
【プロフィール】
澁木 雄一 (しぶき ゆういち): 燕市出身。高校卒業後、トラック運転手などを経て飲食業に転身。バーを経営した後、念願だったハンバーガーショップをオープン。こだわり抜いた味わいに定評があり、キッチンカーで各イベントにも出店している。
『新潟人270人目は、「BEARS」のオーナー・澁木雄一さんです。飲食業未経験から挑戦をスタートさせた澁木さん。本格バーガーショップをオープンするまでの歩みのほか、今後の展望についてお話を伺いました。情熱的にご対応いただき、ありがとうございました!』
突然の会社倒産から飲食業へ
──飲食業の前はどんな仕事をされていたのですか?
澁木さん:前職はトラックの運転手でした。社員が40人ほどいましたが、ある日突然会社が倒産して…。みんな途方に暮れていましたね。
──どのように飲食業に転身されたのですか?
澁木さん:同僚に調理師免許を持っている人がいて、「一緒に飲食業をやらないか」と誘われたのがきっかけです。
私は料理経験が全くなかったので、共同経営という形で洋風居酒屋をオープンしました。
──洋風居酒屋にしたのはなぜですか?
澁木さん:「吉田エリアにはないジャンルをやろう」ということで選びましたが、地元に受け入れられず2年で閉店しました。
その後、共同経営者は「居酒屋をやりたい」と言っていましたが、私はバーを経営したかったので、その時に共同経営を解消しました。

苦境の中で気づいた「覚悟」
──独立に不安はありませんでしたか?
澁木さん:不安しかなかったですよ(笑)。
それでも続けたいと思ったのは、お酒や料理を作るのが好きだったことと、“お客さんとのコミュニケーションが楽しかったから”ですね。
──バーの経営は順調でしたか?
澁木さん:当時は順調だと思っていました(笑)。ただ、飲食店は2~3年で常連客が離れる傾向があり、私の店も2年ほどで来店が減っていきました。
31歳の頃には赤字続きで、家賃は払えても光熱費や水道代を滞納していたんです。その時は「辞めること」も考えていましたね。
──追い込まれていた中で、転機はあったのですか?
澁木さん:電気代も払えず「もうダメだ、店を閉めよう」と諦めた時、店を片づけに行ったら点くはずのない電気が点いたんです。
「まだ営業できるのは、神様がくれたチャンスだ」と思い、“最後の覚悟”を決めて再挑戦しました。
──その出来事が後押しになったのですね。
澁木さん:それ以来、好きだったタバコやお酒も控えて、仕事一本に集中しました。
それまでも「一生懸命やっているつもり」でしたが、“お客さんに来てもらい、楽しんでもらう為に何をすべきなのか”を本気で考えるようになりました。

──その経験を経て、今は3店舗を経営されているのですね!
澁木さん:キッチンカーでイベント出店もしています。商工会青年部から声を掛けてもらい、「『とりにくのレモンあえ』のレシピをあげるから広めてくれ」と言われたんです。
「とりにくのレモンあえ」は、吉田の学校給食から始まったメニューです。元祖のレシピを受け継ぎ、県内外へPRしています。
──吉田を背負っているのですね!(笑)
澁木さん:その頃から、やっと物事が順調に回り始めた気がします。周りの人たちも手を差し伸べてくれるようになりました。
“意識を変えて自分から動くようになったこと”が実を結んだと思いますね。しかし、うまく回り始めたと思ったら、今度は新型ウイルス禍ですよ(笑)。
──その時は何かされましたか?
澁木さん:何もできずに、3年間は毎月赤字でした。でも、以前に比べたら前向きに考えられて、できる限り継続しようと思っていました。
新型ウイルスが5類になりましたけど、もう少し遅かったらお金も尽きてダメでしたね。

ハンバーガー愛が形に
──ハンバーガー店はいつから考えていたのですか?
澁木さん:ジャンクフードが大好きで、「いつかハンバーガーの店をやりたい」と思っていました。
2023年6月にオープンした「Next Generation Town」のテナント出店の話をいただき、オープンを決めました。
──全国のハンバーガーショップを食べ歩いているそうですね!
澁木さん:温泉巡りが好きで、県外に行く際は周辺のハンバーガーショップも行くようにしています。
それくらいハンバーガーが大好きで、おかげでこんな体型になりました(笑)。今では研究の為にたくさん食べて、「こんなに幸せでいいのか」と思います。もはや天職ですね!

──どんな研究をされたのですか?
澁木さん:その店の一番シンプルなバーガーを店内で食べ、持ち帰り用も注文して食材やソースを研究しました。
真似をするわけではなく、あくまで「味の組み合わせやソースの使い方」などを学ぶためです。当店のハンバーガーは、自分が「美味しい」と思うものを詰め込んでいます。
──ハンバーガー作りのこだわりを教えてください!
澁木さん:パティは粗挽きのUSビーフ100%を使い、“肉肉しい食べ応え”を大事にしています。
バンズも特注で、野菜は燕市産の水耕レタスを使用しています。このレタスは焼きたてのパティを乗せてもみずみずしく、シャキシャキですよ!
──メニューが豊富で悩む方も多そうですね!
澁木さん:メニューに悩んだ時は、シンプルな「ハンバーガー」をまずは堪能していただきたいです!それから色々なメニューを楽しんで欲しいですね。

みんなで作る「BEARS」
──「Bears」はお店の雰囲気も素敵ですね!
澁木さん:「Next Generation Town」の店舗はテイクアウト専門なので、ここでは「お店で食べる雰囲気も楽しんで欲しい」と思っています。
壁や内装はスタッフ全員でDIYしました。一緒に作り上げることで、スタッフ全員が店への愛着を持てますし、雰囲気作りにも一役買っていますね。
──店名の「BEARS」の由来は何ですか?
澁木さん:私の体型が熊に似ているからですかね?(笑) アメリカっぽい雰囲気をイメージしていて、スタッフが考えてくれました。
店内の壁には熊のキャラクターもいるので、ぜひ見ていただきたいです!

──スタッフを大切にする背景には、どんな思いがありますか?
澁木さん:普通の会社だと、上から社長、管理職、その下に従業員がいるピラミッド構造が一般的ですが、それってつまらないと思うんです。
“全員が楽しく、誰とでも上下なく話せる雰囲気”にしたかったので、当店ではみんながフラットな関係で働いています。私がリーダーというだけで、基本的には全員が対等です。
──スタッフさんにも楽しみながら働いてほしいのですね!
澁木さん:“いかに楽しみながら仕事をするか”ですね。仕事はプライベートを充実させるための手段でしかないという考えなので、それなら楽しく一生懸命やった方がいいと思います。
スタッフの為にも、「仕事が楽しくなる環境作り」をしていきたいですね。

東京進出、そして“ヒルズ族”の夢
──最後に、今後の目標を教えてください!
澁木さん:“2~3年以内に都内進出”を計画しています。久しぶりに再会した知人が「都内に店を出すなら協力させて欲しい」と言ってくれて、準備が整いつつあります。
都内は競合が多いですが、その分刺激を受けて成長したいですね。
──夢が広がりますね!
澁木さん:実は、「ヒルズ族になりたい」という夢もあるんですよ(笑)。お金持ちになりたいわけではなく、ただあの場所で暮らす人たちの考え方や暮らしを見てみたいんです。
その為にも、これから“新しい挑戦”を続けていきたいと思っています。

【BEARS】
住所:燕市吉田下中野420-3
営業時間:11:00~22:00
定休日:水曜日
駐車場:有
公式Instagram
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渋木さんこだわりのハンバーガーを堪能したいわ♪