プロフィール
関雅仁(せきまさひと):新潟市出身。専門学校に通いながら祖父が創業したお店「せきとり」を手伝い始める。専門学校を卒業後は飲食店や鉄工所に勤務。祖母の死をきっかけに「せきとり」を継ぐことを決意する。日本唐揚協会が主催している「全国からあげグランプリ」の半身揚げ部門で11年連続金賞を受賞し、新潟のソウルフードとして、メディアにも多く取り上げられている。
祖父の背中を見て育った幼少時代
――関さんの生い立ちや経歴、趣味などについて教えてください。
関さん:新潟市で生まれ育ちました。高校卒業後は将来の役に立ちそうな分野を学ぼうと思い、専門学校で情報処理を学びました。学生時代は祖父のお店でアルバイトをしていたので、周囲からは「将来はおじいちゃんのお店を継ぐの?」と言われていました(笑)。
――当時からお店を継ぐことは考えていましたか?
関さん:考えていませんでした。友人に「どうせ実家を継ぐんでしょ?」と言われても、素直に受け入れられない時期が長かったと思います。専門学校を卒業後は飲食店や鉄工所に就職し、自分の好きなことや興味のある分野を模索しながら働いていました。今でも手先を動かすことが好きで、DIYをしてお店の修繕を行っています。祖父もDIYが好きで、自分で厨房の増築工事をしていました(笑)。
経営難から生まれた大ヒット商品「半身揚げ」
――新潟県民のソウルフード「鶏の半身揚げ」が誕生したきっかけを教えてください。
関さん:祖父は養鶏場を営んでいた祖母の実家へ婿養子として入りました。養鶏場を受け継いだものの、経営難から次第に古くなった小屋が崩壊したり、飼っていた鶏が死んでしまったりしたそうです。その時に鶏を唐揚げにして販売することを思いついたと聞いています。
――「鶏の半身揚げ」はカレー味が特徴的ですが、カレー味の理由やこだわりを教えてください。
関さん:当時の学校給食でカレーが流行っていたことから、「半身揚げにもカレー粉をまぶしたら流行るのではないか」と考えたそうです。1羽を半分にして豪快に揚げている理由は、「誰が食べてもお腹いっぱいになるように」という想いが込められています。創業当初は電子レンジを持つ家庭が少なく、温め直すことが難しかったのですが、大きな半身揚げは「冷めにくく、美味しさが長持ちする」と評判だったそうです。こだわりは、塩加減と見た目のインパクトですね。鶏肉の形が崩れないように串を通してから揚げています。
祖父の味を次世代へ!
――関さんが家業を継ぐことを決意したきっかけを教えてください。
関さん:きっかけは祖母が亡くなったことでした。創業から一緒にやってきた祖母を亡くした祖父の姿を間近で見て、「自分も力になりたい」と思い、“せきとりの味”を受け継ごうと決意しました。
――3代目として就任する前後で気持ちの変化はありましたか?
関さん:以前から働いていたので気持ちの変化は大きくありませんでしたが、祖父が塩振りを教えてくれるようになったことはとても嬉しかったです。教えると言っても、詳しいレシピはなく、「この大きさの鶏肉だと塩はこれくらい」と徐々に感覚を掴んでいく感じでした(笑)。しかし、「“せきとりの味”を創った祖父から継承できたことは貴重な経験だった」と改めて感じています。お店のスタッフも祖父のことを慕ってくれていた方たちばかりで、日々祖父の偉大さを感じています。
変わらぬ味を求めて、全国から注文殺到!
――せきとりの「鶏の半身揚げ」は、ネット注文も可能なんですよね。
関さん:自社サイトをはじめ、ネット販売の販路も少しずつ増やしています。最近はECサイト「ガタ市」に出品し、有難いことにたくさんのお問い合わせをいただいております。「ガタ市」はネットだけでなく、電話注文もできるのでご年配の方からの問い合わせが増えました。通販用の半身揚げは揚げてから瞬間冷凍し、真空パックでお届けしています。商品は自宅のレンジで加熱した後に、オーブンで皮面を焼くと揚げたてを再現できるので、試してもらえると嬉しいです。
――最後に、今後の展望をお聞かせください。
関さん:これからも変わらない味を求めてくれるお客様のために、「せきとりの味」をしっかりと次の世代に繋いで行きたいです。また、メディアの露出も増やし、新潟県全土に「元祖半身揚げの味」を知ってもらえるように頑張っていきます。
【せきとり 本店】
住所:新潟市中央区窪田町3-199
電話: 025-223-5934
営業時間:16:30~22:00(L.O.20:30)
駐車場:有
定休日:毎週月曜日(例外の場合あり)
せきとりの「鶏の半身揚げ」が食べたくなってきたな~