【プロフィール】
雨木 香奈子(あまき かなこ):新潟市出身。大学で食について学び、食品会社の営業に就職。田舎暮らしに憧れて、小千谷市の地域おこし協力隊に応募。農家レストラン「より処 山紫」の立ち上げを経験した。後に、夫婦で小千谷市の豆腐屋の跡を継ぐ。現在は子育てをしながら『とうふ工房 豆ノ助』を経営。
『新潟人240人目は、小千谷市に店を構える『とうふ工房 豆ノ助』の雨木 香奈子さんです。小千谷市に移住したきっかけや現在の活動など、様々なお話を伺いました。笑顔でご対応いただき、ありがとうございました!』
「地域おこし協力隊」に就任
——移住を考え始めたのはいつ頃ですか?
雨木さん:大学で食について学んでいたこともあり、関東の食品会社で営業をしていました。
やりがいはあったのですが、“手間をかけずに簡単に”という当時の風潮があまり合わなくて…。20代の時に、知り合った農家さんの家に遊びに行くようになったんです。
農作業を手伝っている間は仕事の忙しさやストレスも忘れられて、「田舎で自給自足的な暮らしがしたい」と強く思い始めました。
——小千谷市の「地域おこし協力隊」に応募した理由を教えてください。
雨木さん:地元の新潟市ではなく、“田舎暮らし”を求めて転職活動をしている中で、「地域おこし協力隊」の存在を知りました。
小千谷市での任務の募集を見つけて、「お給料が3年間貰える。田舎暮らしの足掛かりにするには、これしかない!」と思い、すぐに応募しました。
——どんなプロジェクトに就いたのですか?
雨木さん:岩沢地区の空き施設の有効活用の一環として、「農家レストラン」を立ち上げるプロジェクトを任せてもらいました。
“メニュー考案・価格設定・人材確保などの業務”を、責任者として運営していました。
——とても大変そうですね…。
雨木さん:私が着任したときには、“1ヶ月後にオープンする”ということだけ決まっていた感じです…(笑)
ちゃんと確認しなかった私が悪いんですけど、逆に「やるしかない!」って覚悟が決まりました。3ヵ月間くらいは、立ち上げとオープンでバタバタしていた記憶しかないくらい頑張りましたね!
——地域の方の協力もあったのですか?
雨木さん:特に調理面で多くの方に協力してもらいました。
メインの料理を私と地元のお母さんたちで作り、副菜は地域のおばあちゃんに作ってもらったんです。調理は未経験だったので本当に助かりました!
大変だったけど、“地域の方との交流を深められた大切な思い出”ですね。
——どのくらい運営されていたのですか?
雨木さん:私が直接携わったのは約1年間です。現在は違う方にバトンタッチして営業していますよ。
立ち上げから軌道に乗せるまで苦労したお店なので、今でも我が子のように愛着があります!
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地域の豆腐屋を継業
——豆腐屋さんを始められたきっかけを教えてください。
雨木さん:「農家レストラン」のプロジェクトが軌道に乗り始めたくらいから、任期後の仕事をどうするか考えていたんです。
そんな時、隣の真人地区で「地域おこし協力隊」の活動をしている夫が、“地元の人たちが地域おこしの一環で創業した「真人とうふ」が店を閉めるという話”を耳にしました。
「地域おこし協力隊」は3年経てば無職。2人とも「これだ!」と意見が一致して、豆腐屋を運営していた組合の方に直談判して、継がせてもらうことになりました。
——ご夫婦で「地域おこし協力隊」なんですね!
雨木さん:同じ時期に着任した同期なんですよ。
子育ても計画していたし、今後の生活設計について話し合っていました。店名は『とうふ工房 豆ノ助』になりましたが、「真人とうふ」時代のお客さんも引き継がせてもらえたのが本当に助かりました。
——店名はどのように決めたのですか?
雨木さん:長男がお腹にいるときから2歳くらいまで、「まめ」とか「まめた」って呼んでいたんです!
「豆腐屋さんだし、ちょうどいいな」と思って店名に入れたんですよ。
——現在もご夫婦で営業されているのですか?
雨木さん:豆腐作りは夫が担当しています。
私は、油揚げやがんもなどの加工品を中心に製造しています。午後には配達に行くというのが1日の流れですね。
スーパーに納品した後は、大体1日40軒くらいのお宅を伺って豆腐の販売をしています。
——1日40軒は大変ですね。
雨木さん:外出が難しいご年配の方に、喜んでもらえています。地域の方とたくさんお話しできるので、私も楽しませてもらっていますよ。
生産性とかを考えたら効率が悪いんだろうけど、“コミュニケーションの上に成り立っている商売”が性に合っているんです。
他愛ない世間話や笑顔が、日々の活力になっていますね。
人気の豆腐スイーツ
——豆腐スイーツも人気なんですよね。
雨木さん:「真人とうふ」を継いで約1年経った頃に開発しました。
豆腐だけでは集客が弱いし、「幅広い年代の方に大豆の美味しさを届けたい」と思ってスイーツ作りをスタートしました。
——レシピ開発で苦労したことを教えてください。
雨木さん:実はそれほど苦労してないんです。
“お菓子の製造に携わってくれる方”の募集をしたら、いつも来てくれる常連さんが経験豊富なキャリアをお持ちだったんです!
試作のプリンを食べてみたら、「何この美味しさ!?」って、夫婦揃って感動しました(笑)すぐに師匠になってもらって、一緒にスイーツのレシピを作り上げました。
——奇跡のようなエピソードですね。
雨木さん:小千谷に移住してから、“人々との縁”に支えられていることを凄く実感できます!こんな生活をできているのが幸せですね。
「みんなのおばあちゃん」になりたい
——都会から地方への移住で苦労したことはありますか?
雨木さん:都会から急に来た人間として、最初は少し警戒されていたと思います。でも、一生懸命やっているうちに、すぐに“親戚みたいな関係”になれました。
近所にお店や公共交通機関が少なかったりと不便な部分はあるけど、都会には無い物もたくさんありますよ。
“食べ物が美味しくて、人が温かい”ので、住むのに困ることはなかったですね!
——雨木さんにピッタリの地域だったんですね!
雨木さん:元々はもっと山奥の地域をイメージしていたんですけど、“程よい田舎”なのも良かったです。
移住受け入れにも熱心で、家賃補助とか移住支援金が充実しています。「田舎暮らしをしたい!」と考えている人にオススメの地域ですよ。
——最後に今後の夢を教えてください。
雨木さん:「みんなのおばあちゃん」みたいな存在になることが夢です。
小千谷に移住したばかりの頃に、地域のおばあちゃん達が孫のように迎え入れてくれたのが嬉しかったんですよね。
豆腐屋のほかにも、「移住サポーター(小千谷)」や「にいがた暮らしサポーター(新潟県)」、「地域おこし協力隊サポートデスク相談員(総務省)」などの活動しているので、いろんな方面から移住を検討している方の力になりたいです。
皆さんもぜひ小千谷に来てくださいね!
【とうふ工房 豆ノ助】
住所: 小千谷市真人町甲586-7
電話:0258-86-2870
営業時間:8:30~12:00
休み:月曜日
公式ホームページ
田舎暮らしに憧れるわぁ♪