【プロフィール】
熊倉 一真(くまくら かずま):燕市出身。開志専門職大学事業創造学部に在学中の3年生。2年生時に「ことぶきファーム燕」を起業し、米の卸売事業をスタート。祖父と叔父が作った特別栽培米コシヒカリを扱い、県内外での販路拡大や新商品の開発に取り組んでいる。
憧れから始まった挑戦
──開志専門職大学に進学した理由は?
熊倉さん:高校3年の頃から経営者に憧れていて、「起業できる環境で学びたい」と決意し、開志専門職大学に進学しました。
──経営者に憧れたきっかけは?
熊倉さん:高校時代の恩師がかつて経営に携わっていた方で、授業の中でその経験や想いを熱く語ってくれました。
その話を聞いて「自分も夢を大きく持ちたい」と思うようになり、“起業”を意識するようになりました。
──大学ではどんな分野を学んでいますか?
熊倉さん:会社経営や会計、マーケティング、簿記など経営に関わる内容を幅広く学んでいます。
企業内実習など実践的な授業も多く、特にマーケティングや商品開発の分野は自社の事業にも活きていますね。
──アイデアはどのように生まれますか?
熊倉さん:日常の中で「何か面白いことはないか」、「事業にできそうなものはないか」を考えています。
大学でも「常に考えろ」と言われているので(笑)。その習慣が自然と身につきました。

家族のお米を届けたい
──ご実家が米農家なのですね!
熊倉さん:そうなんです。小さい頃から田んぼで働く祖父の姿を見て育ちました。田んぼが広くて、当時は「大変そうだな」という印象でしたね。
ただ、車の運転ができるようになってからは手伝える範囲も広がり、少しずつ役に立てるようになったかなと思います。実際に関わるようになってからは農業に対するイメージも変わって、大変さだけでなく面白さも感じるようになりました。
──なぜお米に着目したのですか?
熊倉さん:起業を考える際に、大学の先生から「まずは身近なものに目を向けるといい」とアドバイスをいただきました。
そこで、一番身近だった“お米の生産・販売”に挑戦しようと決めました。

──事業として始めようと思った決め手は?
熊倉さん:一番の理由は、「家族が作るお米を多くの方に届けたい」という思いです。
実際に田んぼを継いだのは叔父なので、自分は商品開発や販売の部分で米作りを支えようと考えました。
──ご家族の反応は?
熊倉さん:最初は反対されましたね(笑)。それまでやったことのない挑戦だったので、「何を言っているんだ」という反応でした。
ですが、少しずつ形になっていく中で応援してくれるようになりました。
──学生起業に迷いはありませんでしたか?
熊倉さん:大学に入った理由が「経営者になりたい」だったので、4年間の中で必ず実現したいと考えていました。
何かを決める時は家族に相談することもありますが、最終的には自分で判断するようにしています。

ゼロからの米ブランドづくり
──起業時の課題は?
熊倉さん:まず、「お米をどう売り出していくか」が最大の課題でした。
パッケージの制作や商品名、販売先の開拓などすべてがゼロからのスタートでした。
──パッケージのこだわりを教えてください!
熊倉さん:実は、今のデザインに行き着くまでに、20回ほど見直したんです。「特別栽培米の魅力をどう伝えるか」を重視し、シンプルさと分かりやすさを追求しました。
左上に赤い丸を配置し、「農薬50%減」という文字を入れました。白を基調としたパッケージなので、日の丸をイメージして目を引くデザインにしています。

──『ゆいつ』の由来は?
熊倉さん:なかなか決まらず苦労しましたね(笑)。最初はキャッチコピーをいくつか作って、連想するネーミングを考えていました。
その中で「唯一(ゆいいつ)」という言葉に惹かれたんです。一度食べたらまた選びたくなるような、食べてくださる方にとっての“唯一のお米”になってほしいという思いを込めました。
──販売までの道のりは?
熊倉さん:お米を多くの方に届けるために、販売先の開拓には特に力を入れてきました。初めてのお取引先である「マルセン(三条市のスーパーマーケット)」さんは、ご縁をきっかけに販売が実現しました。
相談した際にも「うちでやっていいよ」と温かく受け入れてくださり、本当にありがたかったですね。
──店頭に商品が並んだ時はどんな気持ちでしたか?
熊倉さん:商品が店頭に並ぶ日を夢見て、半年間準備してきたので、本当に感動しましたね。
「やっとスタートラインに立てた」という思いでした。
──オンラインでも販売されていますよね!
熊倉さん:より多くの方に祖父のお米を届けたいと思い、通販サイト「ガタ市」にも出品しています。
店頭まで足を運ぶのが難しい方にも購入していただけますし、県内外を問わず気軽に注文できるので、多くの方に『ゆいつ』を知っていただけたら嬉しいですね。

冷めても美味しい『ゆいつ』の魅力
──『ゆいつ』の特徴は?
熊倉さん:特別栽培米で、「冷めても美味しい」のが最大の特徴です。
昔から美味しいお米だと感じていましたが、県外からも多くのお褒めの言葉をいただいています。実際に県外のお米と食べ比べる中で、改めてその魅力を実感しましたね。
──ご家族が作るお米を扱うことへの責任感も大きいのでは?
熊倉さん:「一族で作っているお米」なので、より多くの方に商品を届けることが自分の役目だと思っています。
販売や商品開発という立場ですが、「一人でも多くの方に食べていただきたい」という想いを一番大切にしています。
──どんな方に商品を届けたいですか?
熊倉さん:特にターゲットを限定しているわけではないので、どんな方にでも食べていただきたいです!
特別栽培米なので、健康志向の方にもおすすめですね。ぜひ他のお米と食べ比べて、美味しさを実感していただきたいと思います。

次なる挑戦は“ユーグレナ米”
──新しい商品開発にも取り組んでいるそうですね!
熊倉さん:現在は、さらに独自性のあるお米づくりを目指して、新商品の開発に取り組んでいます。その一つが、ユーグレナ(ミドリムシ)を肥料に活用したコシヒカリです。
このアイデアを、大学が実行委員会の中心として参画している「OpenGate NIIGATA」というビジネスアイデアコンテストで発表したところ、予選で優秀賞、本選で奨励賞を受賞することができました
──どのような経緯で開発が始まったのですか?
熊倉さん:コンテストをきっかけに、本学学長で東京大学名誉教授の各務先生からお声がけをいただきました。そのご縁で株式会社ユーグレナ様をご紹介いただき、本格的に研究がスタートしたんです。
まさか自分のアイデアがここまで発展するとは思っていなかったので、本当にありがたいご縁だと感じています。
──現在はどのような段階なのでしょうか?
熊倉さん:今年は田植えも行い、秋には収穫を迎える予定です。
どのようなお米に育つのか、自分自身もとても楽しみにしています。まずはしっかり形にして、多くの方に届けられるように販路を拡大していきたいですね。
──最後に、今後の目標を教えてください!
熊倉さん:今年の新商品を成功させることが目標です。その後は、東京をはじめとした県外での販売や新しいお米の開発、お米を活用した加工食品への挑戦も視野に入れています。
これからも新しい挑戦を続けながら、“新潟のお米の魅力”を全国に届けていきたいと思います。

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