プロフィール
小髙 学文(こだか まなふみ):新潟市江南区亀田出身。新潟商業高校を卒業後、数回の転職を経て料理の道に転身、パンの移動販売をスタートする。1995年、亀田に「夢添加パン工房メリーズ」をオープンした後、1998年5月に新潟市東区中野山に「パン工房メリーズ小麦館」をオープン。現在は東区に「PANSTAGE MERRY’S」、北区に「BREAD COMPANY MERRYZ」の2店舗を運営している。
人生を変えた犬・メリーとの出会い
──小髙さんの生い立ちや経歴について教えてください。
小髙さん:出身は、新潟市江南区亀田です。ずっと新潟に住み、高校卒業とともに就職しました。当時は売り手市場だったので、同級生でも大学に進学した人は少なかったですね。
──小髙さんはどんな仕事をされていたのですか?
小髙さん:車関係の仕事に就職しましたが、10カ月で辞めました(笑)。車が大好きだったのでトラック関係の会社に就職したのですが、想像と違ったんです。朝から電話は鳴りっぱなしですし、「トラックの〇〇部品をくれ!」と言われても、トラックのことは全く分からないですからね(笑)。「バブルだし、なんとかなるか」と思い、辞めました。
──その後は、どうされたのですか?
小髙さん:県職員の保養所に転職し、村上市と旧妙高市高原町で勤務した後、食堂でアルバイトをしていました。その場所で、「メリー」という犬に出会い、家に連れ帰ってから運命が変わってきたんですよね。昔は、犬が大嫌いだったのですが(笑)、不思議と懐いてきて可愛かったんです。メリーはもう亡くなってしまったのですが、メリーとの思い出を忘れないためにも「メリーズ」という店名にしました。
移動販売から始まったパン人生
──「メリーズ」をオープンされたきっかけは何ですか?
小髙さん:食堂を辞めた後、「パンを仕入れて売る」仕事をしていました。パン屋さんからパンを仕入れ、軽自動車の中に並べて一軒一軒売り回っていました。それを始めたのが23歳の頃ですね。関屋の高級住宅地を回っていたので、社長さんやお手伝いさんに可愛がってもらったり、別の社長さんを紹介していただいたり、売上も増えていきました。最初は苦しかったのですが、いつも同じ時間にパンを販売していたことで信用を得ていき、営業所を2ヶ所、スタッフ16人まで事業を拡大しました。
──当時は、受託販売だったのですね。
小髙さん:そうです。しかし、「今のままではどこかで頓挫するな」と感じていたので、パンのコンサルタントに依頼し、少しずつパン作りを始めました。仕入れ先が倒産したこともあり、「じゃあ、自分たちでパンを作ろう」となったんです。
──仕入れ先の倒産がきっかけで、完全自社製造に切り替えられたのですね。
小髙さん:そうです。作ったパンを移動販売や製造場所で販売していましたが、行き詰まりを感じる時期がありました。そんな時に新しいコンサルタントに出会い、「店を移転した方が良い」と言われたんです。その方がプロデュースしている群馬県高崎のお店を見せてもらうと、お客様がいっぱい入っていて驚きました。当時の新潟にはそんなに多くのお客様が来ているお店はなかったので、「この会社なら間違いない」と契約し、25年前に中野山に「パン工房メリーズ小麦館」をオープンしました。それから今と同じスタイルでやっています。
「焼きたて・揚げたて・作りたて」へのこだわり
──お店のこだわりを教えてください。
小髙さん:オープン時から「焼きたて・揚げたて・作りたて=3たて」をテーマにしています。当時は朝のうちに一気に焼き、包装して昼以降はほとんど作らないお店が多かったのですが、少量に分けて焼くスタイルに変えてから、お客様が徐々に増えていきました。「メリーズに行けば、温かいパンがある」と気づいてもらえて、売上の伸長率には驚きましたね。
──「焼きたて・揚げたて・作りたて」の他にこだわりはありますか?
小髙さん:店舗によって、テーマを変えています。「パンステージメリーズ」のテーマは「ナチュラル」です。木や石をモチーフに、BGMも自然をイメージしています。季節感も大切にしているので、季節によって、スタッフのバンダナの色も変えてます。もう1店舗の「ブレッドカンパニーメリーズ」のテーマは「パリ」です。パリが好きで、県外のお店も参考にしています。パンを入れるのはトレーではなく、鉄カゴですし、シャンデリアがいくつも設置されているので「パリ」を感じると思います。入口にある大きな星を入れたのは、私が矢沢永吉さんの大ファンなので、「でっかい星をつかもうぜ」というメッセージなんです(笑)。私にとっては、人生を導いてくれた神様です。
──おすすめ商品は何ですか?
小髙さん:カレーパンですね。私自身、子どもの頃からカレーが大好きで、特にこだわりを持っていました。コンサルタントの先生に「カレーパンは、温かいものを何回も出せ。1日3回より、10回揚げることでお客様が温かいカレーパンと出会える確率が高くなる。」と教わりました。「揚げ立てです!」と言われたら、つい買っちゃいますよね?コンビニのカレーパンも美味しいですが、「揚げ立て」はできないですよね。それがメリーズに来る理由だと思います。
──おすすめのカレーパンは人気ですよね!
小髙さん:実は、新潟出身のスパイス料理研究家で有名な一条もんこさんに「カレーパンを食べに来てください」とメールを送ったら、本当にお店に来てくださいました。それがきっかけでFacebookの「新潟カレー部」に参加して、ハウス食品さんとのコラボ商品も実現しました。ご縁だと思いましたね。仕入れ先のパン屋さんが倒産して、良いコンサルタントと出会えて、勉強会に参加し、色々教えてもらえたり、ガタ市さんと出会ったり…。ありがたいご縁ばかりです。
パンが繋ぐ人とのご縁を大切に、まだまだ勉強!
──お客様やスタッフさんとの印象的なエピソードはありますか?
小髙さん:学校の長期休暇中に「子どもパン教室」を行うのですが、多くの子どもたちが参加してくれます。現在のお店に移転してきた初期の頃、よく参加してくれる男の子がいたんです。高校生になっても大学合格の報告をしに来てくれました。また、成人式に振袖姿で来てくれた子やアルバイトとして働いてくれた子もいます。結婚式に呼ばれたこともあるんですよ。「子どもパン教室」を通じて、大きくなってからも関係が続いていることは嬉しいですね。
──メリーズでは「ロスパン」の販売に取り組まれていますが、そのきっかけを教えてください。
小髙さん:私自身の手でパンを捨てるのが嫌いだったんです。毎月、製造や販売ロスをチェックし、何か良い方法はないかと考えていた時に、ふと思いつきました。「ロスパン」という名前で大々的に売り、新たな販売チャネルとして、「通信販売」を取り入れました。値段も安く、お客様にも好評なので開発して良かったと思います。
──最後に、今後挑戦したいことを教えてください!
小髙さん:メリーズの中で、また新しいことを計画しています。その為に今は勉強中なので、詳しいことは秘密です(笑)。楽しみにお待ちください!あとは、お店に「3たて(焼きたて・揚げたて・作りたて)」のパンを買いに足を運んで欲しいです。「ロスパン」もお得なので、ぜひ「ガタ市」さんをチェックしてみてください。
【パンステージメリーズ】
住所:新潟市東区東明6-678-1
電話:025-257-1212
Instagramアカウント:@pst_merrys
【ブレッドカンパニーメリーズ】
住所:新潟市北区葛塚3055-30
電話:025-288-1114
Instagramアカウント:@bcm_1107
焼き立てのパンは最高に美味しいわよね~「3たて」のパンを買いに行きましょう~