【プロフィール】
加藤光夫(かとうみつお):東京生まれ。中学生のときに岡山県に移住。飲食業を経験した後、鉄鋼業に転職する。知人の紹介で知った「アイアン家具」に魅せられて家具職人の道へ。
田村香奈絵(たむらかなえ):小千谷市生まれ。専門学校を卒業後、ジュエリー工房に就職。転職先で加藤さんと出会う。2024年に「アイアン&サンド nuku森」をオープンした。
『新潟人241人目は、「アイアン&サンド nuku森」の加藤光夫さんと田村香奈絵さんです。工房兼ショールーム的な店舗をオープンするまでの経緯や今後の展望についてお話を伺いました。笑顔でご対応いただき、ありがとうございました!』
神戸市で運命の出会い
——いつから家具職人を目指したのですか?
加藤さん:飲食業界にいたのですが、知人の紹介で24歳のときに鉄鋼業に転身したんです。その後、神戸にアイアン家具をつくる職人さんがいることを知り、弟子入りしました。
——すぐに弟子入りの決断をしたのですか?
加藤さん:そうですね。師匠の工房にお邪魔したときに、“アイアンでつくった階段や手すり”の洗練された感じに衝撃を受けたんです。「自分もつくりたい!」と思いました。
——家具の制作で苦労したことはありましたか?
加藤さん:デザインを考えるという点は、鉄鋼と大きく異なる点だったので苦労しましたね。鉄鋼業と並行しての修業でしたが、“自分の考えたものや想像したものを形にできること”にやりがいを感じていたので、苦ではありませんでした。
試行錯誤し、失敗を繰り返しながら、少しずつ自分のイメージする形をつくれるようになっていきました。
神戸から新潟へ
——田村さんもアイアン家具をつくられるのですか?
田村さん:いえ、私は専門学校でジュエリーデザインなどを学んだ後、ジュエリー工房で指輪をつくる仕事に就きました。転職先で加藤さんと同じ部署になり、アイアン家具との距離感が近くなっていきました。
——お二人は同じ会社に勤められていたのですね!
加藤さん:当時勤めていた会社の転勤で、新潟に来ました。その後、ご縁で別の会社に転職して、アイアン家具をつくる部署で職人として働きました。
田村さん:加藤が家具職人として働く部署に私も配属されたんです。しばらくしてお付き合いすることになり、今に至るという感じですね。
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『いつかは独立したい』を実現
——独立はいつから考えていたのですか?
加藤さん:「いつかは自分の工房を持ちたい」と修業時代から思っていましたが、新型ウイルスなどでタイミングを掴めずにいました。
しかし、アイアン家具部門で働くうちに、「自分のデザインをつくりたい」という欲が高まったんですよね。
——そう考えるようになったきっかけを教えてください!
加藤さん:会社勤めのときは「いかに売れるか」が最重要項目で、デザイン性や使い勝手は軽視される傾向もあり、自分の思いとのギャップを感じるようになっていました。
独立しようと行動に移せたのは、いい意味で会社勤めがあったからだと思います。
——「nuku森」をオープンさせたのはいつですか?
田村さん:2024年12月です。「工房兼アイアン家具を実際に見てもらうカフェをつくろう」と2人で話していました。物件を探すなかでご縁をいただき、この場所に出会いました。
加藤さん:アイアン家具を製作する際に、どうしても音が出てしまいます。第一条件は、製作時の音が出ても大丈夫な物件でした。
田村さん:アイアン家具というと、黒く塗られた鉄を使ったスタイリッシュなものをイメージされる方もいます。
加藤のつくる家具は、“木を使うことで醸し出されるナチュラルなぬくもり”が特徴です。その「ぬくもり」を感じていただける空間をイメージして内装などはつくりました。
自分好みの完全オーダー制
——アイアン家具にもいろいろなテイストがあるのですね!
田村さん:そうですね。結婚式場などでは、「ロートアイアン(植物や花を連想させる装飾)」と呼ばれるヨーロッパ系のデザインが多いです。
加藤が得意としているのは「ブルックリンスタイル」で、“スタイリシュさや温かみ、無骨さ”を連想させるテイストです。
——カフェのインテリアに値札が付いているのですね!
加藤さん:店内で使用しているインテリアは、アイアン家具のサンプルでもあります。価格面も含めて、イメージを膨らませていただく目的で設置しています。
——設置している家具を購入できるのですか?
加藤さん:設置している家具は、あくまでもサンプルです。「家でどのように使用したいか」や「希望のサイズ」などをヒアリングし、オーダーメイドで製作しています。
田村さん:先日も「はしご型のラダーラックを購入したい」というお客様がいらっしゃいました。
横幅を50cm程長くしたいというオーダーをいただいて、現在製作中です。材質の感じや木の色・種類も細かく変更可能です。
目指すのは『ぬくもり溢れる空間』
——カフェで提供するサンドイッチは種類が豊富ですね!
田村さん:食事系が6〜7種類、デザート系が2〜3種類です。定番以外にも、季節の素材を使用したものも常時提供しています。
——サンドイッチのこだわりを教えてください!
加藤さん:いろいろなパンを食べ歩いて、店の近くにある「平安堂」さんのパンが気に入りました。
小麦の味が優しく香り、非常に柔らかいのが特徴ですが、サンドイッチには焼き立てだと少し柔らかすぎるんです。一晩おいて、パンを落ち着かせてからサンドイッチに使用するようにしています。
——最後に、今後の目標を教えてください。
田村さん:“地域に愛されるお店”になりたいですね。気取らず入れて、懐かしさを感じるような空間にしていきたいです。
加藤さん:「気軽に入れてゆっくりできる、ぬくもり溢れるお店」になりたいですね。そのうえで、メインのアイアン家具を県内外の方々に知っていただき、たくさんの家具をつくっていきたいです。
色々なものを楽しめる空間にしていきたいと思っています。
【アイアン&サンド nuku森】
住所:新潟市北区太夫浜1780-3
電話:025-278-3790
営業時間:10:00~18:00(土日祝日は10:00~17:00)
公式Instagram
オシャレなアイアン家具を作ってもらおうかしら♪