【プロフィール】
平岩久秀(ひらいわ ひさひで):1932年生まれ、新潟市北区出身。北越商業高校(現北越高校)でラグビーを始める。40歳以上が加入し、「生涯ラグビー」のテーマのもとに活動する「新潟不惑ハーフブラックス」では、最高齢の現役選手として活躍中。ハーフブラックスの名は、世界トップレベルのニュージーランド「オールブラックス」の半分でもあやかりたいと付けられた。
ガタチラスタッフ:『新潟人190人目は、『新潟不惑ハーフブラックス』の平岩久秀さん(91歳)です!ラグビーの魅力にハマり、現在も現役として活躍し続ける平岩さんに、始めたきっかけやこれからの目標についてお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
突飛な理由で始めたラグビー
――ラグビーを始めたきっかけを教えてください!
平岩さん:入部したのは、創部した翌年くらいかな。当時、生徒は何かしらの部活に所属しないといけなかったんです。所属していない生徒は「浪人」と呼ばれて、先生からげんこつをもらうような時代でした。
――ラグビー部を選んだのですか?
平岩さん:「拳闘部(ボクシング部)」と「ラグビー部」がありましたが、この2つはとにかく暴れん坊ばかりが入っている部活で(笑)。私はルールも知らずにラグビー部に飛び込んだんです。とにかく入れば罰は受けないし、先生にかまわれないで済むと思いました(笑)。
――それからラグビーにハマっていったのですね!
平岩さん:とにかくタックルが楽しかったんです。私はセンター(CTB)というポジションで、相手のセンターをどんなことをしても止めなければいけません。得意なタックルがスパーンと相手に入ると、それはもう気分が良かったですね。“相手にトライさせない”というのは、本当に爽快でした。
定年後に再燃
――高校卒業後もラグビーを続けられたのですか?
平岩さん:社会人になってからは、「オール新潟」というクラブチームから誘われて、5年程プレーしていました。しかし、転勤のある仕事だったので“一生懸命ラグビー”というわけにはいかなかったんです。しばらくはラグビーから離れていました。50代の頃に新潟へ戻って来てから、「新潟不惑ハーフブラックス」に入りました。けれど相変わらず仕事が忙しかったので、熱中し始めたのは会社を定年退職してからです。プレーするだけでなく、テレビでラグビーの試合があれば必ず見ています。
――「不惑」は40歳以上のシニアラグビークラブで、不惑の名が付いたチームは全国各地にありますよね! 新潟は1964年の新潟国体に出場したメンバーを中心に1972年に創部されたと聞きました。
平岩さん:今は県内のラグビー好きたちが120人程入っていて、週1回の練習のほか、県内外の大会や交流戦だけでなく、海外の大会にも参加しています。
――120人も入会されているのですね…!
平岩さん:高校や大学でやっていた人だけでなく、このクラブでラグビーを始めた人や女性もいるんです。男性は“年齢別にラグビーパンツの色(40代:白、50代:紺、60代:赤、70代:黄、80代:紫、90代:金色、女性:桃)が決まっている”のも特徴ですね。
——海外の大会にも出場されたのですね!
平岩さん:「ゴールデンオールディーズ」という親善の世界大会があって、南アフリカやオーストラリア、ニュージーランド、カナダに新潟不惑のメンバーと、女房も一緒に行きました。南アフリカ大会(1998年)の時は、群馬の不惑に入ってプレーしたんです。
その大会のプログラムに、ゴールデンオールディーズの歴史を伝える記事が掲載され、前回大会(オーストラリア)に出場した時の“新潟不惑メンバーの写真”が載ったんです。世界に新潟の不惑が載ったと興奮しましたね。
スローガンは「生涯ワントライ」
——2023年に母校の北越高校が25年ぶりに全国大会(花園)へ出場しましたが、応援に行かれましたか?
平岩さん:いやあ、行きませんでした。残念ですが、経験不足な選手が多く、自分の役割を理解できている選手が少なかったと感じました。それは私も含めたOBたちの責任でもありますよ。
でも、新潟工業高校と開志国際高校に勝って県代表になったので、「大したもんだ」と思いますね。彼らはこれからの選手なので、応援しています。
――4月に大阪・花園(ラグビー場)へ行かれるとお聞きました!
平岩さん:4月6日に80歳以上の全国大会「オーバー80東西対抗戦」という大会に出場します。この大会は関東、関西、九州の3地域の持ち回りで開催していて、今年は高校ラグビーの聖地でもある、大阪の花園の番なんです。新潟不惑からは、今年80歳になった紫パンツのメンバーと2人で行ってきます。
――心待ちにしていたチーム練習も3月から再開しましたね!
平岩さん:私のスローガンは「生涯ワントライ」です。もうこの先長くはないので、死ぬまでにワントライを決めたいと思っています(笑)。90歳以上の場合、ルール上では相手はタックルできないので、みんな道を開けてくれるんです(笑)。その気になってトライを挙げると、「もう1つ」と思うんですよね。お世話になった先輩たちに、あの世へお土産として持って行きたいと思います。それが今の私の夢です。
これからの活躍にも期待ね♪