、農業を継がない理由として多い「重労働」、「気候変動による不安定な収入」、それらを根本から解決する方法も模索し、「福祉が充実した農業王国」として新潟を盛り上げていきたいです!
【一般社団法人禄陽】
住所:新潟県三条市代官島1224番地
電話:0256-46-0238
マッチングサービスを上手く活用した仕組みだな!