【プロフィール】
長嶋 直人(ながしま なおと):新発田市出身。調理師専門学校に進学し、料理の道へ進む。和食店で修業した後に、寿司の奥深さに魅了され、寿司屋の修業に没頭。実家に戻った後は、学んだものを生かすために大きく舵を切り、寿司メインのお店にシフトする。
『新潟人239人目は、新発田駅前に店を構える『鮨 和食 ながしま』の店主・長嶋直人さんです。寿司に魅了されたきっかけやこれからの目標など、多岐にわたってお話を伺いました。終始笑顔でご対応いただき、大変ありがとうございました!』
修業時代を支えてくれた“同郷の仲間たち”
——料理人を志すようになったのはいつですか?
長嶋さん:実家が寿司屋だったので、小さい頃からなんとなく意識していました。それが本格的になるのは、高校卒業後の進路を決める頃だったと思います。
——調理の専門学校へ進学されたのですよね!
長嶋さん:新潟調理師専門学校で2年間学びました。1年目は“和・洋・中”を学び、「洋食に進みたい」という思いもありました。
しかし、2年生で専門コースを決める時に、頭の中で実家の寿司屋がよぎったんです。将来的に“実家に戻ること”も想定して、和食を選択しました。
——卒業後はすぐに実家に戻ってきたのですか?
長嶋さん:「まずは、修業をして技術を磨きたい」と考えていたので、卒業後は他の飲食店に務めました。
「和食で大枠を学んだうえで、和食の延長にある寿司を学ぼう」と考えたんです。あとから、「大間違いだったな」と気付きましたけどね…(笑)。
——まずは、和食のお店で修業をされたのですね!
長嶋さん:それが学校で学んだことが、ほぼほぼ通用しなくて…。
調理のスピード感やお客様の期待を超える料理を作ることのプレッシャーなど、現場でしか体感できない様々なことに直面しました。毎日心が折れそうになりながら、それでも必死に食らいついていましたね。
——頑張ることができた要因は何だったのですか?
長嶋さん:実家へ帰るたびに会っていた地元の仲間の存在ですね。ジャンルは違うけれど、頑張っている彼らから刺激をもらえていました。心をリセットできる瞬間があったからこそ、なんとか踏ん張れていたと思います。
職場の後輩ができたことも大きかったですね。後輩ができたことで担当する仕事の内容も代わり、より責任が要求されるようになりました。やりがいが出たことも、仕事に前のめりになった要因だと思います。
【過去の新潟人はこちら】
▶【長岡市】新たな出会いの場を提供する『Western Bar Forty-Niners/麻雀cafe LeeBo』の代表・大橋元木さんをご紹介!バーテンダーとしての想いを聞いてみた♪
▶【新潟市】酒蔵で働きながら“竹のぐい呑み”をつくる『竹クラフト作家の星野有佳里さん』をご紹介!「日本酒に興味を持つきっかけに」という想いを込めた酒器の誕生秘話を聞いてみた♪
寿司の奥深さに魅了された3年間
——その和食店には何年ほど修業されたのですか?
長嶋さん:約2年ですね。その後は、寿司屋で約3年間修業させていただきました。
——先程の「大間違いだった」と気づいたのはこの頃ですか?
長嶋さん:そうですね。「魚を扱えてシャリが切れて、握り方さえ分かれば、寿司は習得できる」と考えていました。しかし、魚のさばき方一つとっても、和食店での修業とは雲泥の差がありましたね。
シャリもお店で使う酢が違えば、シャリとの分量だって異なります。“より細かさとセンスを突き詰める姿勢が必要とされる料理”だと痛感しました。
——寿司の奥深さに魅了されていったのですね!
長嶋さん:そのとおりです。僕の性分にあっていたこともあると思いますが、「寿司の世界の奥深さ」に魅了され、のめり込んでいきました。
自問自答の日々
——実家に戻ったのはいつ頃ですか?
長嶋さん:25歳の時です。「まだ修業をしたい」という思いもありましたが、新型ウイルス禍や家庭の事情などが重なって決心しました。
——戻ってから改めて感じたことはありましたか?
長嶋さん:修業先と比較すると、当店の立ち位置がより分かるようになりました。看板には「鮨 和食」とあるけれど、実際のところは町の定食屋でした。
ランチタイムにはラーメンのほうが出たり、ディナータイムには寿司を一貫も握らない日もありました。「修業の意味はあったのか?」と自問自答する日々がしばらく続きました。
——どのタイミングで大きく舵を切ったのですか?
長嶋さん:2022年に“寿司をメインにしたお店”にシフトしました。先の見えない新型ウイルス禍で来店数も右肩下がりになっている状況でしたが、「勝負するなら今だ」と思ったんです。
初めからうまくいくわけもなく、「ラーメンないなら帰る」というお客様もいました。「まずは寿司を食べてもらう機会をつくろう」とお試しメニュー(3貫500円)を作るなど、毎日試行錯誤していました。少しずつリピーターも増えていき、嬉しかったですね。
「当店だからこそ提供できるもの」を突き詰めたい
——方針転換したタイミングで、弟の拓実さんもお店に入られたのですか?
長嶋さん:そうですね。私が寿司を握り、弟がコース料理を担当しています。それぞれの仕事に集中できる体制になりました。
——料理を提供するうえで大切にしていることを教えてください!
長嶋さん:食べ終えたお客様が「本当においしかったし、楽しかった」と思ってもらえる料理や空間をつくることです。会話やお酒の提供なども含めて、“当店だから提供できるもの”を大切にしています。
——他店とのコラボイベントも実施されているのですね!
長嶋さん:異なるジャンルの料理とコラボするイベントを開催(不定期)しています。新たなお客様からの評価は刺激になりますし、異なるジャンルの調理を間近で見られることは大きな勉強にもなりますね。そこで得たものを寿司に落とし込むこともあるんですよ。
——例えば、どんな寿司ですか?
長嶋さん:「桜えびに新発田産のパクチーやスイートレモンを加えた握り」を提供しました。
以前は、創作寿司に興味はありませんでしたが、地元の食材を知っていただくことが“当店の強み”や“お客様の満足度”にもつながると考えましたね。
——最後に、今後の目標を教えてください!
長嶋さん:昔からのキャッチコピーである「飲む楽しみ、食べる楽しみのふえる店」をより突き詰めたいです。私がお店で提供したいものとリンクして、素敵な言葉だと感じています。
【鮨 和食 ながしま】
住所:新発田市諏訪町1-2-10
電話:0254-22-2275
営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00
休み:火曜日、月1回連休あり
公式Instagram
「美味しい」を追求する姿が素敵ね♪