プロフィール
恩田倫孝(オンダミチノリ):新潟県新潟市西区出身。新潟高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部に進学。都内の商社に3年間勤めた後、世界一周の旅を決意して退社する。2014年に株式会社TABIPPOを創業。会社のビジョンとして「旅で世界をもっと素敵に」を掲げる。
ターニングポイントはシェアハウス生活
──生い立ちや経歴を教えてください。
恩田さん:新潟市西区にある「青ジャス(現イオン新潟青山店)」の近くに生家があります。割と真面目に勉強していた人生だったのですが、そこから世界一周➡旅行のベンチャー創業(創業して半年後にジョイン)とガラリと路線が変わりました。家庭は地元の同級生と比べても厳しかったと思います。テレビはNHK教育を見て育ち、勉強をしている時の姿勢はかなり厳しく注意されていたので、今では姿勢の良さは自慢です!(笑)
──「旅」は昔から好きだったのですか?
恩田さん:旅に夢中になったのは大学時代です。旅が好きな友人を引き寄せてバックパッカーにはまりました。旅を通じてつながった友人と意気投合し、1,000人規模の学生を集めるイベントを当時から企画していました。
──人生のターニングポイントは何ですか?
恩田さん:社会人になってから一緒にイベントをしたメンバーとのシェアハウス生活です。男13人で6年近く一緒に住み、青春をこのシェアハウスに捧げました。みんな旅好きでしたので何度も海外に行き、多くの方々との出会いがありました。現在ではメンバーの約半数が起業していて、刺激を与え合える自慢のコミュニティです。商社を辞めて世界一周の旅を決意したのも、このシェアハウスの生活中です。
価値観の変化
──旅の目的は何ですか?
恩田さん:旅のスタイルは年齢とともに変わりましたね。学生時代はとにかく遠い場所へ行く「刺激を求める旅」が多かったです。アメリカ西海岸で行われ、世界最大奇祭と言われる「バーニング・マン」は特に印象的でした。何もない砂漠に7万人以上が集まり、1週間開催される音楽とアートフェスです。
──国内では体験できない文化や風景がたくさんありそうですね。
恩田さん:そうなんです。ただ、エネルギッシュな非日常を体験して帰国すると、日常を退屈に感じるようになりました。そこから、旅で感じて学んだことを日常にどう活かすかが大切だと考えるようになりました。
──では、現在の旅の目的は何ですか?
恩田さん:「人生を豊かにすること」に変わりましたね。 例えば、中南米の(比較的)陽気な価値観やポートランドの創造性を学ぶような旅です。彼らの日常から学べることはたくさんあります。旅は手段であり、人生を豊かにするものだと考えるようになったことが一番大きな変化です。
株式会社TABIPPOとは・・・
──どんな会社か教えてください。
恩田さん:旅という手段を通じて、どうやって世の中を良くしようか考えている会社です。記事を通じて旅から学べることを発信したり、ツーリズムやマーケティング、出版、フェスなど幅広くやっています。たぶん、日本で旅を中心にこんな多くの事業をしている会社はあまりないと思います。
──社員はどのような方が多いですか?
恩田さん:社員の多くが世界一周の経験があり、SNSも大好きで自由に生きています。ただ、よく勘違いされるのですが、「旅最高!自由!」と言っているだけの組織ではもちろんありません。組織は自律分散型であり、自分たちで多くのことを決定できる一方、社員全員が責任を持って仕事をします。自由っぽく見える会社ですが、会社のビジョンを大切に自律した社員が能動的に働いています。
──世界を旅してきた恩田さんから新潟県民へ伝えたいメッセージをお願いします。
恩田さん:旅は人生を豊かにする1つの手段だと思います。外を見て知ることで、今をよりよくできる1つの手段。旅はスキルのようなものだと考えています。「こんなはずじゃなかったのに」と思う時って人生で時々あるじゃないですか。SNSを見て誰かの生き方がうらやましく見えるかもしれない。隣の芝が青く見える時は行ってみたらいいと思うんです。本当にそちらがよかったら変えてもいいし、もしかしたら今の良さに気づくかもしれません。
色んな価値観を知った上で、今の自分がいる所の良し悪しを判断する基準を持つことが大切だと思います。豊かに生きることは、自分で自信をもって選択をしつづける先にあるような気がしています。そして、他人を羨まないこと。世界にも色んな国や地域があって、羨ましいように見えることがあるかもしれません。ただ、そこで生きる人たちも日常に何かしらの課題や不満を持っています。どこにも完璧な場所なんてないのだと思います。自分の人生なので自分で決定をしながら生きていくこと。そして、他者から学びながら自分の日常をより豊かにしていくこと。旅を通じて僕が感じていることは大体こんなことです。
共創コミュニティの実現
──今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
恩田さん:豊かな世の中を作っていきたいのですが、いつもイメージするのは「近所の人たちと楽しく生きる世の中」です。小学生の頃は集団登校をしていたので、近所の人とはつながっていましたし、子供同士もよく一緒に遊んでいました。これってとても素敵じゃないですか。ただ、みんな進学したり上京したりで生きていくコミュニティは変わっていきます。そのフェーズ毎で自分にあったコミュニティを選べるような社会を実現したいです。
──コロナ禍の影響もあり、昨今ではコミュニティの形も変わりましたね。
恩田さん:僕が作りたいコミュニティは色んな価値観を受け止めながらも、1人1人の魅力や強みが生かされるような共創コミュニティです。今までは東京を中心に作ってきましたが、昨年頃からオンラインで全国を対象としています。そして、将来的には新潟でももちろん作ってみたいですね。みんなが豊かに生きることに妥協をしないような世界を作っていきたいなと思っています。
恩田倫孝さんのTwitterはこちら @MichinoriOnda
㈱TABIPPOのホームページはこちら https://tabippo.net/
世界を旅してかっこいいな~僕も世界一周してみたい!