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TOP > インタビュー > 【小池深香さん(小池ろうそく店 絵師)】“新潟の花ろうそく”として、全国に広げていきたい
2021年3月6日

【小池深香さん(小池ろうそく店 絵師)】“新潟の花ろうそく”として、全国に広げていきたい

新潟市
インタビュー

小池ろうそく店


プロフィール
小池 深香(こいけ みか):新潟市江南区出身。小学6年生からピアノ弾き語りでライブ活動を初め、地元イベントやテーマソング製作などシンガーソングライターとして幅広く活動。夢を追い、大学進学と共に東京へ上京しライブ活動を続けるも、新潟へ戻り自家の小池ろうそく店で働き始める。目に留まる新しいろうそくをと作った「花丸ろうそく」は第61回全国推奨観光土産品審査会のグローバル部門で最高賞の国土交通大臣賞を受賞した。


今回は、小池ろうそく店4代目社長・小池孝男さんと深香さんのお2人にお話を聞きました。

音楽の道からろうそくの道へ

――深香さんの経歴や趣味について教えてください。

深香さん:新潟市江南区出身です。とにかく歌が大好きで小学校6年生の頃からピアノの弾き語りなど、ライブ活動を始めました。中学2年生から作詞作曲や編曲、DTMをやり始め、シンガーソングライターとして本格的に活動しましたね。ずっと音楽で食べていくと思い、ろうそくは全く考えていなかったです。

――本格的に音楽活動されていたんですね!

深香さん:UXさんの開局30周年記念番組のテーマソングを担当させていただいたり、年間何十本ものライブをしていました。ナオト・インティライミさんのフリーライブのオープニングアクトをさせていただいたのは自慢ですね(笑)。高校卒業後は、東京に上京し、大学に通いながら音楽を続けていました。昼は大学、夜は歌のスクール、休日はライブをする生活です。大学卒業後もフリーターとして1年働きながらやっていたのですが、途中で挫折をしてしまい新潟へ帰ってきました。

――それで新潟に戻られたのですね。

深香さん:そこで、1つ目の私の人生に区切りがついたという感じです。特にやりたいことも情熱もなく、就職しようかと考えていました。しかし、実家のろうそく店の現状を考えた時、お仏壇が減っている中、ろうそくを使う人も少なくなり、絵師の方の年齢も上がっていきています。どうせ就職するなら、ここで自分のできることをやる方が意味があると思い、絵師を始めました。

小池ろうそく店

ずらりと並んだ華やかな絵ろうそく

――小池ろうそく店の歴史を教えていただけますか?

孝男さん:歴史については私がお答えしますね。小池ろうそく店は明治26年創業。私で4代目になります。初代は小池源太郎、私のひいおじいさんにあたりますね。当時は名前を取って、「丸源」という屋号でした。

――花ろうそくはこの地域で生産が盛んだったのですか?

孝男さん:そもそも新潟は、他県に比べ、ろうそくの消費量が非常に多い場所でもあります。ここ亀田も昔はろうそく店が何軒もあったそうです。

――「花ろうそく」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

孝男さん:大学卒業後、静岡県浜松市に就職したのですが、父親が体調を崩したこともあり、新潟に戻りました。当時は私も絵ろうそくを見たことがなく、ある日倉庫の片隅で絵がついたろうそくを見つけたんです。何だろうと思い、絵ろうそくについて調べると、雪国では長い冬の間、お花がなく、仏様にお供えする事が出来なかったため、ろうそくにお花の絵を描いてお供えしたというのが始まりと知りました。雪国新潟の暮らしから生まれた文化だと感じましたね。

――素敵なお話ですね。当時から「花ろうそく」を作られていたのですか?

孝男さん:昔は頼まれた時だけ作っていました。色々勉強していくなかで、うちの店で扱っていた絵ろうそくを伸ばしていこうと思いました。1本1本大切な想いで灯してもらいたい、それにふさわしいろうそくを広めていきたいという思いで再建していきました。

――これほどまでに人気になったきっかけは何だったのでしょうか?

孝男さん:新潟県の推薦品に認定され、東京の百貨店で行われる「新潟物産展」に出店できるようになったことです。最初は要領も悪く、慣れないため売上は思うように上がらず、心も折れそうになりました。そうしているうち、「実演してみたら?」と言われ、やってみたらお客様が集まり、場の盛り上がりが売り上げに繋がっていきました。

――実演したことで、お客さんの反応が変わったんですね!

孝男さん:そうなんです。実演をしながら続けているうちに、新潟の数ある特産品のひとつとして認められるようになっていきました。その後、15年間あまりの間に「全国推奨観光土産品審査会」において経済産業大臣賞(工芸品部門)、また国土交通大臣賞(民芸品部門)、そして今回「花丸ろうそく」が国土交通大臣賞(グローバル部門)をいただくことが出来ました。

小池ろうそく店

若い方たちに花ろうそくを知ってもらう為に

――グローバル部門・国土交通大臣賞を受賞した「花丸ろうそく」は深香さんが作られたんですよね。作られたきっかけを教えてください!

