【プロフィール】
ホンマジュンコ:秋田県出身。幼少期は父の仕事で青森、宮城を転々としたのち、小学4年から高校卒業まで新潟市内で過ごす。デザイナーを目指して東京の専門学校へ進学し、都内のデザイン事務所に就職する。1年後には新潟へ戻り、2016年に独立するまで新潟市内のデザイン事務所に勤める。Instagramでイラストを投稿したことをきっかけに、亡き祖母への想いをもとに描いた『梅さんと小梅さん』シリーズ(KADOKAWA)が書籍化され、2023年6月には新刊『ゆきとおじいちゃん』(新潟日報メディアネット)を発行するなど、作家としても活躍している。
ガタチラスタッフ:『新潟人163人目は、イラストレーター /ホンマジュンコさんです!デザイナーを目指して上京し、都内と新潟のデザイン事務所での経験を経て独立。「気付き」から生まれた作品が「出会い」をきっかけに『一冊の本』となり、多くの方から共感を得ています。そんなストーリーとホンマジュンコさんの想いをお聞ききしました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
大切な祖母の存在
–絵を仕事にしたいという夢は当時からあったのですか?
ホンマさん:自分の絵が仕事になるとは全く思っていませんでしたが、「イメージをカタチにする仕事がしたい」という思いはあったので、グラフィックデザイナーを目指すことにしました。それで高校卒業後は関東にあるデザインの専門学校へ進学し、そのままデザイン事務所に就職したのですが、やはり大好きな新潟への想いが強くなってすぐにUターンしたんです。
–現在は独立されてデザインの仕事をされていますが、きっかけはあったのですか?
ホンマさん:祖母が突然亡くなったことがきっかけでしたね。「今」という時間を大切にしなければと強く実感した出来事でした。会社員の時は家族との時間があまり取れていなかったことに気付いて働き方を変えようと思ったんです。同時に、「“大切な人が明日も生きているという保証はどこにもない”という事を多くの人に伝えたいし、後悔してほしくない」と思いました。
–それで投稿を始めたのが「梅さんと小梅さん」なのですね!
ホンマさん:そうなんです!毎日忙しいと、大切な人に対して何かを伝える事も「明日でいいや」とか、「休みが取れたら会いに行こう」とか、どうしても後回しにしてしまいがちですよね。私もそうでした(泣)。けれど、それが明日必ずできるとは限らないので、作品を通して伝えています。
共感の声に背中を押されて
–投稿を見た方からの反応はいかがでしたか?
ホンマさん:思っていた以上に「おばあちゃん子」が多くて驚きました!作品の言葉がすごく響いた様で、「次の週末すぐ会いに行きます!」などと言ってくれる方もいて、投稿して本当に良かったなと思います。
–ホンマさんの“実体験だからこそ届く言葉”も多いのでしょうね!
ホンマさん:それは大きいかもしれないですね。実際は祖母とは離れて暮らしていたので、当時の願望が少し入っている部分もありますが(笑)、現在の自分の娘と母親との関係性も含めて描いています。
–2作目『ゆきとおじいちゃん』(新潟日報メディアネット)はどのようにして誕生したのですか?
ホンマさん:たまたま1作目を見てくださった編集担当者の方が、プロフィール欄の“新潟在住”というのを見てDMをくださったんです。「新潟を舞台に温かな一冊を作りませんか」とお声掛けくださったのがきっかけですね。新潟が大好きなので、お話をいただいた時はとても嬉しかったです!!
–お話の中の「新潟あるある」にたくさん共感しました!(笑)
ホンマさん:『梅さんと小梅さん』シリーズ(KADOKAWA)は秋田が舞台でしたけど、そこまで秋田色を強く出した作品ではありませんでした。今作は“新潟あるある”をたくさん詰め込んだので、県民の方には特に共感部分が多いと思います。私のように県外から嫁いできた方や新潟出身で県外に住んでいる方にも、読んでほっこりしてもらいたいですね。
–『ゆきとおじいちゃん』を描くうえで大変だったことはありますか?
