J1昇格から残留争い、そして現在もアルビレックス新潟の試合を見ている、サポーターのコールリーダー近藤さんにお話をうかがいました。
プロフィール
近藤 史貴:17歳からアルビレックス新潟サポーターのコールリーダーを務め、リーグ戦だけでなく国内キャンプ、海外カップ戦など常に現地に赴く。2019年には応援団体【BRIGADA F.A.N.S.】を立ち上げ活動している。
コールリーダーとしての雰囲気作り
――アルビレックス新潟のサポーターになったきっかけはなんですか?
近藤さん:父親が元々サッカー好きということもあり、自分自身も小学校低学年からサッカーを始めて、試合を見に行くようになったのがきっかけです。初めてアルビレックス新潟の試合を見に行ったのは小学校に入学する前でした。
――コールリーダーの役割はなんですか?なったきっかけも教えてください。
近藤さん:特にコールリーダーになろう!と思ってなったわけではなく、17歳の時に周りからのサポートもあって気がついたら始めていた感じです。コールリーダーとして、試合の流れを見ながらスタジアムで応援歌の第一声をあげています。応援は、「今日はこの曲を使う」と試合前の時点で決めず、その時の選手やスタジアム、スタンドの雰囲気を見て歌っています。勝っている時と負けている時では選曲も変わってきますね。ピッチに立っている選手のプレーに対し、できるだけ即座に反応したいからダラダラ歌わないようにしています。ただ状況によっては、「思うところを選手に伝えたい、そのためにはまず自分たちサポーターが応援で意地を見せ、それを選手に感じ取ってほしい」という時は歌い続けることもあります。試合の流れ・雰囲気を感じ、読み、判断しています。
――応援歌は現在何曲あるのですか?
近藤さん:現在試合中に使う応援歌は7〜8曲あります。応援歌のベースは昔から歌ってきたものを使用しますが、自分達が中心となってからも数曲増えました。新しい歌はみんなで意見を出し合い、試合中に歌う場面を考えながら作っています。作った歌は実際にスタジアムで歌うとイメージが違う場合もあって難しいですね。
――コールリーダーのやりがいや、大変だと感じる点について教えてください。
近藤さん:厳しい試合状況の中、攻撃的な曲で応援した時に点が入ると「ピッチとスタンドがリンクしたな」と感じますし、応援した試合で勝った際に仲間が嬉しそうにしているとやりがいを感じます。試合で負けが続いているとどうしてもサポーターもネガティブな雰囲気になってしまいます。そこをどう良い雰囲気に変えられるかというのは大変でもありますが、やりがいでもあります。
あとは、サポーターの色々な意見をまとめるのも大変な点ですね。なかなか人数も多いので(笑)。多くの人がいると批判が出るのも当たり前ですが、根本的な部分はブレずに、プラス思考で考えを曲げないようにしたいです。
次の世代へのバトンタッチを考えて作った応援団【BRIGADA F.A.N.S.】
――応援団【BRIGADA F.A.N.S.】(ブリガーダ ファンズ)について教えてください。
近藤さん:「BRIGADA F.A.N.S.」はアルビレックスの応援団として約30名で活動しています。若いメンバーを中心に構成されていて20代後半が多いですね。これまでのアルビレックスには「応援」を中心に据えた集団はありませんでした。しかし自分達が年齢を重ね、次の世代に上手く繋いでいかなければいけないと思って「BRIGADA F.A.N.S.」を作り、今はその看板の下で一丸となって応援しています。サポーター同士の交流の場としてイベントなども行っていて、今年は開幕戦前に100人程の規模でキックオフパーティーをやらせてもらいました。
――試合の応援以外での活動はありますか?
近藤さん:試合前にはスタジアムに横断幕を張ったりもします。試合後の結果によっては次の試合で何をするか?といったことを話し合い、チームが苦しい状況であれば聖籠町の練習場まで行って選手たちに声を掛けます。高知県で行われたキャンプを見に行ったり、試合の90分だけではなく、試合に繋がる前後の過程も応援したいと思っています。
――他チームの応援との違いなどはありますか?
