(写真左から飯田佑季さん・上松千恵さん)
【プロフィール】
上松千恵(ウエマツチエ/長女)・飯田佑季(イイダユキ・三女):老舗米店「かたぎり」の三姉妹として、阿賀野市(旧水原町)で生まれ育つ。家業の低迷を見かねて、次女とともに3人で米店を継ぐことを決意する。従来品種のコシヒカリ米をはじめとする米販売や、「簡単おうちでご飯 嘉右衛門シリーズ」を開発し、米が持つ可能性を追求し続けている。
家業を救うため、三姉妹が集結!
──お二人の経歴や趣味などを教えてください。
上松さん:私たちは阿賀野市(旧水原町)で140年続く米屋の長女、三女として生まれました。次女は育休中で、相談役として色々話を聞いてもらったりアイディア出してもらったりしています。
飯田さん:二人とも子育て中で、今は没頭しているものはありませんが、美味しいものと楽しい時間は何よりも大好きです。
──家業を継ぐことを決めたタイミングはいつだったのですか?
上松さん:私は高校卒業とともに、人手不足だった家業を手伝い始めました。
飯田さん:店の業績がどんどん低迷していく姿を見て「何とかしたい」と思い、手伝い始めました。
嘉右衛門シリーズの開発秘話
──「嘉右衛門シリーズ」の商品開発について教えてください。
上松さん:「五頭山麓うららの森」の方から「オリジナル商品を作って欲しい」と頼まれ、当店で扱っていた「米」と「豆」を合わせた「五十穀米」が2016年に誕生しました。
飯田さん:その後、知人の結婚式の引き出物に使っていただいた際に、「研いで3時間以上水に漬けておくのが大変。面倒でまだ食べていない。」と言われ、都会の人の意見に愕然とさせられました。その言葉をきっかけに“都会で忙しく働く方へ”お米を研がずにすぐ食べられる「嘉右衛門シリーズ」を開発しました。
──お客様の反応はどうでしたか?
上松さん:「こんな面白い商品があるんだ」という反応がありました。他のお米屋さんや生産者さんがやっていないことなので、少しずつ認知が広がっていると思います。
飯田さん:「私たちと同じことをしているお店は他にはない」と思います。また、“モチモチ感”がたまらないと、リピートしてくださるお客様もいてくださるのは嬉しいですね。
多様化の時代でもお客様との繋がりは大切にしたい
──お客様やスタッフとの印象に残るエピソードを教えてください!
上松さん:昔からのお客様は「いつものをお願い」と電話で注文してくれます。当店でお米を買って頂いている80代の女性の方からは「私は死ぬまでかたぎりさんからお米を買うから、よろしくね」と言われ、とても嬉しかったです。一人暮らしの若い女性の方からは、ネット注文時のコメント欄に嬉しい言葉を欄いっぱいに書いてくれます。お客様とのこうしたやりとりは、相手の顔が見える気がして嬉しいですね。
──お客様とのコミュニケーションを大切にされているのですね。
飯田さん:コミュニケーションツールとしてLINE、Twitter、Instagram、Facebookを使っています。今までは「こめこめーる」というニュースレターを封筒で出していたのですが、若い方は封書にびっくりするようで(笑)。ニュースレターは考え直すことになりました。
──新しいことにも挑戦し続けているのですね。
飯田さん:そうですね。嘉右衛門の開発当初は、シールの貼り方ひとつからモラルを教えていただくこともありました。こうした積み重ねやお客様との出会いからモラルが出来上がり出発しましたが、次はマインドとして「どう売っていくのか」という流れになっていると思います。
上松さん:私はそれで良いと思っています。自分たちでゼロからというのは全くなく、東京の会社にデザインしてもらったり、色々な方から力を借りています。おかげさまで、デザインもおしゃれだと評判です。
お米の可能性は無限大
──お米の可能性はどのように考えていますか?
飯田さん:白米を研いで炊いて食べる時代がいつまで続くか分かりませんが、減少していることは間違いないですよね。今まで通りに食べるだけではなく、粉にしてパンを作ったり、ライスミルクや、こめ油など米には様々な可能性があります。シャンプーや化粧水も作ることができるので、当社でも挑戦していきたいですね。
上松さん:ベトナムでは、フォーやライスペーパーなどのようにお米を加工して食べることが多いです。炊飯して食べるだけでなく、そういう広がりをもっとポピュラーにしていきたいと思います。
飯田さん:お米そのものだけではなく、稲のもみ殻を再利用したり、可能性はたくさんあります。米自体の様々な可能性をきちんと形にしていきたいですね。
──今後の米文化の変化が楽しみです!最後に一言お願いします!
上松さん:県内の米農家さん、お米をどんどん売ってください。今年の新米コシヒカリ、こしいぶき、お待ちしております。いつでも買い取りいたします!
飯田さん:「かたぎり」の商品はもちろん、みんなで楽しく食卓を囲んで、美味しいお米を味わってくださいね。
【米屋かたぎり】
住所:阿賀野市中央町1-13-40
営業時間:平日9時~17時
定休日:土・日・祝日
電話:0250-63-1110
お米を研がずにすぐ食べれるのは嬉しいのう~贈り物にも良さそうじゃ~