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TOP > インタビュー > 【羽賀万起子さん(ゆめのき学園 代表)】当事者だからこそできるママとこどもたちのサポートを
2021年2月13日

【羽賀万起子さん(ゆめのき学園 代表)】当事者だからこそできるママとこどもたちのサポートを

新潟市
インタビュー

ゆめのき学園


プロフィール
羽賀万起子(はが まきこ): 新潟市出身。小学校の頃に妹の幼稚園で出会った先生に憧れ、幼稚園教諭を目指す。新潟中央高校の保育科に進み、短大卒業後、私立の幼稚園で働く。結婚を機に退社をするも、こどもたちの世界に関わりたいと学童保育の指導員(現 支援員)となり、現在はゆめのき学園で、こども園・学童保育・多胎支援・イロトリドリの事業を行っている。


憧れの幼稚園教諭に

――羽賀さんの経歴について教えてください。

羽賀さん:新潟市生まれの新潟市育ちで、進学や就職でも県外に出たことがなく、ずっと新潟市で過ごしてきました。小学生の頃から幼稚園の先生になりたくて、現在はもう無いのですが新潟中央高校の保育科に進み、短期大学を卒業してすぐに私立の幼稚園で働いていました。

――幼稚園の先生になりたいという夢を実現されたのですね!

羽賀さん:そうです。でも、その当時は結構な激務でした。当時はそこまで時間に縛られているという感じはなく、とにかく楽しかったのですが、結婚の話が出てきたときにさすがに今の働き方は無理だと思いました。就職するにあたりこどもたちの世界で働きたかったこと、福利制度のしっかり整備をされた職場を探していたのですが、結婚をきっかけに「働き方は無限大かも」と思ったのです。そう考え、幼稚園は一度退職をしました。

――一度、子どもの世界から離れられていたのですね。

羽賀さん:最初は違う仕事をしてみようとも考えたのですが、やはりこどもに関わる求人しか目に留まらず、その時に初めて学童保育という仕事を知り、学童保育の支援員として働き始めました。幼児とは違う、学童期のこどもたちの自分の意思の強さに魅了され、8年近くやっていました。異動職だったのですが、異動するメリットもあれば考え方や理念、こどもとの関り方が場所や先生のやり方によって変わることに疑問を持ち、いつも変わらずここにいるからという場所を作りたいと思い、いつか自分でそんな場所を作りたいなと思い始めました。

――本当に子どもがお好きなのですね。

羽賀さん:そうですね。8歳離れた妹の迎えに母と行くことが多く、その時の妹の先生が大変こどもたちに寄り添ってくれる先生で、妹とのやり取りや他の子とのやりとりを見て、私もなりたいと思ったのがきっかけです。しかも、驚いたことに学童保育の指導員をしているときにきっかけだった先生のお子さんを預かることになり、再会を果たしました。ずっとその方を目標にしていたので嬉しかったですね。

ゆめのき学園

「ゆめのき学園」設立のきっかけ

――「ゆめのき学園」が出来た経緯を教えてください。

羽賀さん:現役でひまわりクラブの支援員をしていて、色々と民間で立ち上げようと動いている時に双子の妊娠が判明しました。産休・育休の道も考えましたが、一度仕事を退職し約3年近く専業主婦をしていました。しかし、やっぱりこどもの世界にもう一度戻りたい、変わらぬ場所を創りたいという思いがありました。

ある日、子育て支援施設で会った方に「習い事教室のフロアが午前中空いているから、こどものために何かやらないか?」と言われ、現在の場所でもあるドリームアドバンスを紹介してもらいました。イメージがわかず断った矢先、たまたまドリームアドバンスの社長と会い、「うちで働きませんか」と声を掛けてもらいました。こどもたちの預け先も自分で選びたかったのと、急な途中入園もしたくなかったため一度お断りしました。

