【プロフィール】
残間 健太郎(ざんま けんたろう):新潟市生まれ。服飾の専門学校を卒業後、一般企業に就職。2006年から母が始めた縫製工場でプランニングディレクターを務める。現在は、スパンギャルド東京企画室で画期的な商品開発を担当。
白石 香里(しらいし かおり):新潟市生まれ。実家の裁縫工場でものづくりの現場監督を務めるプロダクトディレクター。昨年から準備を始めていた新商品「越乃ラベルハンカチ」では、各蔵元へのアプローチも担当。
『新潟人243人目は、新潟市東区にある“モノづくり”の会社「スパンギャルド」の残間健太郎さんと白石香里さん。お母さまが始めた縫製工場を2006年に法人化し、姉弟で自社ブランドを立ち上げられました。商品づくりへの思いを中心にお話を伺いましたよ!笑顔でご対応いただき、ありがとうございました♪』
「輝く、前衛的なモノづくり」
——「スパンギャルド」が誕生した経緯を教えてください!
残間さん:私が2歳のときに、母親が自宅の車庫の上に小さな縫製工場をつくったのが始まりです。当初は下請けの仕事をこなす程度でしたが、バブル景気で多くの仕事を受注できるようになったそうです。
その場所では手狭になって、移転しましたが、しばらくして一気に仕事がなくなって…。再び規模を縮小することになりました。
——バブルの影響を受けられたのですね。
白石さん:北区に小さい工場を借りて「心機一転」と思ったら、今度は化粧品会社から洗顔用のパフの製作依頼が来て、そこで再びバブルとなりました。
残間さん:この洗顔パフのバブルが収束しかけた2006年に、私も家業を継ぎ、法人化して「スパンギャルド」としました。
——「スパンギャルド」の名前の由来は何ですか?
白石さん:“スパンコール(輝く)”を意味する「スパングル」と、“前衛、革新的”を意味する「アバンギャルド」をあわせた造語です。「輝く前衛的なものをつくる会社にしたい」という思いが込められています。
——弟さん(残間さん)が会社に入られると聞いてどう思われましたか?
白石さん:嬉しかったですね。それまでは、他社からの依頼でしかモノづくりを行っていませんでした。「自分たちのブランドを立ち上げて商品をつくりたい」と常に思っていたので、実現できることに“ワクワク”しましたね。
——商品設計はどなたが担当されているのですか?
残間さん:私が担当しています。「自分のブランドをどういう企画で作っていくのか」、「どうやって売り込むのか」を考えるのが仕事です。
白石さん:“彼が脳みそで、私が手先”というような役割分担ですね。
——最初に立ち上げたブランドを教えてください!
残間さん:「Jamila(ジャミラ)」という子供とママ向けのブランドです。全国大手の店舗とも取引させていただくほど好調でした。
しかし、出生数が100万人を切ると言われ始めた時期でもあり、新しいブランドを立ち上げました。
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新潟アイコンとの多様なコラボ
——「THE CANVET(ザ キャンベット)」のブランドについて教えてください!
白石さん:当初メンズ寄りのアイテムもつくっていましたが、現在は“カバンがメインのブランド”です。
残間さん:工場見学に来ていた商社の方が僕の書いたパターン(カバンの元となる型紙)を見て、「これは面白い!特許を取って、同じ製法で当社の商品を作って欲しい」と言ってくださって…。それですぐに東京へ呼ばれて、2019年に特許を取得しました。
——画期的な製造方法だったのですね…!
白石さん:「THE CANVET」の中の「UNIVERSAL(ユニバーサル)」は、『生地裁断時のゴミを0にする』『技術開発からコストを見直す』『革の廃材を再利用する』をコンセプトにしたシリーズです。
特許を取得したパターンも、同シリーズの一商品として書いたものでした。生地を切り落とさず、端っこなども上手に使って、まるで折り紙のようなカバンづくりです。
——この技術を使ったブランドが『WWW BAG』なのですね!
残間さん:「World Without Waste(無駄のない世界)」の頭文字を取って名付けました。現在では、1748年から続く染物屋「越後亀紺屋(阿賀野市)」や、高い刺繍技術を持つ「塚野刺繍(五泉市)」など、職人の方々とコラボしています。
昨年からは、バスセンターのカレーで有名な「万代そば」さんや今後商品化が始まるイタリアンの「みかづき」さん 、プロレスラーでタレントでもある「スーパーササダンゴマシン」さんといった“新潟を代表するアイコン的な場所・人とのコラボ商品”も開発しました。
日本酒ラベルをハンカチに!?
——新潟の視点が強くなったのはなぜですか?
残間さん:約1年前に、くも膜下出血で倒れたんです。その時に、「自分がいなくてもモノづくりを続けられる仕組みを作らないといけない」と思いました。
そこで行き着いたのが、「新潟」です。この場所で生まれ育ったからこそ、「地元に根づいた商品づくりにより力を入れていこう」と考えたんです。
白石さん:そうした中で、弟から新しいブランドや商品の提案をもらいました。
——最新作はどんな商品ですか?
残間さん:新潟の日本酒のラベルを配した『越乃ラベルハンカチ』です。新潟といったら、やはり日本酒をイメージする方も多いと思います。コレクション性があり、お土産として持ち帰るにもコンパクトで手頃です。
蔵元さんにとっても、今までにない切り口で蔵や日本酒のことを知っていただく機会になると考えています。
白石さん:東京にいることが多い弟に変わって、私が蔵元さんとの交渉を担当しています。経験したことのない業務でしたが、実際にやってみると楽しいんですよね。
ブランドやアイテムをつくる背景を含めて共感していただいて、実際につくった商品への反応を見ることができます。内勤では体験できない、貴重な経験を重ねていますね。
——何社のラベルハンカチを販売しているのですか?
白石さん:(2025年2月時点で)県内18蔵27銘柄のラベルハンカチができました。新潟や長岡、越後湯沢のぽんしゅ館のほか、新潟空港でも購入できます。
残間さん:6月まではテスト販売期間なので、期間内に最低でも40蔵に増やしたいですね。
——最後に、今後の目標を教えてください!
残間さん:当社の商品を通して、「新潟を楽しくしていきたい」です。インバウンドも含め、多くの観光客に来県してもらうきっかけになる商品づくりをしたいと思います。
“面白い刺激を発信し続ける”ことで、次の『面白いことをしたい世代』が発信しやすい土壌を作りたいですね。
【株式会社スパンギャルド】
住所:新潟市東区古川町1-5
電話:025-383-6810
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私も『越乃ラベルハンカチ』が欲しいわ~♪