深香さん:若い方は家にお仏壇がないですし、仏教という感覚もあまりないですよね。そこが曖昧になっている中で、ろうそく文化を繋げていくには新たな人たちに知ってもらう為の入り口となる新しいものを作らないといけないと思っていました。ろうそくを使わない若い方に使っていただきたいですし、知ってもらいたいという想いがあったので、その方たちの目に留まるろうそくを開発しようと完成したのが「花丸ろうそく」です。

――見た目もかわいらしいですよね。どんな使い方ができるのでしょうか?

深香さん:今までのようにお仏壇に使っていただくのはもちろん、もっと新しい使い方ができるように香りと一緒に楽しめる香りセットも販売しています。インテリアとしても楽しめるので様々な使い方をしてもらいたいですし、それで一回使ってみようかなと手に取ってもらえたら、和ろうそくを知るきっかけになると思うので、少し見方を変えた商品を作りたいなという気持ちがありました。

――香り付きだと、若い方は手に取りやすいかもしれないですね!

深香さん:そうだと嬉しいです。香りはアロマオイルなのですが、メーカーさんと相談して決めました。和ろうそくは蜜蝋(ミツロウ)、櫨蝋(ハゼロウ)など自然界にある油分でできた植物性のろうに、灯芯(トウシン)にはイグサを使用したものを言うのですが、一般的にろうそく立てに刺さないと立たないですよね。「花丸ろうそく」は、丸くして座りを良くし、芯が倒れないように開発されています。そうすることでろうそく立てがなくても、どこでも使えるのでろうそく立てが無い方も使いやすいと思います。植物性のろうと、植物からできている灯芯と全て自然由来のものでできており、アロマオイルも天然成分100%の木と葉から抽出したオイルなので自然の香りで自然な時間を過ごして欲しいです。

――開発にはどれくらいかかったのでしょうか?

深香さん:1年以上かかりました。灯芯も手作業なので、どうしても太さが異なり、植物性のろうも自然のものなので、その時々で安定しないんです。その不安定さが魅力でもあるのですが、ろうが綺麗に燃えなかったり、芯が倒れてしまう点を改善していくのに苦労しました。綺麗に燃えるようにするのが難しかったですね。ろうが溢れたり、下から漏れたり、丸という形が自然のろうや芯に適していないので、どの形がいいのか芯はどれくらい出たら良いのかというのを研究し、何度も考えて作りました。

――絵柄もすべて手書きなんですよね…。深香さんが絵付けされているのですか?

深香さん:そうです。絵柄もデザインし、私が1つ1つ描いています。こんなに皆さんに受け入れてもらえる商品になると思っておらず、とりあえずやってみればという感じで試しに作ったら、こんなに素敵な賞までいただき、話題にしていただいて本当にありがたいです。私一人で作っている状態なので、なかなか大変です(笑)。しかし、待ってくださっているお客さんもいらっしゃるので頑張って作ります!

小池ろうそく店

“新潟の花ろうそく”として

――「花丸ろうそく」がきっかけの1つとなっていますが、若い方にもっと花ろうそくを知ってもらえると良いですね。

深香さん: そうですね。若い方というよりは、ろうそくを知らない、あまり使わない方たちに知ってもらいたいですね。固定概念として、ろうそくは年配の方しか使わないというイメージではなく、誰にでも身近にあって欲しいので知ってもらうきっかけを作っていけたら良いなと思います。

――お客様との印象に残るエピソードを教えてください。

深香さん:花ろうそくを購入される方は、亡くなった方の好きな花で選ばれる方が多いんですよね。夏が好きな方には夏のお花だったり、届けたいお花で選ぶ方が多いです。ある時、若い方が亡くなられたという方がいらっしゃって、元気の良い夏が好きな子だったけど、若いから昔からのろうそくよりはかわいいと思えるようなものをあげたいとひまわりの柄を購入されたことがありました。その時に、やっぱり若い方にと思ってくれていて、自分の想いが伝わっているなと思いました。お仏壇とは関係なく、香りと楽しむものとしてプレゼントする方もいて、そういう使い方を若い方がしてくれるのは今までなかったことなので嬉しいですね。

――では最後に、今後挑戦したいことを教えてください!

深香さん:文化があるのはその土地ならではだと思うので、“その土地のモノ”として花ろうそくを知ってもらいたいです。庶民の優しい気持ちから生まれた伝統工芸があることを知ってもらう為に、目に触れる回数が増え、印象に残って欲しいと思います。父は時代の流れもあり、県外へ数多く販売してきたのですが、私はもう少し地元に愛されるものにしたいと思います。なかなか認知が難しいのですが、燕市の金属加工や村上市の堆朱、糸魚川市のヒスイなど、新潟は素敵な工芸品がたくさんあるので全てにおいて観光的地位を上げていけたら良いなと思います。文化を知ってもらうという意味で新潟の工芸品としての認知をあげられたら良いかなと思います。また、県外の方に渡した時に、「新潟にはこんな素敵なものがあるんだね」と言ってもらえる商品に仲間入りしたいです。

小池ろうそく店

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【小池ろうそく店】
住所:新潟市江南区所島2-2-76
電話:025-381-3044
営業時間:10:00〜17:00
定休日:土日・祝祭日

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母:セツコ

花ろうそくも花丸ろうそくも見惚れてしまうほど美しいわ!花丸ろうそくと一緒にアロマオイルを使ったらは癒されそうね~

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