――その時は断っていたのですね。

羽賀さん:しかし、結構な熱意をいただき、月に1回でも良いし、こどもを連れてきてもいいのでやりませんかと言ってくださって。私としても働きながら子どもを見る経験はなかったので、良い練習になると思ったのがきっかけです。その当時、ドリームアドバンスで新潟県の少子化対策モデル事業の採択を受けていたのですが、その時見せていただいた事業内容が少子化に繋がらないと思ったこと、そして、自分が実際に双子を授かったことで見えた課題から多胎支援を始めました。

――多胎支援はあまり聞き馴染みがなかったです。

羽賀さん:私も知らなかったのですが、新潟は毎年全国3位以内に入る程多胎児の出生率が高い県なのです。しかし、当時は新潟市のサポートが少しある程度で、不安は乗り切るしかないというママさん達にたくさん会いました。出産前は生意気にもご近所付き合いは無くても生きていけると思っていたのですが、双子が生まれると格段にご近所付き合いが良くなったのですよね。双子というのが良い意味で目立つのでお隣さんが食事を届けてくれたり、こどもたちが出て行くと見守ってくださったり。そしたら、双子の親で集まって「双子の大変さって分からないよね。」と言い合っていたけど、大変さを伝える努力をしたのかなと思い始めて・・・そのサポートをしたいと考えました。双子のママたちが良く言っていた「温かい飲み物を温かいまま飲みたいよね。」という言葉がとても心に残っていて、『ツインズトリプルカフェ』という形で少し支援をしてみようと軽い気持ちで始めました。

――そのようなきっかけで始められたのですね。参加者はどれくらいいらっしゃったのですか?

羽賀さん: 初めは10組を定員にして、関新にあるモデルハウスを会場に行いました。10組は来て欲しいと思っていたのですが、冷静に考えるとこどもは20人いるわけですよね(笑)。そう考えたら、急に焦り、ボランティアスタッフも友人や双子のママが手伝ってくれて、どうにか確保できました。申し込みは開催前月に電話で受け付けていたのですが、当時、こうした取り組みもなかったからなのか10分程で埋まってしまいました。驚きましたね。

ゆめのき学園

こどもたちが行きたいと思う場所をつくる

――多胎支援の他にも、こども園、学童保育、イロトリドリもされていますよね。

羽賀さん:私自身、学童保育に大変やりがいを感じていましたが、学童保育に対する世の中のイメージがあまり良くなかったのですよね。学校とは違ってカリキュラムがなく、こどもたちの”好き”が伸ばせる時間帯をどうにか広げていきたいという思いがありました。ただ、今度迷い始めたのが自分のこどもの年齢でした。学童保育は6時半までの業態、こどもを預けて前のように支援員をやることは考えられませんでした。まずは幼児教育から着手しようと考え、ゆめのき学園で昼間に一時的なお預かりをする「こども園」として、夕方に小さな学童保育を始めました。それが最初のゆめのき学園の形です。

――それが現在の形になる始まりなのですね。

羽賀さん:しかし元々、習い事があったので学童保育が後付けになり、習い事ありきの学童保育になってしまったのです。私のやりたかった学童との違和感を感じ、経営的にもあまり上手くいかず、どうしようかと悩みました。その時に、新潟市の方からひまわりクラブの指定管理者の話を聞き、2020年から坂井輪ひまわりクラブと坂井東ひまわりクラブ、2021年から新通つばさひまわりクラブの指定管理もさせていただいています。

――イロトリドリが一番新しい事業なのですか?

