プロフィール
佐野佐枝子(さのさえこ):神奈川県で生まれ、親の転勤に伴い日本各地を転々と過ごす。生活習慣病の運動指導を学ぶ為に大学へ進学し、健康運動指士の資格を取得する。卒業後は静岡県の整形外科医院併設のフィットネスクラブに就職し、健康運動指導士として従事しながら高校の部活動でスポーツトレーナーとしても活動する。その後、新潟へ移住し、新潟リハビリテーション病院へ理学療法士として入職。ロコパークへ異動してからは多くの方の健康をサポートしている。
ガタチラスタッフ:『新潟人108人目は「メディカルフィットネス ロコパーク」健康運動指導士/理学療法士の佐野佐枝子さん。新潟リハビリテーション病院に併設するメディカルフィットネス「ロコパーク」で、心身の健康のための運動指導を行われています。一般のフィットネスとの違いとは!?地域の健康を支える佐野さんの想いに迫ります!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
怪我で諦めて欲しくない
ーースポーツ関連の仕事をするようになったきっかけは何でしたか?
佐野さん:幼い頃からスポーツが好きで、高校までバスケットボールをやっていました。しかし、大きな怪我が原因で、手術もしましたが復帰できずにそのまま引退となってしまったんです。それがとても悔しかったことがきっかけですね。
ーーご自身の経験がきっかけだったのですね。
佐野さん:怪我をしたスポーツ選手でも、元通りかそれ以上にまで回復させられるようなサポートをしたいと思いました。更には、致命的な怪我そのものをしないような身体作りをサポートしたいと考えた時に、怪我と同じくリスクの高い生活習慣病を「予防」する為の運動についても考えるようになり、健康運動指導士を目指しました。
–理学療法士の資格も同時に取得されたのですか?
佐野さん:理学療法士は大学卒業後に取得しました。新卒で静岡県にある整形外科医院併設のフィットネスクラブに就職し、健康運動指導士として働きながら、高校の部活動でスポーツトレーナーとしても活動し、様々な部活動に付きましたが、健康運動指導士の知識だけでは高校生に対してきちんとケアすることができないと実感し、勉強しました。
ーー現在はどのような方に指導されているんですか?
佐野さん:予防に特化した運動指導をしています。年齢を重ねると、自身のイメージする身体能力と実際の能力が異なり、それが原因で怪我や体調を崩してしまう方が多いです。そのような方は、整形外科を受診し、通院期間を経て痛かった所が治ったとしても、また再発したり、別の痛みで通院を繰り返している例がよく見られます。そんな患者様を何とか予防で元気になってほしいという院長の想いで建てられたロコパークなので、そのお手伝いが出来ればと思っています。整形外科は痛みの“結果”を診る所なので、“結果”として痛みが出てしまう前に、“予防”をして欲しいです!
ーー整形外科だけではケアできない部分をメディカルフィットネスで行っているのですね!
佐野さん:「なぜ痛みが出たのか」を根本的に改善することで、怪我や骨折を未然に防ぐことができます。それがメディカルフィットネスの役割だと思っています。身体の筋バランスや姿勢の問題など、原因は人によって様々です。異なる身体の不調の根源を一人ひとりに寄り添って、細やかに診ていきたいです。
自分では気づかない部分に目を向ける
ーー実際にどんな方が通われていますか?
佐野さん:60代の女性が多いですね。「メディカルフィットネス」という名称からもわかるように、疾患をお持ちの方や病院で先生から運動を勧められた方が多く通われています。膝の痛みで整形外科を受診して勧められた方も、話を聞くと「実は健康診断でも色々と引っ掛かっていた」ということがよくあります。
ーー 一般的なフィットネスとの違いは何ですか?
佐野さん:安心安全な運動を行う事ができる点が大きな違いです。スタッフ全員が専門的な知識や資格を持っていて病院がバックアップしています。そして医師や管理栄養士がスタッフとして携わりサポート体制が充実しているところが特徴ですね。
ーー様々な方面からサポートしてもらえるのは嬉しいですね!
佐野さん:運動だけでは効果が低い方でも、食事療法と併用することで効果が上がる方もいるので、管理栄養士が常駐しています。もちろん内科や整形外科の医師もサポートしていますが、最近では「なんだか最近転びやすい」、「歩き方が少しおかしいと人に言われた」という方が筋力の低下だと思っていたら、実はパーキンソン病などの神経難病患者になっていたという例もあります。整形外科に関わる病気だけでなく、神経性の病気の可能性もあるので、神経内科の医師のサポートも重要です。
ーー実際にどんなプログラムで進めていくのですか?
