
【プロフィール】
細山和彦(ほそやまかずひこ):石川県生まれ。父親の仕事の関係で新潟へ移住。中学生の頃、中華料理に魅了されて、料理人を志す。四川飯店での修行を経て、複数の飲食店で料理長を歴任。2023年に新潟へ戻り、「中国料理 大猩猩ほそ山」をオープンする。
『新潟人265人目は、新潟市北区の人気店の店主・細山和彦さんです。中華料理の世界を夢見て、調理の道へ。日本でも屈指の名料理人の下で研鑽を積み、新潟へ戻られました。細山さんの歩みと今後の展望について、さまざまなお話を伺いました!笑顔でご対応いただき、ありがとうございました♪』
「四川飯店」での食事が転機
――料理人を志したきっかけを教えてください!
細山さん:中学生の頃は、『中華料理=ラーメン』というイメージがありました。家族で四川飯店のコース料理を味わったとき、その概念が一変しましたね。
それから中華料理に対する憧れを抱くようになり、高校卒業後は大阪の調理師専門学校へ進学しました。
――学校生活はいかがでしたか?
細山さん:住み込みでアルバイトをしながら学校に通う生活が楽しくて…(笑)。料理を作れる嬉しさから、2年次は学校よりもバイト優先になっていました。
何とか卒業し、陳建民(チンケンミン)さんの一番弟子『杜栄(トウエイ)』さんが総料理長を務める「四川飯店」に入社しました。

恩師・杜栄シェフとの出会い
――修業は辛くなかったですか?
細山さん:夜逃げする仲間もいたほどの環境でしたが、私はやり抜くと決めていたので、辛さはあまり感じませんでした。
「蒲田の四川賓館」で修業した後、新設される「シェンロン東京」に配属されました。3年後には、総料理長の杜栄先生のサポート役に抜擢され、間近でその技術を学ばせていただきました。
――レシピは共有されていたのですか?
細山さん:当時はレシピなんてものはなく、目と舌で覚えるという世界でした。先輩や先生がつくったソースをこっそり舐めて、味を覚えていく日々でしたね。
――シェンロン東京には何年ほど在籍したのですか?
細山さん:約10年です。その後、新しい環境に自分を置いてみたくなって、台湾に本店を持つ「小籠包の有名店」で料理長として勤務しました。

転機の重なり、そして帰郷
――新潟にはいつ頃に戻ってきたのですか?
細山さん:料理長をしている時に父が他界し、さらに自分が悪性リンパ腫を患ったタイミングで、実家へ帰ろうと進めました。
2022年3月に新潟へ戻り、9月にこの店をオープンしました。
――この場所にお店を開いた理由は?
細山さん:実家から近く、居抜き物件だったことが大きな理由です。
料理には自信がありましたが、新潟で提供するのは初めてだったので、「新潟の人たちに自分の味を気に入っていただけるのか」と不安でしたね。

『ゴリ』と『ダーシンシン』
――店名の由来を教えてください!
細山さん:中学生時代のあだ名「ゴリ」に由来しています。東京時代に一緒に働いていた中国人スタッフに、「ゴリラを中国語で何というのか」を聞いたところ、「大猩猩(ダーシンシン)」と教えてもらったんです。
それがなんだか気に入ってしまって(笑)。読めるかどうかは関係ないと思い、そのまま店名にしました。
――料理を提供するうえで大切にしていることは何ですか?
細山さん:味付けの部分で、“本場の中華料理になりすぎない”ことです。ただし、中華料理の基本には忠実でありたいと考えていますね。
徹底した下処理と、可能な限り自家製の調味料を使い、当店でしか味わえない中華料理を提供しています。

――最も自信のある料理を教えてください!
細山さん:四川料理出身なので、やはり「麻婆豆腐」ですね。ただし、先ほどのように本場の中華料理になりすぎないよう、基本的には辛さを抑えて提供しています。
ご要望があれば、辛さを最大限に体験できる味わいにすることも可能ですよ。
――お客さんの要望にも応えてくれるのですね!
細山さん:もちろんです。ただし、ランチタイムは難しいので、基本的にはディナータイムで対応しています。
先日も『高齢の母が大好きな肉料理を作ってほしい。でも、母は歯が悪く、硬いものが食べられない』というご要望がありました。
そこで下味をつけたスペアリブを圧力鍋で調理し、一晩寝かせてから揚げて、酢豚にした特別料理をお出ししました。「噛まなくても食べられる」と喜んでいただき、嬉しかったですね。
――限定メニューもあるのですか?
細山さん:旬の素材を使ったメニューを中心に、随時更新しています。牡蠣やワタリガニのほか、私が趣味で釣ってくる魚を使ったメニューも並びますよ。

再発・移植・復帰。支えてくれたお客さんたち
――2024年に骨髄移植が成功して、復帰されたとお聞きしました。
細山さん:実は、1年の休業を経て復帰しました。再開を知った常連さんが「病気が治ってよかったね」と来店してくれたのが、何よりもありがたかったです。「この土地に馴染んだのかな」と感じる瞬間でもありましたね。
今も体調は万全ではないので、無理をしない程度にゆっくりと営業していこうと思います。
――最後に、今後の目標を教えてください!
細山さん:とにかく、“店を続けていく”ことです。常連さんの中には、三条から通ってくださる方もいます。そういった方々に長く、変わらぬ味を提供し続けることが最大の目標ですね。
あとは、“驚きを提供し続ける”こと。私がミナミプラザで驚嘆した、「中華料理ならではの大胆さ」というか、「目や舌、耳で感じられる驚き」を提供し続けたいです。

【中華料理 大猩猩 ほそ山】
住所:新潟市北区早通北4-6-32
電話:050-8884-0833
営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00
公式Instagram
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自慢の「麻婆豆腐」を食べに行きましょう♪