古舘 孝征(ふるたて たかゆき):新潟市出身。千葉県内の大学へ進学し、卒業後は東京で就職。32歳で帰郷し、家業の「株式会社浅川園」へ入社する。ブラジルのコーヒー農園や全国のお茶屋で日本茶とコーヒーの基礎を学び、2020年には代表取締役に就任。幅広い世代に日本茶を楽しんでもらうための商品開発を続けている。
ガタチラスタッフ:『新潟人179人目は、「株式会社浅川園」の代表取締役・古舘孝征さんです!昭和11年創業の新潟県民に愛されているお茶屋さんとして、大切にしていることや新たなチャレンジなどのお話をお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
コーヒー農園からスタート
──家業を継ぐつもりだったのですか?
古舘さん:先代が大学生の時に創業者の浅川にお茶屋を手伝ってほしいと言われ、その後創業者の意思を継ぎ社長になりました。その後、数年してから先代から「ちょっとお茶屋を手伝って欲しい」と言われたんです。当時私は東京で就職していたので継ぐつもりはなかったのですが、色々なタイミングが重なって継ぐことを決めました。
──お茶の知識を一から学ぶのも大変でしたよね…。
古舘さん:入社前にまず行ったのが、日系ブラジル人の方が経営しているブラジルのコーヒー農園でした。茶畑でもなく、いきなり地球の裏側です(笑)。
──なぜコーヒー農園に?(笑)
古舘さん:当社でコーヒーを扱っているのもありますが、前職の会社を辞めたのが8月だったんです。コーヒー豆の収穫時期も8~9月で「ちょうどいい時期だから行ってくれば?」ということで、研修(3ヵ月程)に行きました。現地の言葉を話せるわけではなかったのですが、いい経験になりましたね。
──それからお茶の勉強をされたのですか?
古舘さん:日本に戻ってきてからは、「全国のお茶屋さんで学んでこい」ということで、静岡や北海道、鹿児島へ研修に行きました。おかげで経験値が上がって知識も身に付きましたし、各地の問屋さんとも良い関係が築けたと思います。
──『浅川園』の創業は昭和11年と歴史が長いですよね…!
古舘さん:創業者の浅川晟一は山梨県出身で、90歳過ぎまで社長として現役でした。仙台のお茶屋で修業をして、開業するなら新潟が良いと『浅川園』を創業したのが始まりです。
──“長く続ける”のは簡単ではないですよね!
古舘さん:暖簾を守り続けることは、とても大変だと思います。店舗販売がなかった頃は行商で各家庭を自転車で回り、お茶を売っていたそうです。その時代からのお客様の繋がりもあるようで、とてもありがたいですね。
老舗であることにこだわらず、“新しいことにチャレンジ”
──2020年に社長に就任されたのですね!
古館さん:新型ウイルス禍で様々な影響を受けましたが、その少し前から店舗販売を拡張する時代ではないと感じ、コンパクトな経営に軸足を置き始めたタイミングでもありました。今はスーパーなど色々な販路で商品を卸す方にも力を入れています。昔からのお客様も大切にしつつ、新しい試みにも必要性を強く感じていますね。
──新たに取り組んだことはありますか?
古舘さん:もちろん新しい商品の開発にも取り組んでいきますが、当社の“2本柱のブランド”の、創業者が開発した「とくめ」と先代社長が開発した「いい葉にほ」も昔ながらの味を保ちつつ、お客様の嗜好の変化に対応しながら改良を重ねていきたいと思っております。また若い世代にも手に取ってもらえるようにパッケージデザインをリニューアルし、あらたな販路を開拓中です。
──リニューアルでこだわった点を教えてください!
古舘さん:“煎茶”や“粉茶”など、あらゆる種類をラインナップしていることを分かりやすいく伝えるため、デザインを統一しました。“有機栽培茶でこれだけの種類を揃えている”のは、他にはない当社の強みだと思っています。
──ラインナップが豊富で様々なお茶が楽しめますね!
古舘さん:若い世代向けに「ティーバッグのお茶」も揃えています。こちらもパッケージをリデザインしました。これが意外と高齢の方にも好評で(笑)。「茶殻も出ないし、後片付けが楽」だと、幅広い年代の方にご愛用いただいています!
──大切にしていることは何ですか?
古舘さん:“生産者との繋がり”は先代の頃からずっと大切にしています。問屋任せではなく、我々が実際に茶畑まで出向き、生産者の方と直接やりとりをして信頼関係を深めています。だからこそ、自信を持って当社の商品をお客様におすすめできていますね。
──「浅川園」のお茶はどこで購入できますか?
古舘さん:本社のほか、「新潟伊勢丹」や「イトーヨーカドー丸大新潟店」、「イオン(新潟東店、新潟青山店)」、「アピタ(新潟亀田店、新潟西店)」などの直営店、新潟市内のスーパーでも取り扱いがあります。そして、公式ホームページとガタ市のネット販売ですね。
──スーパーやネット販売だと手軽に購入できますね!
古舘さん:以前は店舗での対面販売が基本だったのですが、手軽に手に取ってもらえるようにスーパーでの取り扱いとネット販売にも力を入れました。「お茶屋は敷居が高い」とよく言われるのですが、スーパーで気軽に買えることで認知を上げて、直営店にも気軽に足を運んでもらえたら良いなと思います。
──家までの配達もできるとお聞きしました…!
古舘さん:「店舗まで買いに来られない」という旧新潟市内の方には、火・木・土の配達日の前日までに電話注文をいただければ、一本でも無料で配達も行っています!ぜひお気軽にご利用いただきたいですね。基本的には私が配達しているのですが、配達先でお客様とお話しできるのが楽しいんです。
古町を離れても、大切にしたいこと
──“老舗だからこそのプレッシャー”はありますか?
古館さん:もちろんです。店舗の老朽化に伴い、2021年に古町の店を休業した時には、「どうして閉めるんだ」と多くの方に言われました。古町のシンボル的な存在でもあったので、店舗を休業したことで当社が潰れたと思った方も多かったみたいです(笑)。そういう声を聞いた時に、“老舗として認知されていた”ことを改めて気付かされましたね。
──お客様との印象に残るエピソードを教えてください
古館さん:私は店舗に立つより配達業務の中で個人宅へ配達に行くことが多いのですが、商品をお届けすると「ありがとね」と必ず言ってもらえるんです。あれに勝る嬉しいことはないですよね。「浅川園のお茶はいつもおいしい」と言ってもらえることで、“より良い商品を提供したいという想い”が強くなります。
──最後に、今後の目標を教えてください!
古舘さん:「ありがたいお茶屋さんだな」と思われたいですね。お店に足を運んでくださったお客様に「あなたに会いに来たわ」、「あなたからお茶を買いたい」と言われるようなお客様と従業員スタッフが素敵な関係になれたらいいなと思います。また、若い世代や子育て世代にも、“有機栽培の安心安全なお茶をお届けするお店”ということを知っていただけるようにこれからも頑張っていきます!
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【浅川園】
住所:新潟市東区卸新町2
電話:025-273-5151
営業時間:8:00~17:00
公式ホームページ:https://www.asakawaen.co.jp/index.html
直営店の詳細はこちら:https://www.asakawaen.co.jp/etc_20003.html
これからの新しいチャレンジも楽しみね♪