近藤さん:色々応援スタイルがある中で、一つの型にはまらず良いと思ったことはどんどん取り入れてやってみます。ダメならまた考えれば良いという気持ちでとりあえずやってみます。
――クラブ・選手・サポーターの距離感は?
近藤さん:練習場に行った時に選手と会話はしますが、プロの選手に対するリスペクトがありますし、プライベートとは線引きしています。試合後は、自分達の応援に対する想いや行動の意図が正しく伝わるように、選手にはできるだけ直接声を掛けて理解してもらうことで信頼関係を築いています。また、サポーターに関しては応援のやり方の違いはありますし、コミュニケーションを取らないと毎週試合が進んでいく中でわだかまりが出来てしまいます。今はSNSで気軽に連絡が取れますが、文字だけだと気持ちが伝わらないと思っているので、時間がある時は顔を合わせて直接話をするようにしています。クラブ・選手・サポーター、それぞれに対してコミュニケーションを取ることを何よりも大事にしています。
アルビレックスが中心になり新潟の街が盛り上がる…そんな存在になって欲しい
――近藤さんが思う「アルビレックス新潟」の魅力を教えてください。
近藤さん:職業や年齢に関係なく、一丸となって一つのものに向き合えるのは魅力的なことだと思います。歳を取るほど新しい友人を増やすのは難しいですが、アルビレックスを通じて新しい人と知り合うことができますし、常に動きのある非日常的な空間が面白いと感じています。全国どこへ行っても他チームのサポーターも含めた知り合いがいるのも楽しいです。
近藤さん:自分がコールリーダーを始めた17歳の頃、一緒に応援活動をしていたのは5,6人で、若い世代はスタジアムに全然いませんでした。20代30代になったらどうなるのかと不安でしたが、その頃に比べたら今は若い人たちがとても多いです。アルビレックスが新潟の街の中心となり、試合後にはサポーターの賑わいで新潟の街が盛り上がる・・・アルビレックスにはそういった存在になって欲しいと願っています。しかしながら、J1とJ2では新潟県民の感心や捉え方も全然違ってきます。勝負の世界ですからJ2のままではなかなかメディアにも取り上げてもらえません。だからこそサポーターと一丸となり、J1昇格を目指して精一杯応援していきたいですね。
みんなで強いアルビレックス新潟を作っていきたい
――アルビレックス新潟の応援で「ここを見て欲しい」という所はありますか?
近藤さん:スタジアムの一体感ですね、ゴール裏だけではなく、勢いがついた時はメインスタンドやバックスタンドも手拍子が凄いことになります。私たちはピッチでプレーする選手ありきのサポーターだと自負していて、単に応援するだけではなく試合を見る時間もきちんと作り、メリハリある応援を心掛けています。客観的に見ても、アルビサポーターは選手の一つ一つのプレーに対するリアクションが強いと思います。
――アウェーの試合でのサポーターの雰囲気はどんな感じですか?
近藤さん:現在、アルビレックスのアウェーでの観客動員数はJ2の中で一番多いです。関東圏に住んでいるサポーターがとても多いので、関東では平日夜の試合でも多くのサポーターが応援しに行きます。それこそがアルビレックスの武器です。アウェーでもスタンドにサポーターが沢山入っていれば相手チームにプレッシャーをかけられます。敵陣に乗り込んでいるからこそ「頑張らなきゃ!」と熱い応援をする人が多いですね。
――最後に新潟の皆さんに伝えたいことはありますか?
近藤さん:新潟一丸となって戦おうとしていますが、年々観客動員が少なくなってきて、4万人入るスタジアムに1万人というのは寂しいです。勝ち負けはもちろん大事ですが、勝負だけではない楽しさがあります。みんなで強いアルビレックスを作っていきたいですし、一人一人がスタジアムに来て応援することで絶対変わってくると思います。サポーターは多ければ多いほど盛り上がるので、少しでも興味があれば是非スタジアムへ来てください!
TwitterではBRIGADA F.A.N.S.の活動を発信しています。
サポーターの一体感がすごいよね!試合の応援はその場の状況を見て決めていたんだ・・・J2リーグも再開したし、はやくスタジアムで見られるようになるといいな~!僕もオレンジのユニフォームを着て一緒に応援してみたい!