ホンマさん:私自身の祖父は生まれる前に亡くなっていたので、「おじいちゃん」を描くにあたって、モデルとなる存在がいなかったことですかね。理想や想像で描いた部分がその分大きくて、リアリティを持たせるのが大変でした。これまで出会ってきた近所や友人のおじいちゃんを思い出しながら作り出しました。あとは、自分の子供と父親の関係性も参考にしましたね。
絵だけで表現できることを大切に
–ホンマさんのイラストは表情の描かれ方が印象的ですが、どのような点にこだわっていますか?
ホンマさん:私が描く絵は、顔の造形自体はとても簡単なのですが、その中でもちょっとした表情を表現する所にはこだわっています。「笑う」と一言で言っても、“悲しそうに笑う事”や“本当は納得いかないけどとりあえず笑う事”もありますよね。その辺りのちょっとしたニュアンスの違いを表現できるまで何度も描き直すほどこだわっています。
–文字より絵で強く表現されている印象がありました!
ホンマさん:それも意識している部分ですね。文字をあまり多くし過ぎず、なるべく絵で伝えられるようにしています。そのおかげか、手に取ってくださった方が「読みやすいから」と周りの方にお勧めしてくださる事が多くあります。「手紙の代わりにプレゼントしたよ!」というのを聞いて、とてもありがたいなと思いましたね。
–特に印象に残っている読者の方とのエピソードなどはありますか?
ホンマさん:「ご家族が入院中に愛読していた」という方からのメッセージが印象的でした。とても残念なことに、入院中にそのまま亡くなられてしまったそうなのですが「葬儀の際に大好きだった『梅さんと小梅さん』も棺に入れて見送りました。お気を悪くしたらすみません」というご連絡でした。最期まで読者さんのお供ができるなんて、私からしたら「そんなに嬉しいことはない」と思ったんですよね。この物語を書いて本当に良かったなと思った瞬間でした。
いま大事にできるものを大切に
–実際に拝読しましたが、おじいちゃんの温かい言葉が素敵だなと思いました!
ホンマさん:ありがとうございます!言葉って大切ですよね。離れていても、時が経っても、誰かにかけられた大切な言葉は自分の中にずっとあって、人生の節目節目でその言葉の意味を考えては支えてもらっていると実感します。
–今後、挑戦したいことはありますか?
ホンマさん:いつか絵本を描きたいです!幼少期に何度も母から読んでもらっていた絵本の内容は、今でもはっきりと覚えています。そんな風に、人生で何度も思い出すような絵本を作りたいですね。
–素敵ですね!ぜひ読んでみたいです!!
ホンマさん:そういっていただけるとモチベーションになりますね!あとは、ウイルス禍前に原画展を開催した時にすごく反響をいただいたので、またそういう場を設けられたら良いなと思います。SNSでは色々なやり取りができますけど、実際に読者さんやフォロワーさんにお会いしてやり取りできる嬉しさも実感したので、ぜひまた実現したいです!
–最後に、読者の方へメッセージをお願いします!
ホンマさん:私の描く作品にはどれも『いま大事にできるものを大切に』という思いが根底にあります。ぜひその言葉を受け取ってもらって、今ご自身の周りにある大事なものを、大切にして欲しいと思います。手軽に読んでいただける話なので、サクッと読んでみてください!
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『ゆきとおじいちゃん』発売記念 原画展示
開催日時/2023年7月29日(土)~2023年8月31日(木)
10:00~19:00(月~土)、10:00~18:00(日・祝)
※8月18日(金)より原画を入れ替え展示
会 場/萬松堂 古町本店(新潟市中央区古町通6番町958番地)
【ホンマジュンコさんのSNSはこちら】
▸Instagram @umetokoume
▸Twitter @umetokoume1
『いま大事にできるものを大切に』って良い言葉ね。
早速読んでみよう!