日本全国のメディアをエッセイで繋ぐ、この企画。次々とバトン(テーマ)を変えて、次の街角にリレーしていきます。
『もっと和歌山』松本さんからもらったバトンは、「福井生まれのおいしいもの」。
“其の一”として、お餅について語らせてください。

福井県民は、何を隠そう、“餅”好きです。
2025年家計調査によると、福井市の餅の年間支出額は全国1位。
春の「桜餅」や「草餅」、夏土用の「あべかわ餅」、お彼岸には「ぼた餅」、冬の「とぼ餅」。
福井土産の定番も「羽二重餅」。
正月用の餅を家でつくと、つきたてをおろし餅やきなこ餅にして半分は食べてしまう、というのはよくある話。
子どもの頃は餅つき機でしたが、最近はもっぱらホームベーカリーが活躍しています。
親族や仲間が集まって、杵と臼で本格的に餅つきをする家庭もちらほら。
子どもの初節句に「節句餅」を配る風習や、1歳の誕生日のお祝いに餅を背負わせる「一升餅」、「米寿」と書かれた餅をお世話になった人に贈る長寿祝い、厄年の男性が餅をまく神事など、ハレの日や特別な節目に餅は欠かせない、切っても切れない間柄です(餅だけに)。
一方で、福井県は正月に餅を食べない「餅なし正月」の伝承が残る地域も多いことを最近知って驚きましたが、1月2日には解禁になるそう。
さて、福井県のご当地餅として最もユニークだと思うのが、池田町の「ばんこもち」。
もち米とうるち米、大量のよもぎを混ぜた餅を干して乾燥させた保存食で、1月から約2カ月間、“寒(かん)の時期”だけ作られます。
丸太の切れ端「ばんこ」に似ていることからこの名がついたそうで、地元では「なべしき」とも。
水で戻して焼いて食べると、よもぎのさわやかな香りが口いっぱいに広がります。

所変わって、よもぎを練り込んだ餅でつぶあんを包んでこんがり焼き上げた「勝ち山おやき」も美味。
勝山市で親しまれる餅菓子で、一説には、とある和菓子店の創業者が旅先で草団子を焼く様子をヒントに始めたといわれています。
勝山市内の和菓子店11店舗で販売され、それぞれよもぎの量やあんの甘さなどに違いがあるので、好みの一品を探すのもおすすめです。
そして、夏に食べたくなるのが「あべかわ餅」。
暑気払いや厄払いに食べられる、いわゆる「土用餅」で、福井県民は、冬はこたつで「水ようかん」、夏はクーラーの下で「あべかわ餅」をいただきます。
黒蜜をからめた餅にきな粉をまぶして食べるのですが、日持ちしないため、県外の人にはあまり知られていない隠れたソウルフード。
餅にきな粉と白砂糖をまぶした静岡県の「安倍川もち」がルーツといわれていますが、伝わった時期や理由ははっきりしていません。 諸説ありますが、参勤交代や旅人を通じて福井に伝わり、夏場でも傷みにくい黒蜜が使われるようになったのだとか。

あべかわ餅は、専門店のほか餅屋や和菓子店で出合えます。
黒蜜ときな粉をかけてあるものと、別添えで食べる直前に自分でつけて食べるタイプがあり、そこでも好みが分かれます。
私は、しっかり味がなじむ“店がけ”派。
店頭で、目にもとまらぬスピードで餅に黒蜜ときな粉をかける様子は、ずっと眺めていたくなる福井の風景です。

今回ご紹介したのはほんの一部。
福井土産の定番「羽二重餅」は進化を遂げていますし、いちご大福やかき餅、だんご、変化球のわらびもち、葛もちなど、まだまだあります。
ぜひ、福井で食いだおれならぬ“もちだおれ”を楽しんでほしいです。
次回は、大阪にバトンを渡します。
お題は、「ブーム、来てます」。
福井は今、空前の麻辣湯ブーム。
半年前までは麻辣湯を提供するお店が1、2軒あるかないかだったのに、あれよあれよという間に続々オープンし、食べ比べを楽しめるまでに。
大阪で今キテいるモノやコト、ありますか?(予言でもOKです)
インフォメーション
| 街角リレーエッセイ 参加メディア | 長崎 ながさきプレス 広島 Wink 和歌山 もっと和歌山 大阪 SAVVY 京都 ハンケイ500m 福井 ふーぽ |
|---|