プロフィール
吉田 香那子(よしだ かなこ):滋賀県出身。新潟へ移住し、結婚後に夫の家業である有限会社阿部仏壇製作所に入社。木育インストラクターの資格を取得し、木の雑貨やおもちゃの自社ブランド「KOUGI」をより充実させ、「おなまえ積み木」はロングランヒット作に。商品やサービスを通して、木に触れる暮らしの素晴らしさを提案している。
ガタチラスタッフ:『新潟人149人目は、「有限会社阿部仏壇製作所」常務取締役の吉田香那子さんです!「KOUGI」ブランドが生まれたきっかけや、大人気商品「おなまえ積み木」の誕生秘話などをたくさんお聞きしました。素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』
滋賀から新潟へ、OLから仏壇屋さんに
──吉田さんのご出身は滋賀県なのですね!
吉田さん:2013年にIターン移住で新潟に来ました。それまでは滋賀県内で働いていたのですが、趣味のサーフィンやスノーボードで新潟に遊びに来た時に「新潟っていいな」と思ったんです(笑)。「移住するなら新潟で楽しく暮らしたいな」という想いが強くなり、移住を決めました。
──「阿部仏壇製作所」はご主人の家業なのですね!
吉田さん:そうなんです。昭和24年創業の仏壇木工所で、今は3代目です。以前は別の仕事をしていたのですが、夫から「家業を手伝って欲しい」と言われて入社しました。ものづくりの経験もなく、木のことも知らなかったので「私にできることはあるのか?」と不安だったのですが、まずはやってみようと思いました。
──全く知らない世界に踏み込むのは、なかなか勇気が必要ですよね…。
吉田さん:だからこそ、自分にできることを探しました。まずは「木育インストラクター」という資格を取って、仕事に活かせたらと考えたんです。木工のワークショップなどを実施するようになったので、この資格を取ったのは私にとっては大きかったですね。経験のない自分でもできることを見つけることができました。
──以前から「木育」に取り組まれていたのですか?
吉田さん:「木育」と謳って何かをすることはなかったのですが、学校でカンナの使い方などを教える体験学習などを実施していました。私が入社してからは、会社として「つくる(仏壇制作)」「つなぐ(木工ブランド)」「そだてる(木育)」の3本柱で展開しています。今は仏壇の需要も減っているので、「KOUGI」という木工ブランドを立ち上げて、仏壇との両輪に力を入れています。
大ヒット作『おなまえ積み木』
──「KOUGI」立ち上げのきっかけは何ですか?
吉田さん:仏壇の需要減も理由の一つなのですが、2代目の義父が59歳で倒れた時に、息子たちが「会社を残したい」という義父の願いを引き継いで、仏壇だけではなく他の木製品も展開していこうと立ち上げたのが「KOUGI」でした。名前の由来は義父の戒名からです。一生懸命にものつくりをしてきた、「その想いを次世代に繋げたい」という意味がこもったブランド名なんですよ。
──素敵な想いが詰まっているのですね!コンセプトは何ですか?
吉田さん:もともとは箸置きやコースター、おしぼり置きなどの生活雑貨を作っていました。「長く使えるしっかりとした木の製品」がコンセプトで、流行に左右されないデザインや修理しながら長く使える精巧なものにこだわっています。その中で、お客様から「積み木を作れますか」というオーダーをいただき、「おなまえ積み木」を作るようになったんです。
──お客様の声から人気商品が生まれたのですね…!
吉田さん:当時は販路もなかったのであまり販売していなかったのですが、友達にプレゼントしたらとても喜んでくれたんです。その姿を見て、「この『おなまえ積み木』を喜んでくれる人たちが買えるようにしよう」と思いました。夫には「3年で結果が出なかったら、辞めて他の会社で働く」と宣言しまして(笑)。ネットでオーダーできる仕組みを作り、SNSで商品を紹介するようになってからは口コミが広がって、一気に注文が増えましたね。今では『おなまえ積み木』を一番多く作っています(笑)。
──ネット通販を始めてから、お客様の反応も変わりましたか?
吉田さん:全然違いますね。口コミ機能に寄せられる声が職人たちの励みにもなっています。Instagramは特にターゲット層であるママ世代にマッチしているので、情報の発信にも力を入れています。そういう時代の流れや新型ウイルス禍にも上手くマッチした商品だと思いますね。
──商品づくりのこだわりや特徴は何ですか?
吉田さん:購入される方や使用する方が「どんな気持ちで使ったり、贈ったりするのか」という考えを大切にしています。商品を選んでいただくには、その気持ちを理解することが大事だと思うんです。「自分だったらこういうものがいい」とか、購入する方や使用する方の立場になって考えるようにしています。
──商品開発は吉田さんが担当しているのですか?
吉田さん:基本的には社員全員で考えて、私がまとめる流れで開発し、代表が製作面にて形にしていますが、お客様からの要望を商品化することもあります。最近では猫のおもちゃのご要望をいただいたので、オーダーメイドのペットグッズなども展開していきたいですね。
モノを大切にする気持ちを育みたい
──お客様との印象に残るエピソードを教えてください!
吉田さん:当社の製品の類似品はたくさんあるのですが、「やっぱりKOUGIのものがいい」と言ってくださるお客様の声を聞くと嬉しいです。当社製品の良さを理解してくださっていると思うと、「作ってよかったな」と感じますね。こうしてリピートしてくださるお客様からも、ゆくゆくは仏壇のご相談を受けられたらいいなと思います。きっかけは木工品であっても、気軽に仏壇の話ができるお店でありたいです。
──工場併設のショップを3月にリニューアルされたのですね!
吉田さん:「お子さんも一緒に来店できる店」をコンセプトに、授乳室やおむつ替えができるトイレも完備してリニューアルしました。新潟市の「赤ちゃんの駅」にも登録しているんですよ。キッズスペースを充実させたり、ベビー雑貨の取り扱いも始めたので、気軽に見に来て、ゆったりと過ごしていただけるようなアットホームなお店にしていきたいですね。「木工ワークショップ」なども毎月実施しているのでぜひ親子で参加してください!
──“木育”や“KOUGIの商品”を通じてどんなことを伝えたいですか?
吉田さん:誰かの手で生み出された「モノに対する感謝の気持ち」や「モノを大切にする気持ち」を育んでいければと思っています。当社の木育を通じて、少しでも気にしていただけたら嬉しいです。
──最後に、今後の目標を教えてください!
吉田さん:お客様のニーズにお応えしながら、みんなが喜べるような商品を作っていきたいですね。私の出身地・滋賀県には「近江商人」の「三方よし」という言葉があります。「会社、社員、お客様」の三者がハッピーになれるのが理想だと思います、そのためにもまずは地域のお客様に選ばれて、必要とされる会社であり続けたいです。
【KOUGI made by 阿部仏壇製作所】
住所:新潟市東区木工新町372-10
TEL : 025-275-7801
営業時間:平日10:00~16:00/土日13:00~16:00
定休日:祝日・他不定休
SHOP:http://kougi.cart.fc2.com/
「KOUGI」はステキな想いが込められたブランドなのね!「おなまえ積み木」はプレゼントに喜ばれそうだわ♪