【プロフィール】
白井 武人(しらいたけと):新潟県出身。幼少期からホテルの料理長をしていた父にあこがれ、料理の世界へ。和食、洋食と幅広いジャンルを経験し、最終的にラーメン店で働く。その後、間借飯店を立ち上げるも閉店。再就職した会社で新店を任されることに。2025年5月に「麺者 寿限無」をオープンする。
『新潟人261人目は、新潟市北区にオープンした「麺者 寿限無」の店長・白井武人さんです。父親の背中を見て育った白井さんは、料理の世界へ。すぐに訪れた挫折や再出発など、一歩ずつ歩んできた歴史に迫ります。笑顔でご対応いただき、ありがとうございました♪』
父の背中と和食への憧れ
——料理人を志したきっかけを教えてください!
白井さん:ホテルの料理長だった父親の姿を見て育ったのが大きいですね。小さい頃に連れて行ってもらった職場で、父親が同僚と和気あいあいとしている姿を見て、「料理って楽しいのかな」と子供ながらに思いました。
高校卒業後は調理の専門学校に進学し、父親と同じ「和食」を専攻しました。
――専門学校卒業後は和食の道へ進まれたのですか?
白井さん:そうですね。学校の推薦で和食店に就職したのですが、すぐに料理の世界の厳しさを実感しました。
何をするにも厳しい指導が飛んできて…。私のことを思っての指導だったと思いますが、当時の私にそんな余裕はありませんでした。一ヵ月もしないうちに辞めたくなったんですよね。
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辞めたい気持ちをつないだ一言
――それでも続けられたのはなぜですか?
白井さん:親の言葉ですね。「辞めたい」と相談したときに、「もう一日頑張ってみて、頑張れたら一ヵ月頑張ってみたらいい。本当に無理だと思ったらそのときに辞めればいい」と言われたんです。
――ご両親の言葉で前向きになれたのですね。
白井さん:次の日もいつも通りに仕事をして、そのまた次の日も、と続けていたらいつの間にか雇用契約の満期4年が過ぎていました。
あの言葉がなかったら、あの場所で働き続けられなかったと思います。
――契約満了後はどうされたのですか?
白井さん:別の場所で料理人を続けました。しかし、給料が安くて…。修行時代に結婚した妻からは、「もっと給料のいいところはないの?」と言われていました。
最終的にたどり着いたのがラーメン店だったんです。「ラーメンは食べるのも好きだし、いいかな」と軽い気持ちで始めましたね。
――ラーメンを作る側になり、ラーメンへの思いに変化はありましたか?
白井さん:食べ歩きをするときは4〜5軒を回るのですが、「この一杯を作るために、どれほどの時間を要しているのだろう」という思いを、今度は自分の一杯に落とし込むようになりました。
――その経験がオリジナルの一杯に反映されているのですね。
白井さん:そうですね。勉強しながら試行錯誤を重ねて、オリジナルの一杯を完成させる過程はとても楽しかったです。
――一方で、チャーハンに対してはどうですか?
白井さん:ラーメン屋で働くまで、中華鍋を振った経験はありませんでした。だから、その分とても新鮮でしたね。
例えるなら、それは一瞬の勝負。鍋の温度、油の量、卵や米の量、鍋の振り方など、これらの要素を自分の中に落とし込み、一発勝負で瞬間的に引き出して仕上げる料理です。
――作ってみてどのように感じましたか?
白井さん:毎回同じように作っているつもりでも、どこか違う仕上がりになったり、100点を出し続けるのが難しい料理だと感じましたね。
だからこそ、「この料理で勝負をしてみたい」と思うようになりました。
勝負を決めた一皿
――それで「間借飯店」を始めたのですね?
白井さん:ご縁があって知り合った「アジアン料理 ミルチリオ」さんの定休日に、間借りする形でチャーハンのお店を始めました。「私の作る料理と私自身を世にプレゼンしてみたい」という気持ちがありましたね。
約1年続けた後に新潟市西区へ移転しました。西区の店舗では、ずっとやりたかったラーメンも提供していました。
――間借飯店の経験で得たことはありますか?
白井さん:間借飯店を始めた当初は私一人で営業していました。1人だった経験があったからこそ、“周りのメンバーがいるから自分も仕事ができるし、周りのメンバーのためにその場所に自分がいるんだ”と感じています。
風天から寿限無へ
――「天晴れグループ」に入社したきっかけを教えてください!
白井さん:実は、間借飯店を休業していたのは親が亡くなり、気持ちが折れてしまっていたからです。しかし、「親孝行もまともにできていなかったのに、自分はこのままでいいのか」と考え、転職をしようと決意しました。
そこで今度こそ飲食業を離れようと思い、転職情報を見たのですが、目線が飲食以外で止まっていない自分に気がついたんです。それで最後に賭けてみようと応募したのが「天晴れグループ」でした。
――「天晴れグループ」の求人に惹かれた理由はあるのですか?
白井さん:「天晴れグループ」が運営していた焼肉店が好きで、常連だったんです。味はもちろんですが、接客が気持ちよくて、行くたびに元気になって帰っていました。
「みんな生き生きと働いていたあの会社なら…」とそんな思いでしたね。
――入社後はどんな業務を担当されたのですか?
白井さん:「風天 新崎店」の配属となり、調理を担当していました。続けていく中で、「やっぱりチャーハンを作りたい」という想いが強くなったんですよね。
――チャーハンへの思いが強かったのですね!
白井さん:オーナーがチャーハンをの試験をしてくれることになったんです。それで食べてもらったら、「チャーハンとラーメンをメインにしたお店を出そう」と言ってくれて…。
そこから、この「寿限無」のプランが走り出しました。
――「麺屋 寿限無」の魅力は何ですか?
白井さん:落語の“寿限無”に由来する店名のように、この場所で愛され続けるように開発したラーメンとチャーハンです。
キレあるスープに数種類のラードを配合した“奥行あるコク”に、しなやかな食感の平打ち麺を合わせています。
チャーシューは常に切りたてを使用し、パサツキのない肉本来の味わいが麺やスープと出会うことで、シンプルながらも奥行ある一杯に仕上げています。
――自慢のチャーハンはいかがですか?
白井さん:チャーハンについては、とにかく一度食べてください!(笑)チャーハンの名店へのオマージュとなる「とびっこチャーハン」は特におすすめです。
――最後に、今後の目標を教えてください!
白井さん:一緒に働くスタッフや地域の方々など、たくさんの人に支えられて当店があります。良好な関係を続けながら、“ずっと愛される店”になりたいです。
【麺者 寿限無】
住所:新潟市北区石動1-23-2
電話:025-385-7747
営業時間:11:00〜21:00
駐車場:有
公式Instagram
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