【プロフィール】
木村 勝一(きむら しょういち):長岡市寺泊出身。新潟県立看護大学に進学し、看護師となる。新潟市内の病院で5年間勤務した後、寺泊にUターン。地元で看護師を務めながら、町づくり団体『てらどまり波音(ハネ)』を立ち上げ、「ナイトマルシェ」など各種イベントを開催。地元を盛り上げる活動を続けている。
『新潟人225人目は、『てらどまり波音』の木村勝一さんです。介護福祉施設の看護師として勤務しながら、町づくり団体の代表として様々なイベントの企画・運営を行っています。同団体が発足したきっかけや活動への想いについて伺いました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
“ひょんなこと”から始まった波音の活動
──寺泊に戻るきっかけは何だったのですか?
木村さん:いずれは地元へ戻るつもりでしたが、社会人1年目の時に、漁師だった父が病気で倒れて障害が残ってしまったんです。私は看護師なので「近くに居るほうが母も安心だろう」と思い、予定より早く帰ることを決めました。
──「地元を盛り上げたい」という想いは元々あったのですか?
木村さん:寺泊に戻ってくるときには、看護師を辞めて観光協会に勤めたいと思ったこともありました(笑)。
今は寺泊の介護福祉施設で看護師をしていますが、それも“より地域に密着した仕事がしたかったから”ですし、「地元に関わる仕事をしたい」という想いがあったのは確かですね。
──「てらどまり波音」を立ち上げたきっかけを教えてください!
木村さん:長岡市には「地域委員」という仕組みがあり、地域の重鎮達が集まって“地域をどうしていくか”を考える会議を行っています。そこに「若者代表のひとり」として呼ばれたことがきっかけですね。
──初めて参加したときはどうでしたか?
木村さん:どんな会議かも分かっていない状況で、「何か意見が欲しい」と言われたんです(笑)。「いきなりこんな緊張する場で発言しろと言われても無理ですよ」と発言したら、「それなら若者を集めて意見を集約してくれないか」と言われて…。
それがきっかけとなり、若者5人で立ち上げることになりました。
──成り行きのスタートだったのですね(笑)
木村さん:全員が「何をすればいいんだろう?」となっていました。イベント運営のノウハウもなかったので、寺泊の観光協会とスポーツ協会の会長に教えを乞いに行ったんです。
そしたら「協会のイベントを手伝いながら覚えればいいじゃないか」と言われて、半年ほどイベント運営を手伝いながらノウハウを学びました。2018年6月に実施した「波音~大漁祭~」が初めて主催したイベントです。
“みんなで楽しく活動”がモットー
──最初に手掛けたイベントはどのように企画されたのですか?
木村さん:「町民運動会を復活させて欲しい」という要望があったのですが、「一度やめたものを復活させても同じことの繰り返しになるだけ」と考えたんです。
「私たちの世代が楽しめるものであれば、若い世代も参加してくれるんじゃないか」と思い、幅広い年代に向けたスポーツイベントを企画しました。
──行政とも連携されているのですね!
木村さん:当団体は任意団体なので、サークル活動の延長みたいなものです。会社や営利組織ではないことが、地域の方々の「応援しよう」という雰囲気を作ってくれていると思います。
その分、色々な方から相談ごとが持ち込まれますけどね(笑)。最初の頃は、相談に対して一つずつ解決方法を提案していました。その積み重ねもあって、地域の皆さんから信頼してもらえていると思います。
──木村さんの人柄にも皆さんが惹かれていると思います!
木村さん:そう言っていただけるとありがたいですね。「町づくり」という題目を掲げてはいますが、それほど大げさには考えていません。
「寺泊の町を物凄く良くしよう」というよりも、「私自身や周りが楽しくなれば、その輪が広がることで結果的に寺泊が良くなる」と思っています。
──他の方々も「一緒に盛り上げよう」という気持ちになりますね!
木村さん:今では「波音の活動に参加したい」という方も増えています。メンバーは毎年入れ替わるのですが、それが良い循環にもなっていますね。
長岡技術科学大学や長岡造形大学の学生も興味を持ってくれて、地域外の方々が参加してくれるのは嬉しいです。
──活動に参加する方はどんなところに興味を持って来られるのですか?
木村さん:当団体は1つの事業を継続することを目標としていません。「メンバーのやりたいことをカタチにする」ことをモットーにしています。だからこそ、興味を引く仕掛けが豊富にあるのが魅力かもしれませんね。
──地域外の方が興味を持ってくれるのは嬉しいですね!
木村さん:当団体は会費や会則もないので、会議の出席も自由です。定例会はなく、何かをやる時にだけ集まっています。
「やりたくないことは無理にやらせない」をモットーにしているので、やりたい人がどんどんやってくれます。運営のノウハウを学びたいという方にはしっかり教えますし、今は「イベント運営の勉強がしたい」という高校生もいるんですよ。
行政と協力しながら寺泊をより良くしたい
──「てらどまりナイトマルシェ」は大盛況だったとお聞きしました!
木村さん:「もっと地元の人たちに地域のイベントを楽しんで欲しい」という想いから、スタートしたイベントです。
今年は出店者数などを増やし、規模を3倍にして実施したのですが、4,000人の来場(2023年は1,500人)がありました。当団体のイベントとしては、“最大の集客数”です。
──大雨のなかのイベントでしたが、すごい集客ですね…!
木村さん:今のところ、毎年雨に祟られています(笑)。しかし、雨だからこそ外からくるお客さんは少ないので、多くの地元民が楽しんでくれたと思いますね。
──ナイトマルシェは来年も開催しますか?
木村さん:規模の大きいイベントになったので、今後は行政と協力しながら実施したいと考えています。また、同イベントを開業前のお試しに活用してもらい、「寺泊に店を出したい」というきっかけづくりができたら良いと思います。
──印象に残るエピソードを教えてください!
木村さん:今年の「ナイトマルシェ」はかなりの大雨で集客も見込めないと思い、「中止にするしかないかな…」と考えていたんです。でも、「木村くんがやるって言うなら、必ず人は来るから大丈夫だよ」と言われて、信頼されている気がして嬉しかったですね。
イベントを実施することで、同級生や子供たちが喜んでくれるので、『波音』を続けていて良かったなと思います。
──最後に、今後の目標を教えてください!
木村さん:“寺泊と佐渡の古くからの繋がり”を活かして、佐渡と一緒に何かできたらいいなと思っています。また、近隣の地域とも協力し、お互いの良さを紹介し合って「観光」に結び付けていきたいですね。
当団体の活動に興味ある方には、どんどん参加していただきたいです!嫌になったら辞めてもいいですし(笑)、気軽に参加して欲しいと思います。
【てらどまり波音】
公式ホームページ:http://teradomari-hane.net/
公式Facebook:https://www.facebook.com//locale=ja_JP
ナイトマルシェ@てらどまり公式Instagram:@night_marche_teradomari
「てらどまり波音」の今後の企画が楽しみね♪