佐野さん:一人ひとりに合わせてプログラムを組んでいるので、個々のペース、特性に合わせて進めます。[体力測定を行い、現在の状態を知る→目標を立てる→3ヵ月ごとに効果測定]という流れで行い、目標に向かってより高い効果を上げていくためにフィードバックを定期的に取り入れています。病院のリハビリでは、一つの症状に対して集中的にリハビリを行うことが出来ますし、ロコパークでは一人の方の全身に対して多角的なアプローチでプログラムを提案できます。
心身の健康のために
ーー近年よく耳にする「健康寿命」とも関係しているのでしょうか?
佐野さん:身体だけではなく、心の健康の意味も含めて大きく関係すると思います!身体だけ元気でも健康とは言えません。人との繋がりやふれあいがあるコミュニティから、心の元気を保てるようにする事も大切だと、日々感じています。
ーー心身ともに健康になることが大切なのですね!
佐野さん:運動はやろうと思えば一人でもできますが、ここに来れば誰かに会えるということに大きな意味があります。皆さん、将来的に「歩けなくなるかもしれない」、「介護が必要になるかもしれない」という不安を持っています。話を聞くことや悩みを話すだけでも、健康への大きな一歩になると思います。運動に自信がない方や何をしていいかわからない方は、ぜひ一度気軽にご相談ください!
ーー仕事で大切にしていることは何ですか?
佐野さん:「会員様が大切にしていることを大切にする」ということです。健康でいたい理由や利用する目的はそれぞれに想いがあります。畑仕事をこれからも続けたい方には、足腰に負担の掛からない姿勢を保てる力をつける運動を取り入れて、なるべく長く畑仕事ができる身体作りをお手伝いします。また、お孫さんと一緒に遊べるようになりたい方には、運動する時間を長くできるようなアプローチをするなど、会員様が大切にしていることが続けられるようにサポートしています。
ーーそれぞれが目指すゴールに合わせた目標設定をする事で、やる気にも繋がりそうですね!
佐野さん:あとは不安を解消する事も欠かせません。不安があると前に進めないので、会員様の気持ちにも寄り添っていたいですし、ロコパークが皆さんにとって居心地の良い場所になって欲しいと思っています。
できないことができるようになる喜びを
ーー仕事で一番嬉しい事はなんですか?
佐野さん:「毎日同じ事をしていると、年齢と共にできなくなったと実感することが多い」と言う方が多いですが、そんな中で会員様が「この歳からできるようになったことが増えた」と嬉しそうに話してくれると嬉しいですね。
ーー最後に、今後挑戦したいことを教えてください!
佐野さん:より多くの方へ健康を発信していきたいと考えています。高齢者の骨折が生活を一変させてしまう現状をなんとかしたいと当院の院長が発足した「骨を守る会」もその一つです。
ーー「骨を守る会」とは?
佐野さん:若い頃から骨を丈夫にすることで、年を取った際の転倒や怪我のリスクを減らす為の「予防」を普及していく会です。もともと骨が強くなくても、自分の骨が強くないという事実が早い段階でわかれば、治療を通して予防ができます。その為に、まずは自分の状況を知ってもらい、早期発見・早期治療のきっかけになりたいと思います。
ーー「予防」は、これからの時代を担う若い世代にも必要な事ですね!
佐野さん:健康寿命が延び、長い人生をより明るい生活ができるように、新潟の皆さんのお手伝いができればと思います。新潟の方は健康意識が高いので、健康に関するイベントや講演会を行うと反響が凄いです。だからこそ、世代を問わず自身の身体について知ってもらい、より素敵な毎日を過ごしてもらえたら嬉しいです!
【メディカルフィットネス ロコパーク】
住所:新潟市北区木崎761番地
電話:025-368-7500
営業時間:平日8:30~20:30 / 土曜 9:00~16:00
休館日:日曜、祝日、年末年始(12/31、1/1)、メンテナンス日(不定休)
歩き方の癖や転びやすさにも、原因があるとは驚きね!心身ともに寄り添う事で見えてくるものがあるのね〜。