佐藤 謙介(さとうけんすけ):1983年、新発田市生まれ。高校時代にホテル内の中華料理店でアルバイトをスタート。高校卒業後に同店の調理人として料理の世界に入る。その後、他の中華レストランでも勤務し、2022年に副業としてスパイスカレーのキッチンカー『やすけカレー』をスタートさせる。2024年2月には新発田市で実店舗もオープンする。
『新潟人206人目は、新発田市の『やすけカレー』の佐藤謙介さんです!ダシをきかせ、多様な香味油を使い分ける“独自の無国籍カレー”が評判の店はどのようにして誕生したのか。「新型ウイルス禍が大きな転機となった」と話す佐藤さんに、これまでと今後について伺いました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
やすけカレーの原点は“中華料理店にあり”
——料理の道を志したきっかけを教えてください!
佐藤さん:高校生のころに新発田駅前の中華料理店でキッチンのアルバイトをしていて、そのまま社員になりました。最初はなんとなくでしたが、“将来に向けて懸命に頑張る同級生たちから刺激”を受け、「自分も本腰を入れて頑張ろう」と決めたのがきっかけでした。
——修業を始め、辛かったことはありますか?
佐藤さん:仕事に没頭できていたおかげで、そこまで辛かったことはなかったです。「この仕込みを〇〇時までに終えよう」というような小さな目標を常に立て、それをクリアするのを楽しんでいました。できる仕事がコツコツと増えていくと同時に、“仕事により興味を持てた”のが大きかったですね。
——何年くらい修業をされたのですか?
佐藤さん:7年ほど勤めた後に、中華レストランに転職しました。多様なメニュー構成の店だったので、“自分のスキルや料理の幅”も非常に広がったと思います。今のカレー作りにもつながってくる「鍋振り(中華鍋での調理)」は、この店で嫌というほど毎日行っていました(笑)。
趣味を仕事に。
——スパイスカレーに興味を持ったきっかけを教えてください!
佐藤さん:新型ウイルス禍になって、店が休業することになったときです。約1ヵ月の空いている時間に「なにか始めよう」と考えて……。友人とバーベキューをした際に残っていたスパイスが目に止まり、“これを生かせる料理”を考えた結果が「スパイスカレー」でした。
——キッチンカーを始めたのはなぜですか?
佐藤さん:(趣味の一環として)作ったスパイスカレーを友人に振る舞っていると、「おいしいし、店をやれるんじゃない?」と言ってくれて。でも、実店舗では多額の初期投資がかかるし……。「それなら軽トラを改造してみてはどうか」という発想の流れで、“キッチンカー構想”ができました。
——キッチンカーは自作なのですか?
佐藤さん:キッチンカー製作のYouTubeを見て、1人で制作しました!完成までに1年半ほどかかりましたが、制作費は40万円ほどに抑えることができましたね。
——すぐに集客できましたか?
佐藤さん:ありがたいことに、多くのお客さんが来てくれたんです。その大きな要因はSNSですね。「キッチンカーの制作過程」や「カレーのレシピ研究」をSNSにアップしていました。キッチンカーデビューの日もSNSにアップしたら、問い合わせの電話まであって……。本当にうれしかったですね。
——他にも印象に残るエピソードはありますか?
佐藤さん:それまでは調理場にいて、お客様が料理を食べたときの表情を目にする機会は殆どありませんでした。しかし、キッチンカーでは自ら接客するので、目の前で反応を見ることができます。「おいしかったからまた来た」と直接的な反応を伺えるのは、この上ない歓びですね。
中華の技法を生かしたカレー
——実店舗化して本業にしようと考えたのはいつですか?
佐藤さん:中華レストランに勤め始めて、「いずれは自分の店を持ちたい」と思っていました。しかし、具体的に何の店というのはなかったんです。スパイスカレーと出会った新型ウイルス禍が、私にとっては“大きな転機”だったと思いますね。2023年の春ごろには店舗の候補地を探し始めました。
——カレーの特徴を教えてください!
佐藤さん:“スパイスの角をとり、より日本人好みに仕上げている”点です。また、ダシや香味油という要素をカレーに取り入れているのも特徴ですね。「中華料理人時代の経験や、スープのダシ・油のうまい使い方が生きたカレー」だと思います。
——カレーのレパートリーはどのくらいあるのですか?
佐藤さん: 20種類前後です。定番の「濃厚えび出汁シーフードカレー」や「角煮カレー」のほかに、“毎日2種類の日替わりカレー”を提供しています。どのカレーも作るたびに少しずつ進化をさせていて、「こうしたほうがおいしくなるんじゃないかな」と常に試行錯誤しています。
原点となった中華料理もいずれは出したい
——中華鍋はどのタイミングで使っているのですか?
佐藤さん:仕込みの際、玉ねぎをあめ色に炒めるときなどに使用しています。中華鍋が使えるようにコンロも専用のものにしたんですよ。このおかげでキッチンカーのころに比べて格段に仕込みの効率がよくなり、提供できるカレーの種類を増やせました。
——どのようなお客様が来店されていますか?
佐藤さん:女性を中心に20代から40代くらいのお客様が多い印象です。初めて来店される方は「定番カレーの二種盛り」、リピーターの方は「日替わり」を注文されることが多いですね。
——最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください!
佐藤さん:中華の技法をより生かした「中華風のカレー」や「中華料理そのもの」もメニュー化したいと考えています。当店だから提供できる“唯一無二の無国籍カレー、無国籍料理”を突き詰めていきたいですね。
【やすけカレー】
住所:新発田市豊町3-12-7
電話:070-3256-8200
営業時間:11:00~14:30、17:00〜20:30
公式Instagram:https://www.instagram.com/yasuke.curry/
同店ならではの「無国籍カレー」を堪能しに行きましょう♪