プロフィール
渡辺慎吾(わたなべしんご):加茂市出身。地元の高校を卒業後、ホテルマンや障がい福祉施設など様々な企業で経験を積む。障がい福祉施設で出会った仲間と一般社団法人禄陽を立ち上げ、専務理事を務める。その後、禄陽のグループ会社として就労継続支援B型に特化した事業所『Sprite(スプライト)』を加茂市に設立。就労支援に留まらず、様々な事業に取り組んでいる。
様々な企業で経験を積んだ社会人時代
ーー渡辺さんの生い立ちを教えてください。
渡辺さん:生まれも育ちも加茂市です。地元の高校を卒業後は、新潟でホテルマンとして働いていました。その後もいくつかの企業を経験し、転勤で東京にも行きました。とてもやりがいのある仕事でしたが「東京が合わない」と感じ、地元で再就職することにしたんです。
ーー転勤で県外に出られていたのですね。
渡辺さん:東京は人が多すぎて、「新潟へ戻りたい」とすぐに思いました(笑)。それから地元へ戻り、生活費を稼ぐために引っ越し業者へ就職しましたが、父親の怪我をきっかけに退職し、実家の農家を手伝ったりもしましたね。
福祉のベンチャー企業誕生!
ーーSpriteの立ち上げ前は、三条市にある「一般社団法人 禄陽」の設立メンバーだとお聞きしました。
渡辺さん:そうなんです。就職した障がい福祉施設は全国展開をしていたのですが、効率の悪い作業だと感じる部分も多く、問題が山積みでした。「効率的に働けて施設利用者の待遇も良くする方法を実現するためには、自ら会社を立ち上げた方が早い」と考え、当時の仲間と「禄陽」を設立しました。
ーー「Sprite」を立ち上げた経緯を教えてください。
渡辺さん:加茂市長から禄陽に「加茂市に事業所を作って欲しい」と要望をいただいたことがきっかけです。Spriteを始める前は、同じような事業所が加茂市に1社しかなかったので、加茂市の障がいや難病によって雇用契約を結んで働くことが困難な方に作業訓練や就職訓練、日常の場として利用してほしいという想いで始めました。
ーー「Sprite」の特徴を教えてください。
渡辺さん:三条市にある「禄陽」との大きな違いは、雇用できるかできないかということです。「禄陽」が運営する就労継続支援A型事業所「IWORK」では障害を持つ利用者を雇用します。しかし、雇用が難しいとされる障がいを持っている方は、不採用にするしかありませんでした。より多くの利用者の受け入れを実現するために、就労継続支援B型事業所として「Sprite」を立ち上げたんです。ありがたいことに、今では多くの企業様から内職作業を受託しています。
※就労継続支援A型・・・障害のある方が一般企業への就職が不安、あるいは困難な場合に、一定の支援がある職場で雇用契約を結んだ上で働くことが可能な福祉サービス。
※就労継続支援B型・・・障害のある方が一般企業への就職が不安、あるいは困難な場合に、雇用契約を結ばず、軽作業などの就労訓練をおこなうことが可能な福祉サービス。
ーー利用者さんはどんな作業をされているのですか?
渡辺さん:訓練内容はネジ入れや梱包作業などが中心です。その他に組み立て作業、データ入力なども受託しています。今後は利用者さんがオールマイティーにチャレンジできる機会をどんどん作っていきたいと考えています。非雇用型の施設ですので、賃金は仕事ができた分だけ利用者さんにお金を支払う完全歩合制を取り入れています。
(施設内の作業場)
給料UPが1番のモチベーションに!渡辺さんの経営方針とは?
ーー経営の中で大切にしていることを教えてください。
渡辺さん:当社は経営数値を重視しています。手弁当で施設利用者を応援するような会社ではありません。少し冷たく聞こえてしまうかもしれませんが、利益を上げて会社を潤し、どんどん社員へ還元していきたいと考えています。会社を潤すためにも、障がい福祉サービスだけでは続けていけません。福祉以外の様々な事業にもどんどんチャレンジしています。
ーースタッフや利用者さんのモチベーションにもつながりますね!
渡辺さん:雇用される側としての経験が長かったため、その辺りはかなり意識しています。上司が暇そうにしているのを目にすると、部下のやる気はとても下がりますよね。やる気を上げるためにも、ノルマを設定し実力で給料が上がるようにしています。給料が上がればモチベーションも上がり、お客様へのサービス向上にも繋がっていくと思います。
ーースタッフとの印象に残るエピソードを教えてください。
渡辺さん:スタッフが私のデスクに置いた大事な書類を勝手に捨ててしまい、注意を受けた事が以前にありました(笑)。机の上に無造作に置かれていたので「不要かな?」と思い捨てたのですが、スタッフがゴミ箱で見つけ、「これ捨てました?」って(笑)。私が怒られるくらい、スタッフとは距離の近い関係です。
(Spriteスタッフの皆さん)
ーー利用者さんとの印象に残るエピソードも教えてください!
渡辺さん:たくさんのエピソードがありますが、努力が実を結び、一般就職を果たす人を見送る瞬間が一番嬉しいですね。経験を積み、ここを巣立っていく利用者は全員卒業式を開いて送り出しているんです。卒業証書を受け取り、巣立っていく姿は毎回感動します。親御さんが涙ながらにお礼に来てくれることも多く、本当に嬉しい限りです。
ーー最後に今後の展望を教えてください。
渡辺さん:今後も福祉のベンチャー企業として、障がいを持っている方が稼げることをオールマイティーにやっていきます!常にアンテナを張り、事例のない新しいことにもどんどん挑戦していきたいです!
【株式会社Sprite】
住所:加茂市大郷町1丁目10-21
電話:0256-47-4095
今後のチャレンジにも期待だね!