プロフィール
永井武晴(ながいたけはる):新潟市西区板井地区に生まれ育つ。地元の高校を卒業後は建設会社に勤務し、39歳のときに両親の枝豆農家を継ぐことを決意する。「黒埼板井っ娘枝豆生産組合」に所属し、黒埼茶豆の品質向上に努めている。
仕事を辞め、農家一本に
――永井さんの生い立ちや趣味などについて教えてください。
永井さん:生まれも育ちも新潟市西区板井地区です。農家の長男として生まれました。家業を継ぐ前は、高校を卒業してから20年ほど建設会社に勤めていました。学生の頃からバスケットボールが好きで、子供が幼い時はミニバスケットボールのコーチもしていました。今はプレイをする機会がほとんどなくなりましたが、観るのも好きですね。
――家業に戻られたきっかけを教えてください。
永井さん:父親の仕事が忙しくなり、「農業を手伝ってほしい」と頼まれたことがきっかけです。半端な気持ちでは農家を継ぎたくなかったので、仕事を辞めて農家一本で始めました。
――いずれは家業を継ぐお考えだったのですか?
永井さん:両親からは「継がなくていいよ」と言われていたので、継ぐことは考えていませんでした。結婚の挨拶へ行った時も「継がない」と妻のご両親に伝えたのですが、20年経ったら変わりましたね(笑)。
――「永井農園」の創業はいつ頃だったのですか?
永井さん:永井農園としては私の父親が始めましたが、代々この地で農家をしており、以前は色々な農作物を作っていたと聞きました。しかし、黒埼の土地には枝豆が一番合うということで、昭和50年代以降は枝豆をメインに作っています。
朝採りの鮮度が自慢!
――黒埼茶豆の特徴を教えてください。
永井さん:黒埼茶豆は甘みが強く、香りも良いことが特徴です。私たちは日々の天候を見ながら育て方を変え、責任をもって収穫後の鮮度まで管理しています。枝豆は鮮度が命です。県内のスーパーへ出荷するものは、朝日に当たらないようにその日の午前3時から収穫をはじめ、新鮮なものを店頭に並べてもらっています。県外へ出荷する黒埼茶豆も未明に収穫し、すぐに冷蔵庫へ入れ、冷蔵庫から直接クール便のトラックへ積んで出荷しています。新鮮なうちに召し上がっていただくと、黒埼茶豆の甘みと香りがより良く感じられますよ。最近はスイーツやポタージュなどにアレンジしてくれる人も増え、嬉しく感じています。
――枝豆作りのこだわりを教えてください。
永井さん:こだわりはありません(笑)。というのも、作物を作る時は種を蒔くところから収穫まで様々な作業があります。種を蒔いて収穫という作業は大体の方がイメージできると思いますが、その中間が大事なんです。その中間の作業でするべきことを手抜きしないことが大切です。
――過程が重要ということなのですね。
永井さん:同じ黒埼茶豆でも、作られる場所によって個性があります。枝豆の生育状況や天候など、その時の枝豆に最適な方法で日々作っています。教科書的なことも大切ですが、条件に合わせて対応していくことが大切だと思います。そのさじ加減は経験でしか培われないので、初めの頃は難しかったです。両親や地域の方々に助けられながら、今日まで続けられています。
――「黒埼板井っ娘枝豆生産組合」の組織について教えてください。
永井さん:黒埼板井っ娘枝豆生産組合には、板井地区を中心とした黒埼地区の13の農家が所属しています。いつでも安心して美味しく黒埼茶豆を食べられるように品質の良い種子を選び、その種子を統一するという目的で活動しています。生産した枝豆は、県内のスーパーや通販サイトで販売しています。
――“品質の統一”が「黒埼板井っ娘枝豆生産組合」の特徴でもあるのですね。
永井さん:そうですね。黒崎茶豆というのは、厳密には種類があり、様々な特色があります。同じ黒埼地区でも集落の土壌はそれぞれですし、栽培方法にはどうしても独自色が出てきてしまうんです。しかし、黒埼茶豆というブランドを大切に守っていこうと、一人ひとりが意識を高く持って活動しています。
黒崎茶豆の産地を守る
――印象に残るエピソードを教えてください。
永井さん:コロナ禍前の話ですが、新潟アルビレックスBBの選手と子供たちが一緒に枝豆の収穫体験をするイベントを実施しました。子供たちが楽しそうに収穫している姿がとても印象的でしたね。新型コロナウイルス感染症が落ち着いたら、またみんなで楽しめるようなイベントを開催し、若い人たちにもっと黒埼茶豆の良さを知ってもらいたいです。
――最後に、これから挑戦したいことを教えてください。
永井さん:黒埼板井っ娘枝豆生産組合に所属している多くの農家は高齢化の問題を抱えています。産地を守るため、黒埼茶豆を好きになって受け継ぎたいという若者が増えるような活動を行っていきたいです!後継者を育てながら発展させていき、自分も含め、次の世代へのバトンを渡したいと思います。後継者にしっかりと引き継ぐことができたら、妻と一緒にゆっくり旅でもしたいですね(笑)。
黒崎茶豆と一緒に飲むビールは最高なんだよね!おいしい枝豆が食べれるのは生産者さんのおかげだね!