プロフィール
高松 利行(たかまつ かずゆき):新潟市東区出身。地元の高校を卒業後、東京の大学に進学し、日本語学を専攻。卒業後、5年間のサラリーマン生活を経て、農業を始める。
高松 ひかり(たかまつ ひかり):中国出身。朝鮮をルーツに持つ、朝鮮民族の家系に生まれる。高校卒業後は短期大学に進学。その後、日本語を学ぶために日本へ留学する。大学では日本語学を専攻し、日本で就職。大学の同級生である利行さんと結婚し、一緒に農業を始める。
ゼロから始めた農業
―お二人の出会いを教えてください。
ひかりさん:大学の同じ学科で学んでいました。当時はお付き合いをしていなかったのですが、卒業後もSNSで繋がっていて、少しずつ連絡を取り始めたことがきっかけですね。彼はその時から農業を始めていたので応援していました。収穫した「ル・レクチェ」なども送ってくれて、初めて食べた時は美味しさに驚きましたね。
―利行さんはご実家が農家だったのですか?
利行さん:実家は床屋です。親戚にも農業をやっている人はいませんでした。幼い頃は、土いじりや虫も苦手でしたが、サラリーマン時代に会社の先輩から「週末農業」に誘われたんです。そこで農業の魅力にハマり、「新規就農しよう」と決心しました。農家の家系ではないので、困った時は周りの農家の方々に相談したり、アドバイスを頂きながら学んできました。
―キムチ作りを始めたきっかけを教えてください。
利行さん:農業を始めて5年程経った頃に、子供を授かったことが大きなきっかけです。妊娠中の妻は毎日畑に出ることが難しくなり、自分一人でできる仕事量も限られました。今あるもので無理なくできることはないかなと夫婦で考えていた時に、「韓国にいるお義母さんのキムチが美味しかったな」と思い出しました。
ひかりさん:白菜も大根も育てているのでキムチならすぐに作れますし、「母のキムチの味を後世に残したい」と思い、始めました。
―キムチ作りで大変だったことはありましたか?
ひかりさん:何年も食べてきた母の味を再現しようとしましたが、初めは上手く作れませんでした。そこで、母に日本まで来てもらったんです(笑)。3ヵ月間みっちり「母のキムチの味」を学び、何度も試作品を作りましたね。
利行さん:日本と韓国の白菜では甘味、厚さ、水分量が違うので、本場の味に近づけることに苦労しました。韓国は日本より乾燥しているので、白菜の水分量が少なく、歯ごたえのあるキムチになります。ひかり畑のキムチはできるだけ本場の食感を再現できるように白菜作りからこだわっています。時期によっては長野から野菜を仕入れることもありますが、1年中美味しいキムチをお届けしています。
―“本場の味”を再現するために材料からこだわっているのですね。
ひかりさん:キムチに使う白菜、大根、ニラはできるだけ自分たちの手で育てています。肥料にもこだわり、品質の良い無添加キムチなので、たくさんの方に安心して食べてもらえると思います。
キムチの味に合わせて、料理も楽しむ
―キムチのおすすめの食べ方などを教えてください!
ひかりさん:おすすめの食べ方はたくさんあります。キムチは発酵食品なので、どうしても味に変化が出てしまいますよね。韓国では、キムチの味が変わるたびに作る料理も異なるんです。「少し酸っぱいな」と思ったら、チゲやチヂミ、チャーハンにするのがおすすめですね。ひかり畑のYouTubeやstand.fmの「サタデーモッパン」では簡単にできるアレンジレシピを公開しているので、参考にして料理を楽しんでいただきたいです。
―おすすめ商品を教えてください!
ひかりさん:キムチはもちろんですが、新潟を代表する洋梨「ル・レクチェ」もおすすめです。ル・レクチェは必要最低限の植物性有機肥料のみで大切に育てているので、とても甘くて芳醇な香りも自慢です!
利行さん:「ひかり畑」では、ワイン用の葡萄も作っています。ワイナリーに卸しているのですが、ありがたいことに年々高い評価をいただいています。
―ワイン用の葡萄まで作られているんですね!
利行さん:私たちはお酒が好きなので「美味しいワインを飲みたいね」とワイン用の葡萄作りを始めました。新潟で作ることは気候の関係で難しいと分かっていましたが、試行錯誤し、ようやくワインに適した甘みの強いポリフェノールたっぷりの葡萄が育ちました。ゼロから私たちの手で作った葡萄のワインをこれからたくさんの方に飲んでもらえたら嬉しいです。
ひかりさん:葡萄の木を植えるのに、梨の木の根っこを一つ一つ丁寧に取り除く作業が、とても大変で忘れられません(笑)。自慢の葡萄がワインとして形になったのは本当に嬉しかったですね。
“今やりたいこと”に挑戦し続ける
―印象に残るエピソードを教えてください。
利行さん:就農時から月岡わくわくファーム横の森で開催される「おひさま日曜市」に参加していました。その時から顔馴染みのお客さんもたくさんいらっしゃいます。参加する度に声を掛けてくださり、私達に会いに来てくださる方がいるのは本当に嬉しいですね。
―農家の枠を越えて、どんどん新しいことに挑戦されていますね。
利行さん:実は、7月からキッチンカーを始めたんです!7月25日に開催された「おひさま日曜市」に初出店させていただきました。
ひかりさん:新しいことをどんどん始めているので、近所の方に「今度は何するの?」と驚かれます(笑)。韓国に住んでいる姉に普段作っている料理を聞いたり、流行りの情報を集めながら、「どうやったらもっと簡単に美味しく作れるか」を考えて発信することが楽しいんです。今度は自分が作った料理を実際に食べてもらいたいと思い、キッチンカーを始めました。
利行さん:妻には育児や家事で忙しくても、“今やりたいこと”をやってほしいと思っています。「キムチをもっと美味しく」をテーマに、ひかり畑の食材を使った韓国料理を広めていきたいです。
―ひかりさんが作る韓国料理のキッチンカーが楽しみですね!最後に一言お願いします!
ひかりさん:農業はこれからAI化が進みどんどん変化していくので、農業に興味を持つ若者が増えていったら嬉しいです。これからも新潟から農家の暮らしを発信していきます!
利行さん:“今できることをやらないともったいない”と思います。小さなことから始めてみて、悩んだ時はワクワクする方を選び、好きを仕事にしていってください!
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【ひかり畑】
住所:新潟市江南区沢海2919−2
ひかり畑さんのキムチは絶品なのよね~!キッチンカーで販売する韓国料理も楽しみだわ~!