【プロフィール】
赤澤 竜也(あかざわ たつや):1993年生まれ、新発田市出身。調理師専門学校を卒業後にレストランやカフェに勤務し、ピザ焼きやコーヒーのドリップを学ぶ。2022年11月にピザ専門店「tartaru(タルタル)」をオープン。イートインのみならず、テイクアウトのオーダーも数多く入る人気店となっている。
『新潟人215人目は、「Pizza tartaru」のオーナー・赤澤竜也さんです。専門学生の時からピザ焼きを経験。イタリアレストランやパティシエなどを経た赤澤さんが、ピザ屋を始めるきっかけやお店に込めた思いなどを伺いました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
精神的に病んだことで気づいた、自分の「好きなこと」
——ピザはいつから焼いているのですか?
赤澤さん:専門学生時代にアルバイトをしていた時からです。そのカフェレストランではホールもかなり厳しく指導いただき、ドリップコーヒーのいれ方の基礎も教わりましたね。
——ホールにキッチン、かなり忙しかったですよね…。
赤澤さん:卒業後に就職したのですが、休みはほとんどありませんでしたね。ケーキなども作っていて、フル稼働の生活が続き、あまりにも負担が大きかったので1年ほどで退職しました。その後は、別のイタリア料理店に勤務しました。
——イタリア料理店では何を担当されたのですか?
赤澤さん:接客が好きだったので、ホールとして入社しました。しかし、キッチン経験もあったので、厨房に入ることもありましたね。最終的には店のマネージャー職を務めました。
——何年くらい務められたのですか?
赤澤さん:6年ほどお世話になった後、経験値を上げるために営業の仕事をしました。しかし、あまりにも今までと畑違いな仕事で精神的に参ってしまい、半年ほどで退社したんです。「僕は飲食が好きなんだ」と実感した瞬間でしたね。
キラキラ輝く同世代を見て、一念発起
——自分のお店を持ちたいと思ったのはいつからですか?
赤澤さん:営業職をしていた時ですね。「葛塚うまいもん市」の手伝いをする機会があり、そこで『和太鼓奏者でコーヒー焙煎士の渡邊健吾さん』と出会いました。“好きなことに没頭している姿”を自分と重ねた際に、「情けない」というか、なんともいえない感情を覚えました。
——刺激を受けたわけですね。
赤澤さん:それからしばらくして、酵母と米粉を使用したスコーンで人気の『scone studio nicoの榎林義仁さん』とも出会いました。渡邊さんも榎林さんも実は同い年なんですよ。キラキラと輝く彼らに出会ったことで、私の中のスイッチが入った感じでしたね。
——そのときからピザ屋を始めようと考えていたのですか?
赤澤さん:そのタイミングでは、明確に何がしたいというものはありませんでした。“とにかく何か始めたい”という衝動しかなかったですね。
——ピザ屋に決めたきっかけを教えてください!
赤澤さん:動き出そうとパティシエを辞めた翌日に、知人から一本の電話が入ったんです。「仕事辞めたならピザ屋やらない?明日の〇〇時に△△に来て!」と言われて、その待ち合わせ場所がこの店でした。
大家さんも同席して内見し、その場で家賃交渉が始まったんです。ほぼ即決でお店を借り、11月のプレオープンを目指しました。
運命の電話から走り続けた2ヵ月間
——プレオープンまで2ヵ月しかなかったんですよね?
赤澤さん:そうなんです。もともと設備や家具などが揃っていたのが大きかったですね。お店の準備を進める一方で、“コーヒーをイチから勉強し直す目的”と、“自分の世界を広げる目的”のため県内外のグルメイベントを回りました。
そこでいろいろな方々と出会い、さまざまなコーヒーのスタイルを学ぶと同時に、新しい考え方や表現方法などインプットする時間に充てました。
——とても行動的ですね…!
赤澤さん:どちらかといえばインドア派で、精力的に外に出かけるタイプではなかったです。しかし、「自分の好きなことをしよう」と考えるようになってから変わりましたね。
それまでは一つひとつの行動の意味を考えるタイプでしたが、「意味なんか後で考えればいい。とにかく動こう」というマインドに変わったのが大きかったです。
——店名の「tartaru」の由来を教えてください!
赤澤さん:私のあだ名からです。あまりにも字が汚く、私の手書きの名前を見た友人には「竜」の字が「亀」に見えたみたいで(笑)。そこから専門学生時代についたあだ名が「亀」です。
あだ名の「亀」を軸にいろいろと調べ始めました。イタリア語で亀を意味する「tartaruga」にたどり着き、響きが気に入ったんですよね。
——不安はありませんでしたか?
赤澤さん:根拠のない自信のようなものがあり、不安はなかったですね。家族や知人がさまざまな形で情報発信をしてくれたおかげで、プレオープン時から地元の方を中心に多くのお客さまが来店してくれました。
使い方は十人十色。好きなものが溢れる空間
——ピザのこだわりを教えてください。
赤澤さん:当店のピザは、“数多くのピッツェリアを食べ歩いてきたピザ好き向け”ではありません。言うなれば、『ピザ入門編』ですね。
このエリアは高齢の方も多く、ピザを食べたことがない子どももいるエリアです。そんな人たちに「ピザがもっと身近な存在になればいいな」と思いながら作っています。
——最後に、今後の展望を教えてください。
赤澤さん:新しいInstagramのアカウント「@komoruyoru」を作りました。“自分と向き合うための夜カフェ”をいずれやりたいと考えて立ち上げたものです。そう遠くないうちに、新発田の街中にもう1店舗を出したいと考えています。
【Pizza tartaru】
住所:新発田市上内竹861-9
電話:090-3503-9528
営業時間:11:00~19:00(18:30LO)
定休日:火曜日
公式Instagram:@tartaru_niigata
ピザもおいしそうだし、お店の居心地も良さそうだわ~♪