プロフィール
山田 裕介(やまだ ゆうすけ):新潟県南魚沼市出身。大学進学をきっかけに埼玉県へ。卒業後に飲食チェーンなどに勤務した後、家業を継ぐために帰郷。現在、株式会社越季の代表取締役社長を務めている。
たくさんの人と触れ合う仕事に
──山田さんの生い立ちを教えてください。
山田さん:南魚沼市出身です。高校を卒業し、大学進学で埼玉県へ行きました。接客が好きだったので、在学中は飲食関係のバイトを掛け持ちしていました。卒業後は、福祉機器の販売の企業に就職しましたが退職し、飲食業の世界に入りました。飲食店での接客やメニューの開発を通じて、マネジメントに興味を持ちました。そこから生まれた責任感が土台となり、今の仕事に繋がっています。
──最初は、全く違う業界だったのですね。
山田さん:福祉機器は階段昇降機や福祉ベッドなどを扱うので、高齢者の方がメインのお客様でした。設置やメンテナンスを行っていたのですが、設置に行ったおじいちゃんと「元気でね」と話をしたすぐ後に、その方が亡くなり、撤去依頼の連絡が来ることもありました。色々な人と触れ合いたいという気持ちでやっていましたが、悲しいことも多かったですね。
離れていたからこそ気づいた“地元の良さ”
──「株式会社越季」はどんな想いで設立されたのですか?
山田さん:新潟というと「お米」や「お酒」が代表的ですが、全国的には知られていない美味しいもの、魅力的なものがたくさんあります。「もっと新潟の良さを発信し、自慢したい」という想いから、2004年に父親が設立しました。新潟の食材にこだわった加工品の製造・販売やお土産品の販売を行っています。設立当時は埼玉の飲食店で働いていたので、父親が会社を作ったことを知りませんでした(笑)。
──お父様からは事後報告だったのですね(笑)。
山田さん:会社として組織がしっかりしてきた頃に、父親から「跡を継いでほしい」という話をされました。いつもそんな調子で、先に物事を進めてから事後報告なんです(笑)。今は会長を務めていますが、ギリギリになってから話が来ますね(笑)。2020年8月から、正式に代表を務めています。
──「継いで欲しい」とお話があった後、すぐに引き受けられたのですか?
山田さん:当時の仕事はエリアマネージャーとして複数の店を担当していたので、退社の準備が整うまで1年程かかりました。地元に戻り、改めて新潟の良さをたくさん感じたので、戻ってきてよかったと思います。
こだわりの“自己満足”を作りたい
──「株式会社越季」商品の特徴を教えてください!
山田さん:新潟県産の原料がほとんどですが、新潟県産ではなくても、例えば鮭を地元の酒粕で漬け込んだ「魚沼仕込み」セットなど、どこかに「新潟・魚沼エッセンス」を加えています。目指しているのは「こだわり過ぎた自己満足の商品を作っていく」ということです。
──「こだわり過ぎた自己満足の商品」なのですね。
山田さん:「自己満足」でいいんです。それが他にはない商品になると思います。よく売れる商品は「雑穀米」ですね。魚沼の農家さんだけで集めた五穀米は、当社ならではの商品だと思います。魚沼地域では雑穀米の生産者が非常に少なく、とても希少価値のある商品です。
──商品づくりにも力を入れたのですね。
山田さん:そうですね。以前勤めていた飲食店は、高校生のアルバイトが作っても同じ味が出せるようなオペレーションでした。越季では、どんな食材でも年間を通してなるべく差が出ないようにしていきたいと考えましたが、クオリティを統一するのに苦労しました。
地元の美味しいものをもっとアピールしたい
──贈答として利用される方が多いのですか?
山田さん:県内の方は県外に贈ることが多く、県外の方は自分用に購入する「自家消費型」が多いです。お中元やお歳暮、結婚式の引出物にも利用いただいています。以前から、「食べる展示会」というイベントを年に2回開催しています。贈り物には、自分が良いと思った商品を贈りたいですよね。展示会は会場に入る時に渡されるご飯と一緒に、試食をしながら贈り物を選ぶというイベントです。実店舗がないので、お客様にはこういった機会に実商品を試していただきます。今は新型コロナウイルス感染症の対策で試食はできませんが、展示会自体は毎年開催しています。
──県内と県外で利用目的も異なるのですね!
山田さん:そうですね。売れる商品も異なり、県外では意外な商品が売れたりするんです。県外のイベントに参加すると、「アユの甘露煮」など、地元では売れないのにとても売れて、「もっと持ってくれば良かった」と後悔することもありました(笑)。都会では川魚を食べる機会はほとんどないですし、懐かしさがあるのでしょうね。
──スタッフやお客様との印象的なエピソードはありますか?
山田さん:結婚式で新婦が一人ひとりに手渡す「プチギフト」用に、花嫁をイメージした「白い笹団子」という商品があります。見た目は普通の笹団子ですが、中身が緑色のヨモギではなく、白い団子なんです。表示ラベルに新婦の名前が入っていて、「〇〇の純白笹団子」と書いてある、サプライズ的な商品なのですが、それを結婚式でもらった方が「私の結婚式でもやりたい」と探してくれたんです。越季の商品だと何とか情報を見つけ、わざわざ南魚沼まで来てくださって驚きました。探して来てくれたことが嬉しかったですし、情報の発信は大切だと再確認しました。
──SNSの発信に力を入れていらっしゃいますよね。
山田さん:SNSもそうですが、やれることは何でもやろうと思っています。とりあえずやってみて、反応を見たり、参考にしたりしています。考えてばかりでは前に進まないので、とりあえず実行し、壁に当たったら、また考えればいいと思いながら、新しいことにも挑戦しています。
──最後に、今後挑戦したいことを教えてください!
山田さん:OEM事業に力を入れていきたいです。地元の生産者や飲食店から「オリジナル商品を作りたい」と要望が増えていて、既存の機械で作っていますが、手間がかかり金額が高くなってしまいます。どんな企業、生産者でも気軽にできるように、まずは小ロットでも作れるような設備を整えていきたいです。そうすると地元の繋がりがより深くなると思います。ゆくゆくは弊社オリジナルの商品を全国に出していきたいです!
【株式会社越季】
住所:南魚沼市茗荷沢381-4
電話:025-779-3695
素敵な商品ね!贈り物にもぴったりだわ!