羽賀さん:そうです。しかし、自分が住んでいる地域のひまわりクラブの管理運営はしておらず、こどもには「ママが作ったひまわりクラブなら行くけど他のところは行きたくない」と言われてしまって。
本当にやりたかった形で我が子も安心して預けられ、こどもたちも喜んで通うことのできる場所をもう一度チャレンジしたいと、2020年6月から西区五十嵐地域にイロトリドリという小さな学童保育を創りました。自分のこどもたちが行きたいと思う場所を創ることが私にとっては必須でしたし、自信もありました。

ゆめのき学園

スタッフとママと一緒に悩み、作っていくコミュニティに

――「ゆめのき学園」では乳児期から学童期までのサポートをしてくれるということですね。

羽賀さん:そうですね。今まで多くのママさんやスタッフ、こどもたちを見ていて人と比べる能力や資格、何ができるかという自信や根拠はとても脆いと感じました。どのような自分でも価値があるという自信。絶対的な根拠のない自信を持っていると幸福度は変わると思っているので、こどもたちの大学資金以上に、こどもと接する時間が長いママが余裕を持った言葉がけができることにお金を投資することが一番良いと私は考えています。

例えば、コップの牛乳が零れた時、その現象は変わらなくても、余裕がある時とない時でその現象を良いものにも悪いものにもできてしまいます。そこにお金と支援を掛け、親の掛ける言葉が余裕のあるものになることが一番だと思ったので、乳児期から学童期までママもこどももサポートしていきたいです。

――スタッフや利用者さんとの印象に残るエピソードを教えてください。

羽賀さん:現在、スタッフは54名いますが、利用者さんがスタッフになることが多いのです。それが何よりの喜びですね。スタッフ同士、毎日「ここ良いよね」と自画自賛していてそれを見るのがとても嬉しいです。スタッフ同士の仲も本当に良く、みんながこの場所を好きで大事にしてくれているのでスタッフには感謝しかないですね。

「保育者として在る」前にまずは「個人として在る」方法論、手法の前にその言葉は、行動は心から溢れるものなのか、自然に満たされて溢れ出るものが保育の中に出て欲しいと思っています。まだまだ、私自身も足りていないのですが、なるべくスタッフ一人ひとりと向き合って、悩んでいることや苦しいこと、可能性を大事にしたいので、その向き合う時間を大切にしています。「楽しい」と笑い合って話をしてくれていること、利用者さんがスタッフに入ってきてくれているのがとても幸せです。

――羽賀さんも双子のママだったり、スタッフさんが利用者だったり、当事者だったからこそ分かることもありますよね。

羽賀さん: そうですね。当事者であることが一番タイムリーにエネルギーも心も注げると思っています。こどもが手を離れてからやろうとはどうしても思えなくて、多胎支援も自分のこどものことで大変でしたけどやりたかったですし、学童保育も当事者だからわかるリアルな気持ちがある時にやりたいと思ったので、後悔しないようにママたちと悩み、一緒に取り組みました。

ひまわりクラブはまだ至らない点もあり、スタッフと作っている途中ですが、イロトリドリ・こども園・多胎支援については、ある意味、独自事業なので預かる、預かられる、支援する、支援されるにきれいに分断されないようにしています。私は現役の親でもあるので、一緒に悩んで一緒に創っていくコミュニティを大事にしたいので「旬は常に今」だと思って取り組んでいます。

――では最後に、今後の目標を教えてください!

羽賀さん:昔は幼稚園教諭になりたいと思って無意識に自分の枠を狭めていたなと思います。この事業を続けてきて、様々な出会いがあり、「未来はどうなるかわからない」と思います。その時々のこどもの年齢、自分の年齢、置かれている環境で、おもしろそうとかやりたいと思ったことは枠無く何でもチャレンジしていきたいなと思います。しかし、やはり“こども”は自分の中で「絶対」で大好きな世界なので、そこは無意識で関わっていくと思います。現在、イロトリドリでも手話の日を作っているのですが、もっと広く福祉や食を巻き込んだ形にも興味がありますし、とにかく「楽しそう」とか「世の中のためになること」とか、何でもチャレンジしたいです。

ゆめのき学園

「ゆめのき学園」ホームページはこちら

【ゆめのき学園】
住所:新潟市西区青山1丁目1-17 ヤマトビル
電話:025-201-8385

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